宗谷管内3年度教育推進の重点 資質・能力を“今”確実に 子の未来保障へ6つの重点(道・道教委 2021-05-12付)
宗谷教育局・田中賢一局長
【稚内発】宗谷教育局の田中賢一局長は4月中旬、宗谷合同庁舎で開いた管内教育委員会教育長会議および小中学校長会議などで、令和3年度管内教育推進の重点について説明した。テーマ「子どもの未来保障+10」の実現のため、「学力保障」「業務改善」など6つの重点を掲示。未来を生きる子どもたちに、必要な資質・能力を、“今”確実に身に付けさせるため、市町村教委と連携し、各種施策を進めていくとした。教育推進の重点の概要はつぎのとおり。
【テーマの説明】
テーマは「子どもの未来保障+10」とした。未来を生きる子どもたちに、必要な資質・能力を“今”確実に身に付けさせることを意味している。6つの重点に基づく取組は、1つの重点に対して1つの取組ではなく、3つの重点ごとに取り組む内容をまとめて示した。
【重点1 学力保障】
学校は、予測困難な未来社会を生きる子どもたちに、“今”確実に資質・能力を身に付けさせる必要がある。その基礎となる学力を、学校の教育課程を通して確実に身に付けさせることは、学校および教職員の最大の責務であり、子どもたちのために保障するべき唯一の内容である。
【重点2 業務改善】
すべての子どもに、確実に資質・能力を身に付けるための教育活動を厳選し、子どもの未来保障に結び付く教育活動を確実に進める必要がある。
【重点3 施策理解・推進】
国や道、各市町村の教育施策に基づき、根拠をもって毎日の教育活動を実施することが、教育公務員としての責務であり、順守すべき内容である。
宗谷管内は、施策を確実に理解し推進することに弱さがみられる。今、子どもたちに何が必要か、どのような方向に進むべきかなどについて、国の答申や学習指導要領に基づいて確実に進めることが重要である。
【重点1~3に基づいた取組】
▼学校経営改革
▽教育局の取組
資質・能力を確実に身に付けることの指標として、管内学力向上推進会議で定めた「全国学力・学習状況調査で、すべての児童生徒が、全国平均+10ポイント」を掲げた。目標実現のための学校経営体制の整備を指導助言する。
また、教員にとって授業が最も重要なことから、資質・能力を育成する授業改善について、先生一人ひとりの授業改善について指導助言する。
▽各市町村教委・学校の取組
学校経営方針を具体化した教育活動を進めることと、学校経営の最高責任者である校長の意思決定が、迅速に反映する仕組み作りを進めること。
また、主体的・対話的で深い学びを実現する授業改善の徹底を進める。
▼教育課程の検証・改善
▽教育局の取組
児童生徒への資質・能力の育成状況に応じて、迅速に教育課程を改善することができるよう変化に対応できる教育課程の編成・実施を指導助言する。
また、各教科等の見方・考え方の充実を図るよう、教科学習等を重視し、教育課程を通して資質・能力を育成するよう指導助言する。
さらに、児童生徒への資質・能力の定着状況を確実に把握し改善する。短期的な成果検証の継続を指導助言する。
▽各市町村教委・学校の取組
学校の教育課程が固定化したものではなく、資質・能力の定着の状況を踏まえ、柔軟に変化する教育課程を編成することができるよう、余裕のある教育課程の編成・実施を進めること。
また、教科等学習の成果を把握することができるよう、週案等による1週間ごとの教育活動の成果の振り返りを進めること。
さらに、教育活動の状況に応じて適切な期間による短期的な教育課程の成果状況の把握・改善・充実を進める。
▼重点施策推進
▽教育局の取組
予測困難な時代を生きる児童生徒に、確実に資質・能力を育むため、教育施策をしっかりと理解し、推進する学校づくりを指導する。特に、小学校教科担任制の導入、ICT活用・オンライン学習の推進、学校の教育目標の実現に向かう業務を精選するなど、業務改善について指導助言する。
▽各市町村教委・学校の取組
本年度から、小学校高学年における教科担任制の実施とその成果把握を進めること。
また、新型コロナ感染症対策の有無にかかわらず、時代の変化に応じたICTの活用やオンラインを活用した授業の展開を進める。
