十勝管内3年度教育推進の重点 一人ひとりの学び実現 村上局長 十勝担う人材育成
(道・道教委 2021-04-28付)

十勝教育局長村上由佳
十勝教育局・村上由佳局長

 【帯広発】十勝教育局の村上由佳局長は4月中旬、幕別町内の十勝教育研修センターで開いた管内小・中学校校長会議で、令和3年度管内教育推進の重点を説明した。テーマ「十勝らしい一人一人の学びの実現」のもと、「社会で活きる力の育成」「豊かな人間性と健やかな体の育成」「地域総がかりで学びを支える体制の構築」などの5点を柱に設定。村上局長は「皆さんと手を携え、つぎの十勝を担う人を育てていきたい」と呼びかけた。教育推進の重点はつぎのとおり。

◆はじめに

 社会の変化が加速度を増し、複雑で予測困難となってきている現在、新型コロナウイルス感染症の拡大によって長期にわたり学校の臨時休業が行われる一方、GIGAスクール構想によって、1人1台端末および高速大容量の通信ネットワークの早期実現に向け、学校におけるICT環境整備の取組が進められるなど、大きな変化が短期間に生じている。

 こうした中、この4月から小・中学校共に全面実施となる新学習指導要領では、一人一人の児童生徒が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるようにすることや、学校教育全体および各教科等の指導を通してどのような資質・能力の育成を目指すのかを明確にしながら、教育活動の充実を図ることが求められている。

 こうしたことから、元年度末に管内の関係教育機関等と検討を重ねて策定した、とかち小・中学校職員人材育成基本方針に基づく教員の資質・能力向上の取組を3年度も引き続き進め、充実を図るとともに、1人1台の端末等のICT機器が学校教育の基盤的なツールとして活用され、多様な子どもたち一人ひとりが自立した学習者として学び続けていけるようになることを目指し、本年度も「十勝らしい一人一人の学びの実現」をテーマに、“十勝はひとつ”の合言葉のもと管内教育を推進していく。

◆管内教育推進の重点

 十勝の子どもたちを取り巻く環境を考えると、広大な平野、豊かな食文化、開拓者の精神を引き継ぐ人々、えき病や自然災害など大きな災害を地域が一体となって乗り越えた経験、独自の文化を育んできた土地柄などがあるのではないか。子どもたちを取り巻く十勝の環境を生かした学びが、十勝らしい一人一人の学びであり、具体的には

▽ふるさとへの誇りと愛情をもち、新しい時代を切り拓く資質・能力を身に付けるための学び

▽子どもたちが自らの生活を振り返り、よりよい習慣づくりを進めていくために、家庭と地域が連携した学び

▽過去の災害・震災等の経験を踏まえた、学校や地域における組織的な安全教育の充実によって、子どもたちが自らの判断で危機対応できるための学び

 ―と考えた。

【重点 社会で活きる力の育成】

 先行き不透明な社会で活きる力を子どもたちに確実に育むため、カリキュラム・マネジメントや授業改善など、組織的な取組等によって、教育活動の質を向上させることが求められている。

▼学校全体で教育の質を向上する

▽社会に開かれた教育課程の実現

 これからの時代を生きていくための力とは何かを学校と社会が共有し、新学習指導要領の趣旨を踏まえた組織的な取組を推進する必要があるため、

①学校として育成を目指す資質・能力を踏まえた、全教職員によるカリキュラム・マネジメントの推進

②主体的・対話的で深い学びの実現に向けた組織的な授業改善の推進

③ICTの環境整備と組織的な活用・授業改善の推進

④学校として育成を目指す資質・能力を踏まえた学校評価の実施による組織的な学校改善の推進

⑤関係部署との連携による幼児教育の質の向上

 ―の5点を重要な視点として考えている。

 教育局としては、義務教育指導監・義務教育指導班による継続的・計画的な指導助言、学習指導要領の趣旨等を踏まえた教育課程の編成・実施・評価・改善に向けた支援、組織的な取組を促進するための組織力強化会議の実施、各地域の実態に応じた校長会研修・教頭会研修・ミドルリーダー研修・若手教員研修・市町村教委主催の研究会等の充実に向けた支援、授業改善推進チーム(帯広市)を中心とした局独自のICT活用実践事業によるICT活用にかかる情報提供等の支援、幼児教育ネットワーク会議等を通した管内の課題解決に向けた支援などを進めていく。

