第4回全道代表高校長研 道教委所管事項④ 不祥事防止へ指導徹底 いじめ対応 実効性ある取組を
(道・道教委 2021-02-02付)

《生徒指導・学校安全課》

【生徒指導】

▼いじめの問題への対応

過去の重大事態事案にかかる調査では、当該学校において「学校いじめ防止基本方針が形骸化している」「学校いじめ対策組織が適切に開催されていない」「被害生徒および保護者の真意を十分に受け止めた対応がなされていない」などの課題が指摘された。

 学校においては、同様の事案が発生しないよう、学校いじめ防止基本方針の内容の見直しと生徒、保護者への内容の説明、学校いじめ対策組織の定期的な開催に向けた年間計画の作成など、来年度、実効性の伴った取組を確実に推進いただきたい。

▼いじめの実態把握およびその対応状況等調査

道教委で独自に実施した本年度の調査は終了した。対応状況等調査の結果は、今後、通知する予定。

平成30年4月に配布した『北海道いじめ防止基本方針のポイント』13ページの「いじめの早期発見のためのチェックリスト(例)」および14ページの「いじめの問題への対応チェックリスト(例)」を活用して、教職員で自校の取組を評価し、来年度を見据えた改善に努めていただきたい。

▼高校生ステップアップ・プログラム

本年度は、新規5校を含む14校を指定して事業を実施。

実施校の取組成果は、報告書にまとめ、2月上旬までに提出いただくこととしており、生徒指導・学校安全課のウェブページに掲載する予定。

なお、実施校は「自殺予防教育プログラム」を活用した自殺予防教育を推進することとしており、報告書にその内容を扱うなど、成果の普及に努めていただきたい。

▼自殺予防教育

 令和2年12月7日開催の2年度第2回全道高校教育改善研究協議会での配布資料を参考に、教職員が日々の授業等で、生徒のストレスの対処の様子などをきめ細かく把握し、教員間で共有しながら、生きることの安心感を育む日常的な取組の実現に向け、研修を確実に実施していただきたい。

 自殺予防教育プログラムの「援助希求的態度の育成」「ストレス対処能力の育成」「早期の問題認識(心の健康)」の取組を教育課程に位置付け、バランスよく実施していただきたい。【学校安全】

▼防災教育の充実

 高校における1日防災学校の取組を、来年度、実施することを検討中。

 また、北海道で開催した「世界津波の日」高校生サミットの成果を踏まえ、来年度、道独自の取組として、津波、地震、風水害などの自然災害への対応について考える取組を想定している。

▼インターネット等を介したトラブルの未然防止

 依然としてSNSを通じた事件や事故があとを絶たない。また、道教委のネットパトロールにおいても、道立学校の検出件数が依然として高い状況にある。

 卒業式、入学式、入学説明会、保護者会などの様々な機会を通じて、保護者への啓発や生徒への指導を徹底していただきたい。

【道内公立高校(札幌市を除く)における非行事故(速報)の状況】

 2年度の非行事故(12月末現在)は、前年度同期比25件減の35件。

《総務課》

【教職員の不祥事防止】

各学校において、不祥事等の防止に向けた実効性ある取組を実施していただいており、感謝申し上げる。その一方で、本年度は12月末現在で、わいせつ行為による懲戒免職処分が3件(うち道立学校1件)、金銭事故による懲戒免職処分が1件(道立学校)、飲酒運転による停職処分が1件(道立学校)、セクシュアル・ハラスメントによる停職処分が2件(うち道立学校1件)、体罰による懲戒処分が7件(うち道立学校3件)などとなっており、憂慮すべき状況。

 最近の処分としては、中学校教諭がSNSを通じて知り合った18歳未満の複数の女性に対し、現金供与を約束し、わいせつな行為を行ったことについて懲戒免職処分とした事例があり、極めて憂慮すべき状況。

 これまで、服務規律の保持にかかる各種通知を発出しているが、今後も、職場研修等の様々な機会を活用し、職員一人ひとりに対して指導を徹底していただきたい。

《教職員課》

【学校における働き方改革】

修学旅行の引率業務等に従事する道立学校職員の勤務時間の割り振り等に関する要領の新たな対象業務については、学校における働き方改革促進会議において議論いただくなどして検討することとしており、決定次第、あらためて連絡する。

 本制度は、勤務時間の割り振りを弾力的に行おうとするものであり、教育職員の健康および福祉に資することを目的とするものであるため、適切に活用いただきたい。

1年単位の変形労働時間制については、昨年12月、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置条例の一部を改正する条例が公布された。3年4月から各学校において選択的に活用できるよう、関係団体などから意見を伺いながら、規則や要領などの整備について検討しているので、詳細が決まり次第、あらためて情報提供する。

出退勤管理システムで把握した在校等時間については、「道立学校職員にかかる勤務時間の実態把握報告について」(2年6月9日付教職第692号通知)に基づき、毎月、教職員課あて報告をいただき、四半期ごとにその状況を公表している。

 各学校においては、その状況を踏まえ、働き方改革の推進に向けた取組を進めていただきたい。

 在校等時間については、形式的に上限時間の範囲内とすることが目的化し、実際の時間より短い虚偽の時間を記録し、または記録させることがあってはならない。また、本来、業務の持ち帰りは行わないことが原則であり、上限時間を順守することのみを目的として自宅等に持ち帰って業務を行う時間が増加することは、厳に避けなければならない。

