道議会質疑 文教委員会(6月1日)(道・道教委 2021-08-31付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼檜垣尚子委員(自民党・道民会議)
▼木葉淳委員(民主・道民連合)
▼中司哲雄委員(自民党・道民会議)
▼寺島信寿委員(公明党)
【答弁者】
▼鈴木淳学校教育監
▼唐川智幸学校教育局長兼ICT教育推進局長
▼中澤美明学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長
▼井上規之社会教育課長兼生涯学習推進センター所長
▼柴田亨高校教育課長兼ICT教育推進課長
▼行徳義朗義務教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長
▼泉野将司健康・体育課長
▼伊藤伸一生徒指導・学校安全課長
◆コロナ対策
Q檜垣委員 5月16日以降、緊急事態宣言期間中に、児童生徒の感染状況によって学校閉鎖や学年閉鎖が多くなっていると受け止めている。
道内の小・中学校や高校等における学校、学年閉鎖や、クラスターの発生状況はどのようになっているのか、学校の対応と併せて伺う。
A泉野健康・体育課長 学校における感染状況等について。ことし4月以降、5月28日現在、札幌市を含めた公立学校の学年閉鎖については29校、学校閉鎖については35校、なお、集団感染として公表されている学校は20校で、全体の1・08%となっている。
こうした中、臨時休業等の措置を講じた場合は、学校の実態や対象学年の発達の段階などに応じて、学習課題の提示や授業動画などの配信、オンライン学習の実施など、学びの保障に取り組むとともに、学校再開後においても、検温や体調管理を含めたきめ細かな健康観察および手洗い、マスクの着用、換気や身体的距離の確保などの基本的な対策はもとより、これまで以上に、感染の原因として考えられる教育活動等を洗い出し、再発防止に努めるなど、感染症対策の徹底に努めている。
Q檜垣委員 道教委では、各学校の感染状況を速やかに把握し、プッシュ型の学校支援を行う取組を行っていることを承知している。
これまで、どのように感染状況を把握し、具体的にどのような学校支援を行っているのか、特定措置地域を中心に伺う。
A泉野健康・体育課長 感染状況の把握等について。ことし4月以降の全道的な感染拡大に伴い、各学校で取り組まれている感染症対策について、より実効性を高めるため、5月に各教育局に管理職を中心とする支援チームを編成した。校内で感染確認した場合は、ただちに支援チームがリモートなどによる聞き取りや直接訪問するなどして、その要因を分析するフォローアップシートを活用しながら、学校保健委員会での取組状況や、ICTを活用した学びの保障などについて、感染症対策と学びの保障に向けた取組の後押しができる支援体制を整えた。
これまでの具体的な学校支援としては、例えば、感染の要因を丁寧に聞き取り、再発防止に向けた具体策の助言、校内感染が疑われる場合には、学校でのPCR検査の実施など、教育局が保健所ときめ細かな連携などの取組を行ってきており、今後も市町村教委や学校に対して、スピード感ある感染症対策に向けた支援に努めていく。
Q檜垣委員 道教委はこれまで、感染拡大を避け、学びを止めない工夫を行うための分散登校やオンライン学習への取組について進めていると承知している。
具体的にどのようなオンライン授業が行われているのか伺う。
A柴田高校教育課長兼ICT教育推進課長 道立学校におけるオンラインを活用した取組について。緊急事態措置における特定措置区域の道立高校等においては、現在、分散登校を実施している。登校して授業を受ける生徒と、家庭で授業を受ける生徒に分けて、学校から家庭にオンラインシステムを活用して授業を配信したり、教室に余裕がある学校では、複数の教室に生徒を分散させ、オンラインシステムを活用して教室間で授業を同時配信したりするなどの工夫も行われている。
Q檜垣委員 小・中学校においても、子どもたちの感染が拡大しており、臨時休業や学級閉鎖等の措置を講ずる学校も多くなっているとともに、感染に対する不安から学校に来ることができない子どももいると聞いている。
新型コロナウイルス感染症の影響下であっても、児童生徒の学びを保障することは重要であり、道教委は今後、どのように市町村教委や学校に、学びの保障に向けた支援しようとしているのか伺う。