 各学校等においては、学校教育目標をもとにした育成を目指す資質・能力の明確化と地域、家庭との共有および全教職員によるカリキュラム・マネジメントへの取組、主体的・対話的で深い学びの視点を大切にした組織的な授業改善の取組、GIGAスクール構想の確実な実現とICT等を用いた授業実践をはじめとする取組の充実、カリキュラム・マネジメントと連動させた学校評価の質の向上、各学校等の課題解決に資する計画的かつ戦略的な学校教育指導訪問(要請訪問)・教育局出前講座の活用、各種研修等の充実による幼児教育の質の向上などの取組をお願いする。

▽検証改善サイクルに基づく組織的な学力向上の取組

 子ども一人ひとりの学習状況の適切な分析に基づき、教員の経験年数にかかわらず、継続・一貫した教育活動が学校全体で進められるよう、検証改善サイクルの質を高める必要があるため、

①エビデンスに基づく組織的な検証改善サイクルの改善・充実

②指導と評価の一体化による学習内容の確実な定着を図るための組織的な取組の充実

③組織的な指導方法等の工夫による個別最適化された学びの充実

④組織的・系統的な家庭での学習習慣の定着に向けた取組の充実

⑤初任段階教員等の授業力向上に向けたマネジメント機能の確立

 ―の5点を重要な視点として考えている。

 教育局としては、学力の向上を図る学力向上推進事業の成果の普及・組織的な取組を促進するための組織力強化会議の実施、学校力を高める学校力向上に関する総合実践事業の成果の普及、重点とする市町村を中心とした教育局出前講座による学力向上の取組、出前講座や啓発資料の発行など家庭での学習習慣定着に向けた支援、とかち小・中学校職員育成基本方針に基づく初任段階教員の組織的・計画的な育成などを進める。

 各学校等においては、全国学力・学習状況調査やチャレンジテスト等を効果的に活用・分析し、取組の成果を児童生徒の姿で確認する取組、少人数指導やTT(チーム・ティーチング)等育成を目指す資質・能力を確実に育む組織的な指導方法等の改善、組織的な授業改善に資する計画的かつ戦略的な学校教育指導訪問(要請訪問)・教育局出前講座の活用、学習習慣・生活習慣を確立するための家庭と連携した組織的な取組、とかち小・中学校職員育成基本方針を踏まえた初任段階教員等の組織的・計画的な育成などの取組を進めていただくことをお願いする。

▼社会にはばたく力を身に付けさせる

▽地域の未来を担うグローバルな人材の育成

 変化の激しい社会を生きる子どもたちに、地域の未来を担う人材育成の観点から、グローバルなコミュニケーション能力とふるさとへの誇りと愛情をもち、新しい時代を切り拓く資質・能力を身に付けさせる必要があるため、

①外国語でのコミュニケーション能力を高める組織的な取組の推進

②望ましい勤労観や職業観を育む組織的なキャリア教育の充実

③地域の教育資源を活用しふるさとへの理解を深める教育の推進

 ―の3点を重要な視点として考えている。

 教育局としては、外国語活動・外国語科にかかる教員研修の実施、小・中・高校英語教育支援事業の成果の普及、北海道の自然や歴史、文化、観光などの理解を深めるふるさと教育・観光教育推進事業の成果の普及とふるさと学習の推進、小・中・高の学校間の連携と学びの接続を大切にしたキャリア教育の支援、eラーニングシステムを活用した学習機会提供などを進める。

