附属旭川小 オンライン研究大会 “探究型の学び”視点に
(学校 2021-07-14付)

附属旭川小がオンラインで教育研究大会
寄せられた質問や意見に応える成田教諭(右)

 【旭川発】道教育大学附属旭川小学校(南部正人校長)は6月から7月にかけて、オンラインで令和3年度教育研究大会を開いた。初回は、5年生の算数と家庭科を公開。道内外から173人の申し込みがあった。6月18日の研究協議では、探究型の学びなどを視点に様々な意見が交わされた。

 同校の研究主題は「探究する子供を育てる教育活動の創造」。令和2~4年度の3ヵ年研究事業で、2年次の研究テーマに「各教科・領域における“探究型の学び”」を据えている。

 本年度の研究大会は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、オンラインで6月18日、25日、7月9日、16日の4回に分散して開催。1回につき2つの公開授業を事前配信し、当日はウェブ会議システムZoom上で研究協議を行った。

 初回は、成田翔教諭による5年生の算数、秋山玲奈教諭による5年生の家庭科の授業を公開。教職員や大学関係者、行政職員、学生、企業など道内から136人・道外から37人の申し込みがあった。

◆“問い”を自ら見い出す 5年算数「小数のわり算」

 同校算数科の研究主題は「問いをもちながら数学的活動を遂行することを通して、問題解決能力を高める算数科の学習」。2年次では、児童の「問い」を軸とした連続的な学びを実現する単元構成や、評価規準をもとにした児童の具体的な姿の明確化を重点に実践してきた。

 今回、成田教諭による5年2組の算数「小数のわり算」を公開。14時間扱いの1時間目に当たる本時の目標を「式や数直線を用いて考えたり、乗法と除法の問題場面を比較したりすることを通して、除法が小数である場合の除法の意味を理解することができる」と設定し、リボン1㍍当たりの値段を調べる活動を通して、小数で割ることの意味を理解させる授業を展開した。

 研究協議では、授業で使用していた授業支援クラウド・ロイロノート・スクール活用のメリットのほか、児童が問いを見い出す教師の手立てや問いを引き出す教師の働きかけなどを中心に質問や意見が交わされた。

 協議を踏まえ、上川教育局義務教育指導班の髙橋哲雄主任指導主事、道教育大旭川校の谷地元直樹准教授が助言。

 髙橋主任指導主事は「数直線から比例の関係を見い出し、立式の根拠とする場面では、具体物や図、数、式などを使って解決したり、表現したり伝え合ったりする数学的活動が設定されていた」などと評価した。

 谷地元准教授は、児童があたかも自ら「問い」を見い出しているかのように導く工夫や、「問い」への動機付けとなる問題設定の重要性などを示した。

◆5年家庭「お金と物」 よりよい生活へ実践

 家庭科の研究主題は「比較により新たな価値観に気づくことを通して“よりよい生活”を探究する家庭科の学習」。2年次では、よりよい生活の追究過程を整理する指導の工夫や、よりよい生活を追究する意欲につなげる評価の工夫を重点に実践してきた。

 今回、秋山教諭による5年1組家庭「生活を支えるお金と物」を公開。4時間扱いの4時間目に当たる本時の目標を「身近な物の選び方・買い方についての課題解決に向けた一連の活動について、考えたことを分かりやすく表現することができる」「生活をよりよくしようと、身近な物の選び方・買い方について工夫し実践しようとしている」と設定し、ヨーグルトの購入計画を立てる買い物疑似体験を通して食品の選び方や買い物の仕方を考える授業を展開した。

 研究協議では、「よりよい買い物の視点」などについて質問が上がったほか、「消費にかかわる難しい内容について、児童の考えを一つ一つ引き出しながら組み立てていた。

 また、全体で視点を共有することで、様々な考えがあることに気付けていた」などの感想が挙がっていた。

 上川教育局義務教育指導班の佐藤鮎美主任指導主事、道教育大旭川校の川邊淳子教授が助言。佐藤主任指導主事は、終末で振り返りの視点を3つ設定していたことにふれ「3つの視点で振り返ったことによって、学びの手応えや自身の変容を見取って自覚することができていた」などと評価した。

 川邊教授は、食べるだけでなく容器の材質にも考えが及ぶようにするなど、「環境への配慮」の視点を取り入れることなどを助言したほか、「小学校の段階から、買い物の学習として選択肢の価値観を学ぶことが重要。今後も随所に選択肢がある授業を実践してほしい」などと期待した。

(学校 2021-07-14付)

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