A鈴木学校教育監 小・中学校における学びの保障について。コロナ禍のもとでの教育活動の実施に当たっては、地域の感染状況や児童生徒の実態などを十分に踏まえた上で、衛生管理マニュアル等に基づき、学習内容や活動内容を工夫するなどして、学びを止めないことが重要であると考えている。
道教委ではこれまで、感染リスクを低減する安全な活動事例等を情報提供するなどして、地域の感染状況に応じて教育活動を継続するよう指導助言している。
また、学級、学年、全校での休業措置を講じた場合などにおいても、小・中学校に整備された1人1台端末を活用したリモートによる健康観察をはじめ、学習課題や授業動画の配信、双方向のオンライン学習などを積極的に実施するよう指導助言するとともに、地域や学校等の実情を踏まえた効果的な事例などを収集し、普及啓発するなど、市町村や学校の取組を支援していく。
P檜垣委員 緊急事態宣言下の非常事態と言うべき状況であり、前年度の一斉休校と達い、様々な知見に基づいた子どもの学びを止めない様々な工夫が求められている。
道教委では、休校措置を講じた場合などにおいても、学びを保障できるよう整備された1人1台端末を活用したオンライン学習などが積極的に実施されるよう支援していくとのこと。多くの市町村で取り組まれることが期待される。
また、感染対策の一つとして換気や身体的距離を確保するなどの観点から、1学級の人数が定員一杯のような学校では、道立高校の取組のように教室を2つに分けてオンラインでつないでみるといった取組もとても効果的と考える。
特に、小・中学校では、すべての児童生徒が使うことができるパソコンが配備され、今後の学習活動に大いに役立ていくことが求められている。まずはやってみるという姿勢が大切である。
緊急事態宣言終了の折には、オンライン学習がどの程度実施できたのかしっかり把握していただき、今後の取組に生かしていただきたい。
GIGAスクール構想の成否は、今回の取組の大きな要因となると思う。感染対策のためだけのオンライン授業ではなく、コロナ禍が終わったあとも見据えながら、しっかり取り組むよう指摘する。
Q木葉委員 PCR検査体制について。先日、陽性者が確認された学校では、学校職員も協力してPCR検査を行っていると伺った。現状、PCR検査を学校で行う場合、どのような形で行われているのか。
A泉野健康・体育課長 新型コロナウイルス感染症対応業務の実施状況について。国の衛生管理マニュアルでは、児童生徒等や教職員の感染者が発生した場合、保健所が学校において、感染者の行動履歴把握や濃厚接触者の特定などのための調査を行う場合には学校も協力することとされている。
道教委としては、PCR検査などの感染リスクが高い業務に直接、学校職員が従事することは想定していないものの、保健所からの依頼を受け、校長の指示によって、学校職員が検査の円滑な実施にかかるサポートや調査に協力することはあり得るものと考えている。
例えば、保健所からの依頼を受け、学校職員が、生徒への検査容器の受け渡しや検査体制の一つであるドライブスルー会場における自家用車の誘導の業務等があり、その際には、保健所職員と同様にマスクやグローブの着用のほか、さらにフェイスシールドやゴーグルの着用など、万全の感染症対策を講じた上で、対応している。
Q木葉委員 PCR検査に協力する場合の衛生備品等の追加支給を確実に行うべきと考える。場合によっては、手当などの措置も必要と考えるが、所見を伺う。
A泉野健康・体育課長 学校職員への感染対策にかかる措置等について。学校職員が保健所からの依頼を受け、学校において感染リスクの低い対応業務に協力する際は、これまで保健所の職員と同様にマスクやグローブの着用など、感染症対策を行い対応している。道教委としては、今後も学校職員が業務に協力する場合、マスクやグローブなどの保健衛生用品が過不足なく確実に手に届き、着用するなど、感染症対策が徹底されるよう、保健所と十分に連携を図り、対応していく。
なお、学校職員は、感染リスクの高い業務に従事することは想定されていないことから、防疫救治作業手当の支給対象とはされていないが、それ以外の作業における手当の在り方については、国や他都府県の動向を注視し、適切に対応していく。
D木葉委員 変異株による感染拡大が非常に進んでいて、学校で感染者を確認するような状況になっている。保健所職員の手も回らなくなっているのが現状ではないか。