 各学校等においては、小・中、中・高が連携・協働して取り組む外国語活動・外国語の授業改善、小学校におけるCAN―DOリストの作成・改善、全小・中・高校生を対象としたeラーニングシステムの英語教材の活用、育成を目指す資質・能力を明確にしたふるさと教育の推進、キャリア・パスポートや未来創造授業等を活用したキャリア教育の推進、北海道版道徳教材『きた ものがたり』、道徳教育地域教材『十勝野』の活用、修学旅行等における民族共生象徴空間ウポポイの利活用などをお願いする。

▽切れ目のない組織的・継続的な支援を行う特別支援教育の推進

 個々の可能性を伸ばしていくため、合理的配慮を明記した個別の指導計画・個別の教育支援計画に基づき、子ども一人一人のニーズに応じた指導の一層の充実を図る必要があるため、

①個別の指導計画・個別の教育支援計画の質的な向上

②全教職員間、校種間等の引き継ぎの充実

③教職員の専門性・指導力の向上を図る研修の充実

④特別支援学級における指導との関連性を図った交流・共同学習の充実

 ―の4点を重要な視点として考えている。

 教育局としては、幼保・小との連携や特別な教育的支援を必要とする子どもたちの円滑な引き継ぎのための福祉と教育の連携の促進、特別支援教育にかかる適切な教育課程の編成・特別支援学級における指導との関連性を図った交流・共同学習の充実についての指導助言、特別支援教育にかかる研修会・教育局出前講座の実施の取組を進めていく。

 各学校等においては、個別の教育支援計画等を活用した情報共有に基づいた関係機関との円滑な引き継ぎ、通常の学級に在籍している特別な教育的支援を必要とする児童生徒への指導・支援にかかる校内委員会等における検討および個別の指導計画の作成、個別の指導計画に基づいた特別支援学級における組織的な指導の充実と交流・共同学習を通した指導および支援の充実をお願いする。 

【重点 豊かな人間性と健やかな体の育成】

 子どもたちが充実した人生を送るための基盤となる健やかな心や体を育むため、魅力ある学校づくりを推進するとともに、一人ひとりに寄り添ったきめ細かな指導や教育相談を組織的に進めることが求められている。

▼豊かな人間性と社会性を育む

▽「考え、議論する道徳」を要とした道徳教育の充実

 自己を見つめ、物事を多面的・多角的に考え、自己の生き方についての考えを深める学習が行われるよう、考え、議論する道徳への授業改善を推進する必要があるため、

①道徳教育推進教師を中心とした道徳教育の組織的な取組の推進

②道徳教育、特別の教科 道徳の指導計画の効果的な活用

③組織的な授業実践を通した教員の指導力の向上

 ―の3点を重要な視点として考えている。

 教育局としては、学校教育指導訪問や教育局出前講座を通した指導計画の改善・指導力の向上、道徳科の指導計画の改善や授業力の向上、道徳教育推進教師の育成を図る研修会の実施、カリキュラム・マネジメントと関連を図った道徳教育の充実に向けた支援の取組を進めていく。

 各学校等においては、カリキュラム・マネジメントと関連を図った道徳教育の重点の見直しおよび学習指導要領に基づいた指導計画の改善に向けた取組、組織的な道徳科の授業改善と道徳科の評価にかかる共通認識を図るための計画的かつ戦略的な学校教育指導訪問(要請訪問)・教育局出前講座の活用、北海道版道徳教材『きた ものがたり』、道徳教育地域教材『十勝野』の活用をお願いする。

▽いじめやネットトラブル、不登校等の未然防止、早期発見・早期解消の取組の充実

 すべての子どもが安心して学校生活を送り、自己実現を図るためには、学校が家庭・地域との連携を深め、共通の認識をもって、いじめの未然防止の取組や児童生徒理解を進めていく必要があるため、

