【解説】文化庁 新しい公用文作成要領
(解説 2021-03-16付)

 文化庁は12日、「新しい“公用文作成の要領”に向けて(報告)」をまとめた。公用文の範囲を「法令」「告示・通知等」「記録・公開資料等」「解説・広報等」に類型化し、それぞれの考え方を明示。多くの人になじみのない外来語については、日本語に言い換えるよう提案している。

 現行の公用文作成の要領は昭和27年に各省庁に通知。約70年が経過して公用文における実態や社会状況の食い違いが生じており、SNSの使用など情報発信の方法・手段が多岐にわたり、国際化の進展や社会変化に伴う読み手の多様化が一層進むことが予想されている。

 このため、文化審議会国語分科会は平成30年から新しい公用文作成の要領について審議を開始。12日の第76回分科会で報告をまとめた。

 中では、告示・通知など法令に準ずる文書は法令と一致した表記を用いること、国民に直接向ける広報では読み手に合わせた平易な書き表し方を積極的に認める考え方を示した。

 外来語を漢語・和語に置き換えた方が分かりやすい場合に言い換えるよう提案し、「アジェンダ」を議題、「インキュベーション」を起業支援、「インタラクティブ」を双方向的とするなどの具体例を記載。このほか、読点は「,」でなく「、」を用いることを原則とし、符号等の使い方などを示した。

 同日開かれた記者会見で萩生田光一文部科学大臣は、分かりやすい日本語で伝えることが大切とする一方、若年層・年配者間で分かりやすい言葉に違いがあるなどの困難さも指摘。国民に直接情報を伝える際、社会状況や日本語の変化に対応して分かりやすい表現を積極的に使うとし、公用文をより伝わりやすいものとすることを心がけていくと述べた。

(解説 2021-03-16付)

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