衛生備品が過不足なく、確実に手に届くようにとのことだが、道立校だけではなく市町村立学校についても、しっかり届くようにお願いしたい。
Q木葉委員 私立高校も含めて、道内の高校では、現在、分散登校やオンライン授業等の取組が進んでいると承知している。
現状、各道立学校の取組を道教委はどのように把握されているのか、主な取組内容とともに伺う。
A柴田高校教育課長兼ICT教育推進課長 緊急事態宣言下の学びの保障について。道教委では、緊急事態措置の特定措置区域における道立高校に対して、分散登校やオンライン学習の実施方法等を確認したところ、すべての学校において、分散登校とオンライン学習を実施している。
例えば、分散登校では、教室における生徒の密を回避するため、学校で直接授業を受ける生徒と家庭等で学習する生徒に分けて登校させる取組、オンライン学習では、家庭等で学習する生徒に学校で行っている授業を同時双方向型で配信する取組や、学校のホームページや動画サイトを活用して授業動画や課題などを配信する取組など、各学校の実態等に応じて、学びを保障している。
P木葉委員 オンライン授業に取り組めているのは一部の学校に限られていて、多くの学校はオンライン授業をしたいと思っていてもできる環境でないとか、受け手の問題もあると思う。そのような中で教育の機会均等と本当に言えるのか。生徒たちからみて、学びの保障がされていると本当に言えるのか。ぜひ、そういうことも含めて調査をしていただきたい。
Q木葉委員 高校での端末整備は来年4月からで、しかも、そのタブレット端末を準備するのは自己負担となってる。高校でオンライン授業の実施を道教委として求めるのであれば、タブレット等の貸与の早急な取組が必要なのではないか。
道教委として、高校生の実態をどのように把握しているのか。併せて、今後、生徒への学習環境の支援をどのように考えるのか伺う。
A唐川学校教育局長兼ICT教育推進局長 道立高校におけるオンライン学習について。オンラインを活用した学習を行う場合は、学校と家庭の双方において、ICT環境が整っていることが前提になる。
前年度、道立高校に調査したところ、スマートフォンを含めたパソコン端末等でオンライン学習を受けることができる生徒の割合は9割を超えており、家庭におけるパソコンやタブレットの有無にかかわらず、スマートフォンで学習している生徒が一定数いるものと承知している。
道教委では、各学校において端末等が整備されていない家庭については、学校所有の端末やルーター等を貸し出すことによって、分散登校の期間も学校の授業を受けることができるよう、学校において必要な措置を講じるとともに、希望する生徒を登校させるなどして授業を受けることができるようにすることとしている。
今後、あらためて家庭の状況等の把握に努め、きめ細かく対応するよう指導していく。
P木葉委員 3点指摘する。
まず、タブレットの通信環境に対する支援、貸し出しは必須である。現状、必要とする生徒に貸し出しがしっかりと行われている状況ではない。現制度では、収入の制限がある。希望する生徒の手に届く制度になっていない。高校生こそオンライン授業用の1人1台タブレット端末を貸し出す施策を、今こそ道が打ち出すべきではないか。希望する生徒に対し、Wi―Fi機器を貸し出し、端末の整備をしっかり道教委として考えて行うべきではないか。
例えば、本年度、道職員の在宅勤務に向けた経費として約30億円が見込まれている。その分を、急ではあるが、今、高校生のために使おうという声を上げるべきではないか。
道立高校だけではなく、私立高校に対しても同じような対応が必要だと思う。今後、家庭の状況を把握して、きめ細かく指導するとのことだが、子どもたちの声をしっかり聞いて、支援をしていただきたい。しっかりとオンライン授業の実態、状況を把握して、その課題を解決していくことが重要ではないか。
2つ目に、高校の1学級定員を見直すべきだと思う。1学級40人の定員に満たないから学級数を削減すると、必然的に教職員数も少なくなるという施策になっている。1学級の定員数を削減して、よりきめ細かな教育を行う、そういう道立校を目指すべきではないか。
3点目、学校職員はオンライン授業に対応するため、時間を確保しなければならないと思う。機器の取り扱いや授業の質を高めていくためにも、教職員にそうした時間をしっかりと確保する。こうしたことが教育の質を上げていくと思う。