①保護者や児童生徒の参画を得ながら進める、いじめ防止基本方針の見直しおよび家庭・地域への周知

②差別や偏見等、いじめを許さない子どもを育てるための子どもが主体となった取組の充実

③不登校の未然防止に向けた魅力ある学校づくり、教育相談等の充実、児童生徒理解・教育支援シートなどを活用した不登校児童生徒への組織的な支援

④市町村教委によるいじめ会議の実施

⑤生徒指導の充実に向けた学校や専門機関への相談体制の充実

⑥生徒指導上の諸課題への組織的な対応について理解を深める教員研修の充実

⑦ネットトラブルの未然防止に向けた取組の充実

 ―の7点を重要な視点として考えている。

 教育局として、「いじめはどんな理由があっても許されない」という意識をもつ児童生徒が100%になることを目指した管内地域いじめ問題等対策連絡協議会の取組の推進、どさんこ☆子ども地区会議や十勝いじめ根絶強化月間(11~12月)と連動した市町村のいじめ防止の取組の推進、中1ギャップ問題未然防止事業の成果の普及、教育相談やネットトラブルの未然防止などに向けた市町村の取組への支援、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの派遣、生徒指導上の諸課題への対応力の向上に向けた生徒指導連絡協議会や教育局出前講座の取組を進める。

 各学校等においては、保護者や児童生徒の参画を得ながら進める学校いじめ防止基本方針の見直し、いじめ問題への対応状況等調査を通した、いじめの未然防止の取組の検証と改善、十勝いじめ根絶強化月間(11~12月)の取組の推進、インターネット上のいじめや不適切な行為を防止するための指導と情報モラル教育の充実、市町村ごとのいじめ会議の開催、魅力ある学校づくりや教育相談等の充実、児童生徒理解・教育支援シート等を活用した不登校児童生徒の支援、生徒指導上の諸課題への組織的な対応への理解を深める教育局出前講座等を活用した校内研修の充実をお願いする。

▼健康でたくましい体をつくる

▽心身の健やかな成長を促す教育の充実

 子どもたちが自分の体力の伸びを実感するとともに、その成果を保護者と共有していく組織的な体力向上の取組を推進する必要があるため、

①家庭や地域と連携した望ましい生活習慣の取組の充実

②生涯にわたって豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力を育成する体育、保健体育授業の充実

③全学年全種目実施による新体力テストを踏まえた組織的・計画的な体力向上マネジメントの確立

④全小学校でのフッ化物洗口の実施に向けた体制整備

⑤学校の新しい生活様式の徹底など、新型コロナウイルス感染症に備えた取組の充実

 ―の5点を重要な視点として考えている。

 教育局としては、各市町村や研究団体と連携したどさんこ体力アップ強調月間の推進、体育専科教員活用事業における成果の普及・運動プログラムの作成・普及啓発、体育・保健体育の授業改善に向けた教員研修の実施、新体力テストを効果的に活用した体力向上にかかる好事例の紹介、学校の新しい生活様式の定着など新型コロナウイルス感染症対策にかかる情報提供、関係機関と連携したフッ化物洗口の実施にかかる支援の取組を進める。

 各学校等においては、家庭や社会教育との連携によって、体力向上マネジメントをもとにした児童生徒が日常的に運動に親しむ機会を増やす取組、新体力テストを全学年で複数回実施することによる目標を明確にした体力向上のマネジメントの確立、生涯にわたって豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力を育成する体育・保健体育の授業改善、学校の新しい生活様式の定着など新型コロナウイルス感染症対策の徹底をお願いする。

【重点 地域総がかりで学びを支える体制の構築】

 子どもたちが豊かな経験を重ねながらたくましく成長していくため、家庭を含む地域総がかりで目標を共有し、それぞれの役割を確実に果たしていくことが求められている。

▼家庭と連携して子どもの学びを支える

▽家庭の教育機能の発揮に向けた取組の充実

 子どもたちが自らの生活を振り返り、よりよい習慣づくりを進めていくためには、学校教育だけでなく、家庭や地域と連携する必要があるため、

①PTAや各団体が主体となった研修機会や学習機会の拡充

②子どもの読書環境の整備や読書活動の充実に向けた取組

 ―の2点を重要な視点として考えている。

 教育局としては、PTAの研修会等に対する情報提供および内容に関する指導助言、各団体が自主的・主体的に研修会等を行うための支援、子どもの学力・生活習慣改善研修会の開催、家庭ふれあいキャンペーンとかち家族だんらんノーテレビデーの推進の取組を進める。

