北私幼と札私幼が研究大会　子が幸せ感じる指導を　神戸大大学院・北野准教授講演

（札幌市 2021-09-29付）

　第６３回道私立幼稚園教育研究大会札幌ブロック大会・第５２回札幌市私立幼稚園教育研究大会が２５日、オンラインで開催された。約１２００人が参加。テーマ「新しい時代をのびやかに生きる～社会に開かれた質の高い幼児教育を」のもと、神戸大学大学院人間発達環境学研究科の北野幸子准教授による講演を通して、新しい時代に向けた保育の在り方を学んだ。

　主催は、道私立幼稚園協会（川畠教孝会長）と札幌市私立幼稚園連合会（藪淳一会長）。

　大会は、新型コロナウイルス感染防止のため前年度は開催を中止。本年度は、実施日程を短縮し、オンライン講演のみの１日開催とした。

　講演に先立ち、藪会長があいさつ。「コロナ発生から１年半が経過した。様々な部分で悩みやつらいこともあると思うが、悩んでいることは子どもにしっかり向き合っているということ」と述べ、コロナ対応に追われる職員への感謝の気持ちを伝えた。

　その上で、「コロナが終わったとしても、子どもには様々な問題・課題が直面している。子どもの姿を具体的にイメージし、講演内容を様々な場で共有することで、それらの解決につなげてほしい」と大会の成果に期待を寄せた。

　講演では、北野准教授が「新しい時代の乳幼児教育を考える～保育専門職の独自性と重要性を中心に」を演題に講話。諸外国との比較などから、日本における乳幼児教育の今後の方向性などを解説した。　今後の幼児教員の在り方ついては、「多くの教職員が保護者・子どもを支援する立場にある。コロナ禍においては、保護者に対する支援の必要性がさらに高まっていることから、保育者を支援する組織体制の整備を進めることが必要」と述べた。

　つぎに、ユニセフ・イノチェンティ研究所が昨年９月に発表した『子どもの幸福度に関する報告書』のデータを紹介。日本においては、５～１４歳までの子どもの死亡率などを統計した身体的健康の順位が３８ヵ国で１位。一方で、１５歳時点での生活満足度は３７位、１５～１９歳の自殺率も高い傾向にあることから、精神的幸福度では、３７位という結果になっていることを伝えた。

　その上で、「これからの時代を担う子どもたちにとって、自尊心の育成は非常に重要。自尊感情が高い子どもは、乳幼児期から心や精神を安定させる教育を受けている割合が高い」とし、子どもが幸せを感じ取れるような指導の必要性を強調した。

　このほか、幼稚園におけるＩＣＴ環境整備の必要性や保育の質の向上に向けた考え方などについても説明した。

　まとめでは、「これからの幼児教育は小学校への準備教育としてではなく、継続的なものになってほしい」とし、各園での保育や指導の充実を願った。

(札幌市 2021-09-29付)