柔軟な発想で経済活性 十勝の未来づくり応援プロジェクト 金融機関支援で管内5高校(学校 2021-08-19付)
【帯広発】帯広農業高校(大関俊郎校長)、音更高校(三上拓志校長)、更別農業高校(永山鑑造校長)、士幌高校(赤穂悦生校長)、鹿追高校(俵谷俊彦校長)の十勝管内5校は本年度、帯広信用金庫によるおびしん金融経済教育プログラム2021「地元高校生による十勝の未来づくり応援プロジェクト」の支援を受け、様々な取組を進めている。地域の農業資源の新たな活用策など取組概要と期待される効果はつぎのとおり。
【帯広農業高】
▼計画名=十勝の農業資源を活用した機能性食品の開発
▼指導教諭=大和田恭平教諭
▼参加生徒数=14人
▼概要
老化に伴う身体的フレイルであるロコモティブシンドロームを防ぎ、高齢の人でもいつまでも運動を楽しめるサポートを行うため、DFAⅢを配合したヨーグルト開発を行う。
DFAⅢは、イヌリン(果糖からなる水溶性食物繊維)から微生物の酵素の働きでつくられるオリゴ糖。カルシウム吸収促進と骨形成亢進の食品機能性があるため、高齢者だけでなくスポーツに励む若い世代にもアプローチできると考えた。本年度は、部活動の生徒もモニターにしながらデータ収集する。SDGs(持続可能な開発目標)の考えも取り入れ、商品の容器を工夫する予定。日本甜菜製糖をはじめとする企業と連携し、事業化に向けて着実に研究を進めていく。
▼期待される効果と支援
高齢化社会が進行する中、介護負担の軽減や医療費財政の圧縮などにつながる健康寿命を延ばす取組の意義は大きい。
食品機能性のある地元食材の利用は、これまでにない健康関連の地元新商品開発につながることが期待される。また、乳製品消費増にもつながるプロジェクトであり、酪農王国・十勝の農業高校生が取り組む内容としてもふさわしい。
SDGsを意識した取組となっており、若い人材の柔軟な発想を取り入れた取組が期待される。
帯広信金をはじめ、民間企業や専門家等の外部連携を盛り込むなど、計画的なプロジェクトの進行によって、計画どおりの成果を得ることが期待される。
【音更高】
▼計画名=高校生が造る「花」と「森」のガーデン
▼指導教諭=野坂渉教諭
▼参加生徒数=42人
▼概要
学校の敷地内を7つの花のゾーンにわけ、生徒自らが回遊式ガーデンを造成する。普通科でありながら、農業科目を選択できることや、かつて定時制農業科が設置されていたときに花の生産や装飾に特化した取組を行っていたことを生かし、自校の特色を新たに創出する。
活動は、回遊式ガーデンの造成にとどまらず、栽培した花やハーブの利活用を地元企業と考えるほか、交通事故防止啓発活動「ひまわりの絆プロジェクト」に帯広警察署と共に取り組んでいく。
高校生と交流ができるガーデンとして、PR活動を行うとともに、学校周辺エリアのシンボルとなることを目指す。
▼期待される効果と支援
地元企業を巻き込みながら回遊式ガーデンを造成することは、実践的指導を通じた知識・技術の習得や勤労観・職業観の醸成が期待できる。
高校の新たな特色づくりや地域住民との交流活動の企画立案を行い、PR活動を行うことは、生徒の柔軟な発想や行動力を生かした地域経済の活性化に資する。
学校周辺エリアの人口減少・少子高齢化の問題に対して、環境デザイン学習の実践によって課題解決を目指す。前年度の反省ポイントに対する試行錯誤を重ねながら取り組む意義は大きい
【更別農業高】
▼計画名=規格外野菜を利用したナタデココ作り
▼指導教諭=菊池直樹教諭
▼参加生徒数=7人
▼概要
未利用となっている規格外トマトからナタデココを製造し、商品開発する。
ナタデココは、もともとココナッツ果汁を発酵させてゲル化させた食品だが、今回は規格外トマトを使用したナタデココを製造し、地元事業者と連携して商品開発する。開発した商品は更別村の新たな特産物として普及させ、地域密着型の教育を推進することを目指す。
未利用資源を活用した商品開発を行うことで、環境問題などを学習するとともにSDGsへの取組を実践する。
▼期待される効果と支援
規格外トマトからつくるナタデココで商品開発を行うことは、生徒の柔軟な発想や行動力を生かした地域経済の活性化に資する。
商品開発の初期段階から地元飲食店、スイーツ店、道の駅などの地元事業者の意見も十分参考にしながら取り組む計画となっている。ナタデココという用途がやや限定的なアイテムながら、地元事業者との連携のほか、レシピ集やリーフレットなどの販売促進ツールの作成も計画しており、新たな特産物の普及を通して地域に貢献することが期待される。
【士幌高】
▼計画名=エゾシカを資源に!~商品開発で地域を活性化
▼指導教諭=長尾美里教諭
▼参加生徒数=8人
▼概要
士幌町内で駆除されたエゾシカは食肉として処理されず、害獣として取り扱われていることから、これまでの肉加工に関する知識と技術を生かし、地域課題を解決するため商品開発を目指す。
シカの生態を理解するとともに、地域被害について考え、鹿肉を使用した商品開発を行う。同時に鹿肉に対するネガティブな印象を払拭し、鹿肉のイメージアップにも努める。
外部と連携し、マーケティングについて学習することで商品販売方法について考え、実践する。
▼期待される効果と支援
町内に鹿の処理施設がないことから、これまでに鹿肉を活用した商品開発に取り組む町内の事業者はなかったが、肉加工専攻班が培ってきた肉加工技術を生かし、未利用資源の有効活用を図ることは実践的指導を通じた知識・技術の習得や勤労観・職業観の育成が期待できる。
害獣として取り扱われている鹿を資源として有効活用し、鹿肉のイメージアップを図ることは生徒の柔軟な発想や行動力を生かせることが期待できる。
地元産の新たな商品が誕生するという観点で地域に貢献することができる。
【鹿追高】
▼計画名=New Way Project
▼指導教諭=熊谷綾真教諭
▼参加生徒数=7人
▼概要
地元事業者と共に未利用資源のホエイパウダーや規格外ジャガイモを活用した商品の共同開発を実施。
食品ロスの現状やホエイの性質、特徴などを知るための学習会を展開。ホエイパウダーやジャガイモの特徴を踏まえた上で、試作する。試作に対してのアドバイスを地元事業者に求め、生徒は企業・専門家・町民と共に当事者意識をもちながら課題解決を行い、コミュニケーション能力や想像力を身に付ける。
未利用資源の活用を通して、より地域が発展することを目指す。
▼期待される効果と支援
未利用資源のホエイや規格外ジャガイモを活用した商品開発を行うことは、生徒の柔軟な発想や行動力を生かした地域経済の活性化に資する。
地元事業者と連携し、地域の課題解決を目指すことは、実践的指導を通じた知識・技術の習得や勤労観・職業観の醸成が期待できる。
十勝管内の食品ロスの現状把握やホエイの特徴を知るための学習会を実施するなど、生徒が理解を高めながら商品開発を進めていくことが期待できる。
(学校 2021-08-19付)
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