 各学校等においては、望ましい生活習慣の定着に向けた取組、ネット利用に関するルールづくり、学校司書の配置や地域人材との連携、市町村立図書館との連携など、子どもの読書環境の整備や読書活動の充実を図る取組をお願いする。

▽家庭教育を支える社会教育の充実

 市町村や関係団体、企業等と連携・協働した地域における家庭教育支援活動の推進を通して、家庭の教育力の向上を図る必要があるため、

①家庭教育支援を担う人材の育成

②家庭教育支援に取り組む団体のネットワーク構築に向けた支援の充実

 ―の2点を重要な視点として考えている。

 教育局としては、家庭教育に関する学習機会の提供、地域人材による家庭教育支援推進事業家庭教育支援者養成研修の実施、家庭教育支援チームの設置に向けた支援、家庭教育サポート企業や福祉関係者との連携促進および取組の拡充に向けた支援の取組を進める。

 各学校等においては、保護者が子育てや家庭教育について情報交流できる場の拡充、家庭教育サポート企業や福祉関係者との連携促進および取組の拡充、家庭教育支援を担う中核的人材を養成するための研修会実施をお願いする。

▼地域と協働して子どもの学びを支える

▽学校と地域の連携・協働体制の確立

 地域全体で子どもたちの成長を支えるため、社会に開かれた教育課程の理念に基づいた、地域住民等の幅広い参画を進める必要があるため、

①コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な推進に向けた取組の充実

②学校と地域をつなぐコーディネート機能の強化

 ―の2点を重要な視点として考えている。

教育局としては、コミュニティ・スクールの推進・充実を図るための推進協議会の開催、市町村や学校のニーズに応じた情報提供や指導助言の機会の拡充、コミュニティ・スクールを推進するコーディネーターを養成する研修会の開催、地域学校協働活動を担う人材を養成する研修会の開催の取組を進める。

 各学校等においては、コミュニティ・スクールの機能の充実、地域学校協働本部(類似組織を含む)との連携、地域学校協働活動推進員(コーディネーター)の配置、地域との連携推進を担う人材の配置等、地域とともにある学校づくりの実現に向けた体制の整備をお願いする。

▽地域の教育力を高める社会教育の充実

 学校と地域が一体となって子どもたちの成長を支えるため、地域の教育力を生かした学校づくりを進めるとともに、関係機関等との連携・協働による地域の特色を生かした取組を推進する必要があるため、

①社会教育関係団体の活性化に向けた支援

②地域活動を担う人材の育成

③地域の様々な団体や企業等との連携・協働の推進

 ―の3点を重要な視点と考えている。

 教育局としては、社会教育関係団体等の研修会への情報提供・指導助言、社会教育士取得のための社会教育主事講習受講の推奨の取組を進める。

 各学校等においては、経験や技能を有する地域人材を活用した魅力ある教育活動の推進、地域における子どもの活動拠点づくりを担う人材の育成・資質向上を図る取組をお願いする。

【重点 学びをつなぐ学校づくりの実現】

 子どもたちが安心して登校し、教職員が情熱や専門性を発揮して指導等に当たるため、校種間連携や安全・安心の確保に向けた取組などによって、学校に対する信頼を高めていくことが求められている。

▼子どもの学びをつなぐ

▽校種間の学びをつなぐ取組の充実

 校区内の各校種間で目指す子どもの姿を共有するとともに、学校段階間の接続をスムーズに進める体制を整備する必要があるため、

①校区内の学校間での目指す子どもの姿の共有

②教職員の共通認識に基づく組織的・計画的な幼保小、小中、中高の接続の推進

③乗り入れ授業や研修機会等の拡充を通した小中、中高の連携

④幼児期の終わりまでに育ってほしい子どもの姿を踏まえた幼児教育施設と小学校との連携

―の4点を重要な視点として考えている。

 教育局としては、小中一貫教育サポート事業の成果の普及と市町村のニーズに応じた支援、幼保小、小中、中高連携の状況把握および組織的・効果的な連携にかかる指導助言、幼児教育施設と連携したスタートカリキュラムの作成・改善にかかる指導助言、地域の子どもを育てる視点に立った道立学校と市町村教委との連携の促進、幼児教育施設と小学校との組織的な連携の在り方にかかる指導助言、研修の実施(幼児教育推進センターとの連携)の取組を進める。