さらに、4月に校長が職員に示した学校経営方針について、その実現の状況を学校評価等で定期的に把握するなど、学校経営方針の実現状況の把握を進めること。
【重点4 地域課題の共有】
児童生徒は地域人材として育成するべきであり、そのため、地域の有する課題を学校も地域住民も共通に理解する必要性を示した。
【重点5 安心・安全な環境の保持】
新型コロナウイルス感染症対策を万全にして学習環境を保持することに加え、標準授業時数を確保した上で、確実に学習内容の定着を図るため、必要な時数を確保するなどの適正化を図ることは、子どもの未来保障を確実にするための基盤としての環境保持である。
また、互いを認め合った中で安心して学ぶことができる人間関係づくりが重要である。
【重点6 生涯学習の充実】
生涯にわたって自己実現を進め、社会の形成者として成長させるため、教育課程における地域との連携の充実を示した。
【重点4~6に基づいた取組】
▼学校・家庭・地域の連携・協働
▽教育局の取組
学校と地域住民が地域課題の共通理解を深めるとともに、学校の教育活動の成果状況を、地域住民等に正しく理解いただくよう、コミュニティ・スクールの導入を働きかけ、その効果的な活用例を示す。
学校評価に数値目標を位置付けるなどの改善・充実を図るよう指導助言する。
また、学校と地域との連携・協働が円滑に進むよう、校務分掌へ地域連携担当部署の設置を指導助言する。
▽各市町村教委・学校の取組
コミュニティ・スクール等を活用して保護者、地域住民との地域課題の共有化を進めること。
また、学校評価において印象評価ではなく、数値目標を位置付けるなど、目標達成状況が分かりやすくする工夫を進める。
さらに、地域との連携を、これまでのように外部対応を教頭だけに委ねるのではなく、校務分掌に地域担当部署を位置付け、教員を配置した上で、組織的かつ円滑な連携を図ること。
▼安全・安心な環境の保持
▽教育局の取組
どのような状況下にあっても、児童生徒に必要な学習機会を確保することを指導する。これまで同様に新型コロナウイルス感染症対策を万全に行うことができるよう指導助言する。
また、すべての児童生徒が、自らの個性を発揮して、安心して学ぶことができるよう、児童生徒理解を深め、寄り添い、他者を尊重する安心して学ぶことができる人間関係づくりについて指導助言する。
▽各市町村教委・学校の取組
各教科等の標準授業時数確保はもとより、児童生徒が納得するまで学ぶことができる妥当な時数を設定するとともに、不登校児童生徒に対し、オンラインを活用した学習やオンラインでの授業参加などを進めること。
さらに、新型コロナ感染症対策の継続とともに、児童生徒一人ひとりが互いの違いを認め合い、安心して話し合い学ぶことができる話し合い活動等の充実を図ること。
▼生涯学習の充実
▽教育局の取組
生涯にわたって児童生徒が地域環境を活用し学びを広げることができるよう、教育課程への地域素材の有効活用を指導助言する。
▽各市町村教委・学校の取組
地域の教育的価値を教育課程に有効に位置付け、不断の見直しを図るなど、社会に開かれた教育課程の編成・実施、およびその成果検証に基づく改善・充実を図る。
【まとめ】
以上、本年度の管内教育推進の6つの重点と、それに基づく各市町村教委・学校の取組を示した。6つの重点は、子どもの未来保障+10の実現、つまり、子どもに確実に資質・能力を身に付けさせることについて必要な内容である。
このため、15項目の学校の取組を学校評価に位置付けていただき、確実に実践し、成果状況について確認していただく。
最後に、学校は、児童生徒に資質・能力を身に付ける機関であり、それが、学校の最大の意義である。6つの重点に基づき、教育課程を通して、すべての子どもに確実に資質・能力を身に付けさせるようお願いする。
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(道・道教委 2021-05-12付)
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