道教委・上磯高 ICT活用学びのDX クラウド上で学び共有 研究協議会 1・3年数学公開
(道・道教委 2021-08-26付)

ICTを活用した学びのDX事業・アプリ
関数アプリを活用した学習を支援

 【函館発】道教委と上磯高校(江尻巧校長)は23日、ICTを活用した学びのDX事業にかかる渡島・檜山管内研究協議会を開いた。1年生と3年生の数学の授業を公開。関数アプリを活用した2次関数における定義域の変化について、生徒が最大値と最小値を求める課題に取り組み、意見をクラウド上に入力するなど、主体的かつ視覚的に理解を深める学習を展開した。

 渡島教育局が主管。約20人が参加した。ICTを効果的に活用する学校の取組や活用方法に関する研究協議を通して、管内のICT教育の推進を図るほか、教員の指導力向上を目指している。

 開会に当たり、渡島教育局の成田仁教育支援課長があいさつ。「ICT機器の活用は主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に生かすこと、学びにおける時間・距離などの制約を取り払うこと、子どもの学習状況に応じた学びを提供できることなどの効果が期待される。各校における主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善など、ICTを活用した教育活動の質の向上に努めていただくようお願いする」と述べた。

 上磯高は、道教委の新規事業「ICTを活用した学びのDX事業」推進校。当日は、1年生と3年生の数学の授業を公開。タブレット端末で関数アプリ「GRAPES」を活用し、2次関数における定義域から最大値と最小値を解く学習に取り組んだ。

 1年A組(生徒数12人)は、小田翼教諭が数学Ⅰを指導。3年A組(生徒数17人)は数学の選択授業で二階堂航教諭が指導した。

 本時の目標はいずれも「関数における定義域と最大値・最小値の関係性について理解する」と設定。

 生徒はタブレット端末やスマートフォンでアプリを起動し、関係式と定義域を入力。アプリは最大値と最小値の範囲を示したグラフが表示される仕組みとなっている。

 理解を深めた生徒は両学年共通の例題に進み、定義域を色分けして解を求めた。

 プリントに回答を記入後、両学年の生徒は、課題「頂点と定義域の位置関係によって最小値はどのように変化するか」について、Google Classroomに意見を入力。「解によって最小値が変わる」「定義域によって最小値が変わる」といった意見に対し、小田教諭はグラフの最小値に注目するよう助言。クラウド上に他学年の生徒を含めた考察が表現されることで、課題を検討し、数学的な見方や考え方の育成につなげた。

 授業公開後の研究協議では、「1年生では、2人で1台タブレットを共有していた点が話し合いに結び付いていてよかった」「クラウドを活用し、異学年で情報共有していた点が互いの進ちょく状況が確認できるため、効果的だった」などの意見が出された。

 オンラインで参加した道教委ICT教育推進局ICT教育推進課の荒瀬匡宗係長は「クラウド上に示された生徒の意見を参考に授業改善に取り組んでいた」と評価した。

◆ICTの効果的活用を 道教委・佐藤主査を講師に演習

 ICTを活用した学びのDX事業にかかる渡島・檜山管内研究協議会では、オンライン参加した道教委ICT教育推進局ICT教育推進課の佐藤公敏主査を講師に、ICTの効果的な活用について演習を行った。

 佐藤主査は、10年前と5年前の教育を提示し、「タブレット端末の普及によって様々な変化が出てきた」とし、「ICTの発達とともに授業づくりがなされてきた」と解説した。

 1人1台端末の活用方法や求められる資質・能力については、情報技術を生徒が手段として適切に活用することの重要性を説いた。

 クラウドサービスを活用した主体的・対話的で深い学びの視点をもった授業例として、Googleのオンライン授業参観を紹介。「教師が一方的に教え込む授業ではないことが特徴。今後は義務教育で1人1台端末を活用し、主体的で対話的で深い学びを実現させてきた児童生徒が入学してくるようになる。高校での準備が必要」と強調した。

 主なクラウドサービスの説明では、プレゼンテーションや表計算作成を行う「ドキュメント」「スライド」「スプレッドシート」について自動的に文書が保存される方法を紹介した。

 続いて、Classroomを実際に活用。参加者は個人の端末にログインし、課題の提出方法を習得したほか、クラウドサービスを活用して教材やテストの作成方法を学び、授業実践に向けて研鑚を積んだ。

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ICTを活用した学びのDX事業・協議会
授業実践に向け演習

(道・道教委 2021-08-26付)

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