 各学校等においては、幼児教育施設と連携したスタートカリキュラムの改善、小学校における幼児期の終わりまでに育ってほしい子どもの姿を踏まえた授業・保育参観や合同研修会の実施、小中連携・地域連携の推進を踏まえた校務運営体制の整備、中学校区における学習規律や学習過程の統一、乗り入れ授業等段差の解消に向けた組織的な取組の充実をお願いする。

▽子どもの安全を確保する取組の充実

 過去の災害・震災等の経験を踏まえた学校や地域における組織的な安全教育を充実させ、子どもたちが自然災害を正しく理解し、自らの的確な判断で、危機対応ができる能力を育成する必要があるため、

①地域住民と連携した組織的な安全教育の実施

②大規模災害にも適切に対応できる危機管理の徹底

③通学路安全マップの見直しおよび家庭、地域への周知

 ―の3点を重要な視点として考えている。

 教育局としては、交通安全、防犯、防災にかかわる学校安全推進会議の開催、道の危機管理対策課と連携した1日防災学校の開催・成果の普及、危機管理マニュアルや通学路安全マップの改善にかかる指導助言、道実践的安全教育モデル構築事業の成果の普及の取組を進める。

 各学校等においては、地域住民と連携した見守り活動や防災訓練等の実施、各学校等の課題や実態を踏まえるとともに、大規模災害に適切に対応できる学校安全計画や危機管理マニュアル等の諸計画の見直しと改善、通学路安全マップの作成や防犯教室の実施等、児童生徒の危機対応能力を育成する取組、関係機関と連携した通学路交通安全プログラムに基づく取組の充実をお願いする。

▼信頼される学校をつくる

▽信頼の基盤となる服務規律の保持・徹底

 管内では、教員によるわいせつ事故、体罰、交通違反など学校教育の信頼を失う事案が多く発生しており、不祥事をゼロにするため、一層の服務管理と服務規律の保持・徹底を図る必要があるため、

①教職員一人ひとりの自覚を促す不祥事の未然防止に向けた取組

②互いに注意喚起できる風通しのよいチェック機能の強化

 ―の2点を重要な視点として考えている。

 教育局としては、管内コンプライアンス会議を早期に開催し、年間を通した取組の徹底の取組を進める。

 各学校等においては、教育公務員としての自覚を促す指導の徹底、透明性の高い指導体制の確立など、不祥事の未然防止に向けた取組のための職場研修の継続的・反復的な実施、教育活動上の課題や兆候を見逃さない管理職の取組と教職員相互のチェック機能の強化、若手・期限付教員を対象とした研修会の充実、学校職員人事評価制度を活用した個別指導の実施をお願いする。

▽効果的な教育活動を持続的に行える環境の整備

 教員が子どもの指導に使命感をもって専念し、生き生きと教育活動を推進することができるよう、学校における働き方改革を着実に推進する必要があるため、

①学校における働き方改革を着実に推進するための組織的な取組

 ―を重要な視点として考えている。

 教育局としては、学校における働き方改革「北海道アクションプラン」の周知徹底、各学校等における取組の支援と工夫事例の収集、働き方改革をサポートする人材の派遣、働き方改革推進会議における市町村教委等との協議・意見交換の実施の取組を進める。

 各学校等においては、各市町村において策定した働き方改革推進プランや各市町村・各学校において策定した部活動の在り方に関する方針の進ちょく状況の把握と、実情に応じた効果的な取組の検討をお願いする。

▽管内教育を活性化させる人材育成と教職員人事の適正化

 これからの十勝教育の発展を支え、将来の学校運営を担う人材を育成するため、主任層を積極的に学校運営に参画させるとともに、人事異動の趣旨に基づく適正な人事を推進する必要があるため、