昨年、文教委員会で道立教育研究所に視察に行ったときに、指導者側が2人ペアになって指導を行うことで、素晴らしい研究を発表されていた。質を高めていくためには、研究する時間や人手が重要である。ぜひとも、子どもたちの学びの保障、教育の機会均等を保障する、そうした調査、そして調査結果となるようにしていただくことを強く求める。
◆道徳教育推進
Q中司委員 学校における道徳教育ではどのようなことが求められているのか伺う。
A行徳義務教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 道徳教育のねらいについて。学校における道徳教育は、学校教育の中核をなすものであり、道徳科を要として、学校のあらゆる教育活動を通じて、自己の生き方を考え、主体的な判断のもとに行動し、自立した人間として、他者とともによりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことが求められている。
具体的な内容としては、善悪の判断や努力など、自分自身に関すること、思いやりや礼儀など、人とのかかわりに関すること、規則の尊重や郷土愛など、集団や社会とのかかわりに関すること、生命尊重や自然愛護など、生命や自然、崇高なものとのかかわりに関することについて取り扱うこととなっている。
Q中司委員 子どもの発達を踏まえて、いつからどのように行うべきと考えるか伺う。
A行徳義務教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 発達の段階を踏まえた指導について。道徳教育は、人格形成の根幹にかかわるものであることから、特に、その基礎を培う重要な役割を担っている幼児期から道徳性や規範意識の芽生えを育んでいくことが重要であると認識している。
指導に当たっては、児童生徒の発達の段階を踏まえて行う必要がある。例えば、幼児期では、善悪の判断について体験などを通して理解させること、小学校では、正しいと思ったことは自信をもって行うことについて指導すること、中学校では、何が正しいか自ら判断し、誠実に実行し、その責任をもつことについて指導することなど、幼児期の指導から、小学校、中学校へと成長発達の様子やそれぞれの段階の実態等を考慮して、意図的、計画的に指導を進めることが重要であると考えている。
Q中司委員 本来、子どもが生まれ育っていく過程では、まずは親だとか、祖父、祖母の身内から、しつけや人として大事なことを学ぶものだと受け止めてきた。
今、家庭にその教育力が備わっていると考えているのか伺う。
A井上社会教育課長兼生涯学習推進センター所長 家庭の教育力について。家庭教育は、すべての教育の出発点であり、子どもたちが基本的な生活習慣や自立心、社会的マナーなどを身に付ける上で重要な役割を担うものであると認識している。
一方、前年度行われた文部科学省の調査では、しつけの仕方が分からない、子どもの生活習慣の乱れに悩みや不安があるといった、子育てに何らかの悩みや不安を感じている保護者が全体の約7割を占めるなど、核家族化が進む中で、祖父母をはじめ身近な方々が子育てにかかわる機会が減少し、相対的に家庭の教育力が低下しているものと考えている。
こうしたことから、道教委では、子育ての悩みや不安を抱えた保護者が地域における身近な人間関係の中で、気軽に学びや相談ができるよう、子育ての経験者を家庭教育ナビゲーターとして全市町村に配置し家庭教育の支援に取り組んでいる。こうした取組を通じて、多くの人たちで子育てにかかわる環境を整え、今後も家庭教育の向上に努めていく。
P中司委員 家庭の教育力向上は、教育委員会で直接かかわることが難しい分野であると思っている。そうした意味では、メディアだとか、あるいはインターネットなどを通じて発信する方法をもっと工夫していく必要があるのではないかと思う。
Q中司委員 平成25年に教育再生実行会議が立ち上げられ、いじめ問題への対応が協議され、26年度からこれまでの道徳の時間から、「特別の教科 道徳」という教科に変わった。何がどのように変わったのか伺う。
A行徳義務教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 道徳の教科化について。25年に文科省が設置した道徳教育の充実に関する懇談会では、小・中学校の道徳教育においては、例えば、地域間や学校間で道徳の時間の指導方法に差が大きいこと、児童生徒に道徳の時間で学んだことを具体的に実践させたり、振り返らせたりする指導が不十分なことなどの課題が指摘された。
