道高教組・道教組 道教委の意向調査に抗議声明 当事者の教職員を無視 1年単位変形労働時間制で(関係団体 2020-10-09付)
道高教組(尾張聡中央執行委員長)と道教組(川村安浩執行委員長)は7日、道教委による1年単位の変形労働時間制導入に関する意向調査に対し声明を発表した。「調査結果と現場教職員の声には大きなかい離があり、当事者である教職員を無視した条例制定の手続きは認められない」と断じ、少人数学級実現や教職員大幅増員などの抜本的改善をあらためて求めた。概要はつぎのとおり。
道教委は、1年単位の変形労働時間制導入を可能とするための条例整備に当たって、検討材料とするため、道立学校および市町村教委に対し、意向を調査した。
道教委は、この意向調査を9月9日に通知し、24日を期日とした。回答に当たっては、文部科学省の手引きや動画を参照し、「本制度の理解を深め」と示されているのみで、管理職の一存で判断できるものとなってる。
さらに、市町村教委あての通知では「所管の学校の意見も伺いながら」としながらも、各学校に通知が届く日数を考慮すれば、回答までの期間はほんの数日しかない。
道高教組・道教組が実施した緊急アンケートでは、1年単位の変形労働時間制について、管理職からの説明があったとの回答は24%、制度導入に関する意見を聞かれたとの回答は4%にとどまっている。ほとんどの学校では、検討も教職員への意向確認もされていない。
1年単位の変形労働時間制導入は、1日8時間労働という大原則を壊す労働条件の大きな変更であり、当事者である教職員を無視した意向調査は許されるものではなく、断固抗議する。
道教委は、意向調査の回答状況について、「すべての道立学校および市町村教委から回答があった」とし、「令和4年度以降からの導入も含め、“活用できるよう検討したい”との回答は、道立学校、市町村教委ともに約8割あった」としている。
一方、道高教組・道教組が実施した緊急アンケートでは、「活用したい」との回答はわずか6%にとどまっており、道教委の意向調査とはあまりにも大きなかい離がある。「活用したくない」との回答は50%で、半数の教員は制度の活用に否定的である。
また、「どちらともいえない」との回答が44%にも上っている。当事者である教職員に対し、制度の趣旨が十分に周知されていないまま、条例制定への手続きが進められていることも問題である。
道教委は、制度を導入することとなった場合にリーフレットを作成・配布するとしているが、条例制定の前に必要な情報を周知した上で、各学校において、すべての教職員による検討、意向の確認を行うべきである。
文科省は、各都道府県・政令市での条例制定を求めるに当たり、「まず、各学校で検討の上、市町村教委と相談し、市町村教委の意向を踏まえた都道府県教委において、省令や指針等を踏まえて条例等を整備する」としている。
すでに1年単位の変形労働時間制が導入されている民間では、過半数労働組合、それがなければ労働者側の過半数を代表する人と労使協定を締結することが条件とされている。
文科省が作成した動画でも、「民間向けの制度をベース」にしたと説明している。
条例制定に当たっての手続きについて、道教委は、道議会での答弁で「国からは、一つの例として示されたもので、こうした手続きが望ましいとは考えているが、必ずしも、この手続きに従う必要はない旨の見解が示されている」としており、教職員の意向を無視した手続きを正当化している。
しかし、仮に、国が示した手続きが1つの例であるとしても、学校での検討、教職員の意向を無視した手続きは、制度の趣旨に照らして適切ではない。
学校の長時間過密労働の実態は深刻である。多くの教職員は、もう身体がもたないかもしれないという不安を抱えながら、現状を何とかしてほしいという切実な願いをもってきょうも子どもたちの前に立っている。
本年度は、さらに、新型コロナウイルス感染症に関する様々な対応等によって、現場の教職員には一層深刻な負担が生じている。
文科省が作成した手引きやQ&Aに、「これを単に導入すること自体が日々の教師の業務や勤務時間を縮減するものではない」とされているとおり、制度導入に時間外労働を縮減する効果は全くなく、むしろ個々の教職員に、意に沿わない長時間労働を押し付けるものである。
所定の勤務時間を延ばすことによって、時間外勤務をみかけ上減少させることで長時間過密労働が改善されたかのようにみせるまやかしに過ぎない。
さらに、制度の活用には厳格な勤務管理が必要になるため、ただでさえ、時間外勤務の上限や出退勤の記録などの管理・運用に追われている管理職や事務職員には、新たに相当な業務負担が発生することになる。国の掲げる働き方改革とは逆行する。
異常な長時間過密労働解消には、1年単位の変形労働時間制導入ではなく、少人数学級実現や教職員の大幅増員などの抜本的改善をこそ行うべきである。少なくとも、現場の声を無視した手続きによって条例を制定させることは認められない。
私たちは、長時間過密労働の解消と子どもたちの健やかな成長のために、教職員のみならず、広範な保護者・市民、労働団体に呼びかけ、“変形”ではなく“せんせいふやそう”の声をますます大きくしていく決意である。
(関係団体 2020-10-09付)
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