①スクールリーダーを育成する学校運営の充実

②教職員人事異動実施要項に基づくブロック間異動を通した年齢構成の適正化の促進

 ―の2点を重要な視点として考えている。

 教育局としては、とかち小・中学校職員人材育成基本方針に基づく取組の充実、中堅教員に対するスクールリーダー研修会などの育成支援、管理職の環境整備や女性管理職育成と女性活躍を目指した研修会の計画的な開催、管内公立小中学校教職員人事推進会議を開催し、市町村教委と共通認識をもち、教職員構成の適正化に向けた方策等の協議、公立学校小中学校管理職の他管交流の推進について(道教育長通知)による管理職の広域人事、道公立小中学校教職員広域人事実施要項および管内公立小中学校教職員広域人事推進方針による教職員の広域人事の促進の取組を進める。

 各学校等においては、とかち小・中学校職員人材育成基本方針に基づく取組の充実、メンターチームを活用したOJTの推進、意図的・計画的な道研講座等の校外研修への参加、社会の変化に対応した校務運営組織の積極的な検討、学校職員人事評価制度を活用した人材育成と、教職員のキャリアアップの視点をもった人事異動の推進をお願いする。

【重点 地域づくりにつながる生涯学習の充実】

 子どもや大人が学んだことを生かせる地域づくりを進めるため、地域の伝統・文化や地域課題等に対する理解を深める機会を増やすなど、生涯にわたって学び続ける環境を整える取組を推進することが求められている。

▼活力ある地域づくりを推進する

▽地域での多様な学びを推進する社会教育の充実

 生涯を通じて、地域における多様な学びを推進する社会教育の充実を図り、学びの成果を地域づくりなどに生かせる環境をつくる必要があるため、

①首長部局との連携による地域課題の解決に向けた学習機会の拡充

②住民の学びを地域活動として生かす体制づくりの推進

③学習拠点としての社会教育施設等の機能の充実

 ―の3点を重要な視点として考えている

 教育局としては、地域人材(ボランティア)の育成と活動支援、道民カレッジ連携講座への登録の促進、地域課題解決に向けた地域住民の学習機会の支援、障がい者の生涯学習推進コンソーシアム形成事業(市町村教委等職員対象研修会)の実施の取組を進める。

 各学校等においては、道民カレッジ連携講座への登録、障がい者の生涯学習推進コンソーシアム形成事業(市町村教委等職員対象研修会)への参画をお願いする。

▼文化施設等を活用した学校教育、社会教育を推進する

▽生涯を通じた芸術や文化財等にふれる機会の充実

 各世代ごとに、地域の歴史や文化への理解を深め、子どもと地域住民が一体となって地域の文化的活動を推進する必要があるため、

①美術館や博物館等を活用した地域や芸術への理解を深める教育活動の推進

②史跡や博物館等を活用した地域への関心を高める学習の推進

 ―の2点を重要な視点として考えている

 教育局としては、美術館、博物館等のイベント情報の発信、道家庭教育サポート企業等制度を通した子育て支援の取組を進める。

 各学校等においては、美術館、博物館等を活用した教育活動や生涯学習の機会の拡充、地域の伝統的な芸能活動等への参加促進、大人と子どもがふれあい、共に活動する機会の拡充をお願いする。

◆むすびに

 平成18年4月、先人のたくましい開拓精神で拓かれた十勝野の風土を背景に、十勝管内教育委員会連絡協議会が宣言した「十勝教育の日」の趣旨は、そのスローガン「十勝はひとつ」のもと、管内の教育関係者の英知と情熱を結集することにある。縦のつながりをみれば、先輩から受け継ぎ、後輩へと受け継がれていく伝統と文化によってもたらされる管内教育の深さがあり、横の広がりをみれば、家庭や地域、関係機関と一体となった十勝の風土が紡ぐ広さがある。

 この十勝教育の一年を、それぞれの学校、それぞれの地域、それぞれの立場で担うことに誇りをもつ皆さんと手を携えながら、つぎの十勝を担う人を育てていきたい。

(道・道教委 2021-04-28付)

その他の記事( 道・道教委)

道教委 3年度働き方改革推進事業 恵庭など13市町村で 35校 手引活用し業務改善

 道教委は、令和3年度働き方改革推進事業の推進地域と推進校を決定した。推進地域は恵庭市など新規7市町村を含む13市町村、推進校は新規10校を含め、小・中学校、高校、特別支援学校合わせて35校...