 これらについて、あらためて、学校内で周知していただきたい。

なお、出退勤管理システムの利便性向上にかかり、各学校からの要望等を踏まえ、システムを一部改修することとしており、本年3月を目途に各学校へ配布できるよう作業を進めているので、完成次第送付する。

 働き方改革に関する調査として、昨年10月に公表した北海道アクション・プランにかかる取組状況調査や、12月に公表した国の教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査があるが、その中で学校の重点目標や経営方針に働き方改革に関する視点を取り入れていない高校が13校あった。

いまだに働き方改革に対する意識が低いことに強い懸念を感じている。

新型コロナウイルス感染症対策や様々な教育課題を抱えている各学校にあっては、働き方改革を着実に推進していくことによって、生徒に対し真に必要な教育活動を効果的に行うことができる環境になることを自覚し、その取組の徹底に努めていただきたい。

そのためにも、未実施の学校を含め、各学校において来年度の重点目標や経営方針に取り入れていただきたい。

学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」について、取組期間が本年度末までとなっていることから、これまでの取組状況の検証などを踏まえて見直しを検討中である。

見直しの観点として、時間外在校等時間の上限は現行どおりとしつつも、ICTを活用した業務等の推進、押印省略や勤務実態調査において職種別でみると最も長時間勤務となっている教頭の支援などの新たな取組の追加、また、働き方改革手引の積極活用や業務の役割分担・適正化、必要な執務環境の整備や健康管理などについて記載することを予定しており、より実効性の高い取組となるよう見直し作業を進めている。

学校における働き方改革促進会議において、アクション・プランの見直し案を示し、校長会の代表の方も含めた各構成員から意見を伺い、また、教育委員会や議会においても議論いただく予定。

今後、見直しの検討状況については、時期をみつつ情報提供していきたいと考えているが、各学校においては、引き続き働き方改革の取組を進めていただくようお願いする。

【部活動】

▼部活動の方針の実効性の確保

 各学校において、活動方針については、毎年度、策定・公表することとしていることから、来年度の策定に向けて準備するとともに、保護者や生徒の理解を得るような取組の推進をお願いする。

 道の方針では、大会等の前の活動について、やむを得ず活動を行う場合は、代替の休養日を設けることや、休業日における1日の活動時間の上限を特例として扱うことが可能であると示しているが、あくまで特例であり、常態化することがないよう、留意いただきたい。

 高校段階において、休養日や活動時間を弾力的に設定することを認めているものの、生徒がバランスのとれた生活を送ることができるようにするため、この弾力的な設定が当たり前にならないよう、まずは原則にのっとった活動を検討していただき、その上で弾力的な設定をする場合は、当課あてに申出書を提出いただきたい。

▼道立学校における部活動指導員配置事業

 来年度の道立学校における部活動指導員の配置については、本年度と同様、2月中に配置希望調査を実施する予定であるが、配置決定に当たっては、方針の順守の状況、出場する大会数や部活動数の見直し等の取組を行っている学校に優先配置する予定。

▼学校部活動と地域との連携等

 2年12月11日付教職第3108号で通知したとおり、道として、地域の各団体を所管している道スポーツ協会、各競技団体および道文化団体協議会の長に対して、学校と地域のスポーツ団体や文化団体との連携がさらに図られるよう依頼済である。

《道立教育研究所》

【道立教育研究所が企画する研修】

 本年度、道研の新しい研修様式による研修講座受講への積極的な働きかけをしていただいたことに深く感謝申し上げる。

 来年度、道立教育研究所が企画する研修については、現在検討中であるとともに、周知の方法についても現在検討中であるため、決定後、あらためて連絡する予定。

 なお、教務主任等を対象とする悉皆研修の位置付けであるカリキュラム・マネジメント実践研修については、来年度、空知、石狩、渡島、檜山の4管内で実施予定であり、各教育局とも連携して実施するので、対象管内の教務主任等の参加について特段の配慮をお願いする。

【管内高校教科指導力向上研修講座】

管内高校教科指導力向上研修については、本年度も積極的な申込をいただき、各管内の数学、地歴・公民、英語の研究会と連携して、5管内で計5講座を予定していたが、新型コロナウイルス感染症対策の関係で渡島・檜山管内合同による地理歴史・公民科において1講座のみの実施であった。実施に当たっては、「新学習指導要領の動向について理解を深めることができた」などの感想が寄せられた。

 来年度も、学習指導要領改訂の趣旨を踏まえた授業改善や教科担当者相互の継続的なネットワークづくりを目的としているので、特に教職経験年数の少ない教員の割合が高い地域や、距離的な要因によって研修機会が少ない管内において、戦略的な活用をお願いする。

【3年度のプロジェクト研究】

2年11月6日付教研第1313号によって、道研では、2年度から4年度までの3年間、GIGAスクール構想の実現に向けたICTの効果的な活用を含めた、本道における教育課題の解決を図るための研究に取り組んでいる旨通知した。

本研究の趣旨を理解いただくとともに、研究内容によっては、今後、連携・協力させていただくことも考えられるので、その際には特段の配慮をお願いする。

(連載終わり)

(道・道教委 2021-02-02付)

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