【解説】デジタル教科書 使用基準撤廃へ(解説 2020-12-24付)
文部科学省は、各教科の授業時数の2分の1未満としていた学習者用デジタル教科書の使用基準を撤廃する方針を22日の第7回デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議で固めた。健康面への配慮や教員の指導力向上の施策を講じることを前提とし、来年度からの撤廃に向けて必要な告示を改正する。
令和2年度のデジタル教科書は小学校用が約94%、中学校用が約25%発行。3年度においては、いずれも約95%に達する見込み。3年度文部科学関係予算案では、学習者用デジタル教科書普及促進事業に22億円を計上。小学校が6年度、中学校は7年度からの本格導入を目指して検討を進めている。
会議で了承した見直し案では、紙・デジタルを問わずに長時間継続し、近距離で注視することは視力低下の観点から避けるべきと指摘。授業で端末を使用する場合、30分に1回、20秒程度画面から目を離して休めるよう指導すること、目と端末の画面との距離を30~50㌢㍍離すことが必要としている。
学校においては、児童生徒の発達段階に応じて教員が健康観察や指導を行うことも必要になるとし、必要に応じて心身の状況をアンケート調査することも選択肢として挙げている。
また、ICT機器の活用状況と児童生徒の視力の状況を調査して健康面への影響との関係を確認すること、使用の在り方について家庭においても守るよう指導することの必要性を指摘。視力低下のメカニズムや夜間のブルーライトの影響など詳細が解明されていない部分もあるとし、引き続き最新の科学的知見に注視すべきとしている。
これらを踏まえ、児童生徒の健康に関する留意事項の周知徹底やICT活用に関する教員の指導力向上の施策を講じることを前提に、デジタル教科書の使用基準の撤廃が適当とした。
(解説 2020-12-24付)
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