こうした課題を背景として、27年3月に学習指導要領が一部改正され、従前の道徳の時間から、「特別の教科 道徳」となったことに伴い、検定教科書が導入され、すべての学校で一定水準の授業が実施されるよう学習環境を整備するとともに、効果的な指導方法として、問題解決的な学習や体験的な学習の工夫、評価については、児童生徒の成長の様子を把握することを基本とするなどの改善が図られた。
Q中司委員 道徳は人間としての一番の常識と私は考えている。なぜ、学校で評価の対象としているのか伺う。
A中澤学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長 道徳科における評価について。学校における学習活動の評価は、児童生徒にとっては、自らの成長を実感し意欲の向上につなげていくこと、教師にとっては、指導の目標や計画、指導方法の改善・充実に資することを目的として行うものである。道徳科における評価についても、こうした考え方に基づき行う必要があると考えられる。
なお、道徳性は、児童生徒の人格全体にかかわるものであることから、その成長の様子を把握することを基本としつつ、数値的な評価は行わないこととしている。
Q中司委員 教育に携わる立場の者として、道教委は、今後、道徳教育をどのように広め、実のあるものとしようと考えるか伺う。
A鈴木学校教育監 今後の道徳教育の取組について。子どもたちが互いに尊重し、共に支え合いながら、社会の一員として、健やかに成長していくためには、様々な人とのかかわり合いや体験活動などを通して、善悪を判断する力や命を大切にする心、人を思いやる心や郷土を愛する態度など、社会性や豊かな人間性を育むことが重要であると認識している。
そのため、道教委では、本道の未来を担う子どもたちに、こうした豊かな心を育み、より良く生きるための基盤となる道徳性を養うことができるよう、児童生徒の規範意識等の醸成に向けて、北海道にゆかりのある先人の伝記を題材にした教材や、校内研修などにおいてただちに授業に活用できる動画資料を作成した。
今後は、こうした資料等の効果的な活用を働きかけるほか、中核となって道徳教育を推進することが期待される教師の研修会の充実や、保護者や地域の人々への道徳科の積極的な授業公開などによって、家庭や地域社会とも連携、協力した道徳教育の一層の充実が図られるよう努めていく。
◆産業人材育成
Q寺島委員 AIやビッグデータ、IoTといった先端技術が急速に進化し、Society5・0が到来しつつある中、地域創生を担う人材を育成する専門高校において、社会や産業界の変化に対応するための実践的な教育を展開することが重要であると考える。
これからの時代に対応するため、専門高校ではどのような人材の育成が求められているのか伺う。
A柴田高校教育課長兼ICT教育推進課長 専門高校で求められる人材の育成について。技術革新やグローバル化、地域産業の後継者不足問題など、社会が急激に変化する中、地域産業の持続的な成長を支えていくためには、産業界と高校が一体となり、技術の習得や課題解決能力を身に付け、産業に関する理解を深めさせながら職業観や勤労観を育むことを通して、将来の地域の産業を支える人材を育成していくことが重要であると考えている。
Q寺島委員 最先端の職業教育を行うに当たり、本道の専門高校の学習環境について、施設設備を含め、どのように充実が図られているのか伺う。
A柴田高校教育課長兼ICT教育推進課長 専門高校の学習環境について。道教委しては、教育課程面では、農業、工業などの分野を超えて連携する取組や、企業等からの外部講師の招へい、インターンシップなどの連携を一層充実させるとともに、地域の産官学の関係者が一体となって教育課程の編成を工夫し、産業人材を育成する専門高校のシステムの構築に取り組んでいる。
また、施設設備面において、今後のデジタル社会の急速な進展に対応できるよう、3D―CADシステムやレーザー加工機などの高性能ICT端末等を含む、新たな産業教育装置を整備し、最先端のデジタル化に対応した施設設備の充実を図るなど、スマート専門高校の実現に取り組むこととしている。
Q寺島委員 社会や産業界の変化に応じた実践的な教育を推進するためには、地域の産業界や大学等の関係機関と連携し、学校内だけでなく、学校外での学習の機会を充実することが大切であると考えている。道教委の見解を伺う。
