札幌市内 国研2年度 指定校の研究概要〈下〉 活動の達成感など意識 北野平小 自主的な話し合い活動
(札幌市 2021-04-07付)

▼研究課題

 学習指導要領の趣旨を実現するための学習・指導方法および評価方法の工夫改善に関する実践研究

▼研究主題

 多様な他者と協働し、集団や社会に参画する力を高める特別活動~よりよい人間関係を築く力を高め、自己の生き方についての考えを深めていく子の育成

▼研究内容

①自主的・実践的な話し合い活動の充実

②6年間の育ちを意識した学級活動年間計画

▼具体的な研究活動

▽研究内容①

 児童が主体的に話し合いに臨むためには、議題が自分事で必要感を感じるものでなければならない。そのために、全学級に議題箱を設置したり他校の議題例を掲示したりしながら、児童が主体的に議題について考えられるような環境を整えた。

 また、日常の会話で児童の思いを引き出したり、教師から提案をしたりするなど、様々な手立てを取りながら、学級の生活上の課題の改善につながり、児童が必要感のある議題を自分たちで選定することができるようにするために、教師が配慮すべきことを多くの実践から探ってきた。

 2年度は学級会ノートに、事前の自分の意見や話し合いの振り返りだけでなく、活動の振り返りまで書ける形式にした。一連の活動の流れが1枚にまとまっていることで、児童の意識の流れや変化が把握できるようになった。

 また、話し合いの中での司会の進め方や、友達の発言の内容まで気付いている姿を見取ることができ、経験を積む段階での成長の様子が分かり、適切な評価につなげることができるようになった。

 さらに、学級会ノートの振り返り項目を育てたい力が分かる文言にしていくことによって、児童自身が話し合いの中で何を目指したらよいのかを意識できるようになってきた。

 このように、学級会ノートを活用しながら児童の育ちを見取る工夫を積み重ねてきた。

▽研究内容②

 学級活動では、似ている題材名でも、その特質を踏まえ、発達の段階による系統性を明確にした指導内容になるように考慮しながら実践してきた。

 学級活動の個人目標を意思決定する取組では、学校全体でキャリア・パスポートを整備し、効果的な指導が行えるように流れを工夫しながら実践してきた。年間指導計画作成に当たっては、それぞれの特質を明確にしながら、学校行事等を考慮し、時期や内容を精査する議論を繰り返してきた。

 6年間の円滑な積み上げを図るために、各領域の縦のつながりを意識した見直しを行ってきた。題材の指導のねらいを6年間で系統立てて設定し、実施時期や他の題材との関係性も考えながら年間指導計画の中に位置付けてきた。年間指導計画に題材名や指導のねらいを具体的に明記することを大事にしながら整備を進めてきた。

▼研究の成果と課題

▽研究内容①

〈成果〉

 児童が必要感を感じる議題を選定するためには、「相手意識がはっきりしているもの」「自分たちがもっとよくなりたいと思えるもの」「活動に達成感や充実感が伴うもの」であることを意識することが重要であり、児童が主体的な話し合いを進めるためには必要であると分かった。

 話し合いを支える教師のかかわりとして重要なことは、提案理由に沿った話し合いになるように、発言のイメージを共有する手助けをしたり、話を整理したり、内容を焦点化したりする適切な指導助言が必要であり、的確な指導が行われることが、より良い合意形成につながっていくことが再確認できた。

 また、話し合い後の振り返りで、よさや課題などの評価を的確に伝えていくことで、つぎの話し合いや実践への意欲につながっていくことが分かった。

 学びの足跡を見える化する取組は、児童が自分たちの成長を実感したり課題を再確認したりするための手立てとして大変有効であることが確認できた。

 学級会ノートの振り返りの項目を、児童の目指す姿に合わせた内容に更新していくことによって、自己評価を促す効果も確認できた。

 また、振り返りの視点を与えることによって視野が広がり、自分のことから周りの友達のことへ意識できる幅に広がりがみられた。

 全校での取組を通して、児童の主体的に取り組む姿や話し合いの価値や意義を実感する姿がどの学年においてもみられるようになった。

 また、話し合いを支える教師のかかわりの必要性を意識しながら指導する教師の姿が広がった。

〈課題〉

 学級会や活動を行っていく上で、評価規準や目指す子どもの姿を、より明確にして指導していくことが必要であると感じた。

▽研究内容②

〈成果〉

 学級活動の特質を明確にするためには、ねらいを明確にし、指導内容の関連や統合を図りながら指導の充実を目指していくことが大切であることが分かった。

 育てたい力を意識して学校全体で取り組むことの意義が理解できるようになった。

 指導から実践、振り返りまでの一連の流れを大切にした授業を行うことができるようになったとともに、今後のために資料やワークシートを残すことができた。

〈課題〉

 より実態や発達の段階に合った学級活動年間指導計画への見直しを図っていくことが必要である。

(札幌市 2021-04-07付)

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