(2021-04-30)  全て読む

道教委「みんなでムーブ」制作始動 日常的に踊れる作品を 札幌南高生 振付など考案

みんムー打ち合わせ  札幌南高校(廣田定憲校長)ダンス部によるリズム運動の動画教材「みんなでムーブ」(みんムー)の制作活動がスタートした。児童生徒の体力向上や運動習慣の確立を目的に道教委が立ち上げた取組。27日...

(2021-04-30)  全て読む

石狩管内3年度教育推進の重点 情報教育充実など目標6点 堀本局長 道立学校長に要請

石狩教育局長堀本厚  石狩教育局の堀本厚局長は、20日にオンライン開催した管内道立高校長・特別支援学校長会議で令和3年度管内教育推進の重点(道立学校版)を示した。「社会で活きる力の育成」など、目標は6点。1人1...

(2021-04-28)  全て読む

特別支援ICT就労促進実践校 札幌視覚支援など5校に 道教委 7月から学習開始

 道教委は、令和3年度の新規施策となる特別支援学校ICT就労促進事業の実践校を決定した。札幌視覚支援学校など5校で、7月からヤフー㈱との連携によるウェブマーケティングの授業実践やICTの基礎...

(2021-04-28)  全て読む

道教委が小・中指導主事研究協議会 多様な学び 実現目指す 指導助言の方向性など協議

 道教委は26日、令和3年度公立小・中学校各教科等担当指導主事研究協議会をオンラインで開催した。義務教育担当指導主事など約200人が参加。中央教育審議会答申を踏まえ、学習評価の改善やGIGA...

(2021-04-28)  全て読む

オホーツク管内3年度教育推進の重点 地域課題探究型の教育を 野上局長 高・特校長へ要請

管内教育推進の重点、全景  【網走発】オホーツク教育局の野上義秀局長は20日、網走市内の北コミュニティセンターで開かれた管内高校・特別支援学校長会議で令和3年度管内教育推進の重点を説明した。「社会の変化に対応する教育...

(2021-04-27)  全て読む

オールオホーツクで学力向上を! 指標設定や端末活用など オホーツク局 HPに優れた行動計画

 【網走発】オホーツク教育局は、管内学力向上支援事業「オールオホーツクで学力向上を!」におけるロードマップの優れた取組例を同局ホームページに掲載している。具体的取組内容や目標指標の設定、1人...

(2021-04-27)  全て読む

道教委 オリパラ教育推進事業 拠点校は留寿都小など 5月28日に地域セミナー

 道教委は、オリンピック・パラリンピック教育推進事業の令和3年度推進校を決定した。すべて新規で、拠点校に留寿都村立留寿都小学校など8校、協力校に拠点校地域内の小・中学校13校の計21校を決定...

(2021-04-27)  全て読む

道教委 地学協働活動推進事業 12校で探究型教育推進 高校・自治体・産業界つなぐ

 道教委は、令和3年度新規事業「北海道CLASSプロジェクト(地学協働活動推進実証事業)」の研究指定校を決めた。道内4ブロックごとに推進校、連携校を各1校指定。加えて、前年度まで取り組んでき...

(2021-04-27)  全て読む

道・道教委 4年度文教施策等要望 感染症対策など7重点 ICT支援員配置促進要請

 道、道教委の令和4年度国の文教施策および予算に関する提案・要望が22日の教育委員会議で決定した。重点要望は7項目で、新型コロナウイルス感染症対策のための財政措置の継続、少人数学級拡大に伴う...

(2021-04-26)  全て読む