A唐川学校教育局長兼ICT教育推進局長 関係機関との連携について。社会が加速度的に変化している中、地域産業の持続的な発展を支える人材を育成するためには、専門高校の生徒が地域の産業界で直接学ぶことができるよう、産業界と一体となった組織的な取組の推進が重要であると考えている。
このため、道教委では、生徒が大学や研究機関、企業等の専門的な施設設備を活用した実習等に取り組むとともに、高校生が主体的に地元自治体や企業等と連携し、地域の産業や観光振興などの地域課題の解決に向けた探究的な学習活動など、実践的な職業教育に取り組んでいる。
今後は、道内産業界はもとより、国の機関と締結した包括連携協定を効果的に活用し、専門高校における学校外での学習の機会を一層充実させるなどして、将来の地域の産業を支える職業人材の育成に努めていく。
◆いじめ問題
Q寺島委員 旭川市長は、4月22日に開催した市の総合教育会議において、被害に遭われた生徒の状況を、いじめ防止対策推進法に示された、いじめ重大事態と認め、第三者調査委員会による調査の実施を市教委に指示しており、これを受けた市教委は、5月21日に1回目の調査委員会を開催したと承知している。
道教委には、調査の実施に向け、旭川市教委を指導する役割があると承知している。これまでどのような対応をしてきたのか伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 道教委の対応について。いじめの重大事態調査は、学校の設置者である旭川市教委が調査組織を設置し、いじめの事実の全容解明、同種の事案の再発防止等を目的として行うものである。
道教委は、これまで市教委が国のガイドラインに基づいて、重大事態への対処に関する事務を迅速かつ適正に行うことができるよう、市教委に担当職員を継続的に派遣し、調査組織の構成、調査方法やスケジュールなどについて、きめ細かに指導助言してきた。
今後、第三者調査委員会が本格的に調査を進める予定であることから、道教委としては、本調査が遺族の意向を踏まえながら、公平性、中立性を確保し、適正に実施されるよう、引き続き、市教委に対し、必要な指導助言、援助に努めていく。
Q寺島委員 今後は、二度とこうした事案が学校で起きることがないよう、道教委と市教委との連携が何よりも重要と考えている。道教委と旭川市教委との連携について、道教委の見解を伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全課長 道教委と旭川市教委との連携について。児童生徒の事故に関する対応は、まずは、学校を所管する市教委が速やかに事故の事実関係を把握し、重大性、波及性、緊急性に鑑み、道教委に報告した上で、必要な情報を共有かつ連携して迅速に対応することが重要と考えている。
道教委としては、市教委と継続的に情報交換しながら連携を一層強め、いじめ等の未然防止や再発防止などにかかる必要な指導助言を行っていく。
P寺島委員 今回、市教委が道教委からの指導内容を十分に受け止めていなかったという事実は大変重たい。
組織としての機能が十分に果たされているのか、しつかり検証していただきたい。指導助言する場合、相手方がよく理解し納得していることが重要と思う。伝える側の責任も問われていると思う。しっかり工夫して、連携を強化していただきたい。
Q寺島委員 本事案への対応については、いじめ重大事態調査だけではなく、悲しみや不安を抱えている生徒への心のケアについても、すぐに対応し、安心して学校に通えるよう取り組むべきと考える。道教委の見解について伺う。
A中澤学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長 生徒への心のケアについて。道教委では、本事案にかかわり、当該中学校の生徒が様々な不安や悩みを抱えていることが想定されたことから、スクールカウンセラーを速やかに派遣し対応してきているほか、当該中学校の生徒の状況や保護者の要望も踏まえ、スクールカウンセラーを増員して全生徒を対象としたカウンセリングを集中的に実施してきた。
道教委としては、当該中学校が、これまで以上に家庭と連携し、生徒一人ひとりの状況をきめ細かく見守ることができるよう、引き続き、市教委と情報を共有しながら、学校の実情に即して必要なカウンセラーを派遣し、心のケアに努めていく。
(道・道教委 2021-08-31付)
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