第73回全国造形教育研究大会北海道大会第70回全道造形教育研究大会札幌大会分科会概要③小学校 “いい”を育む手立て追究 栄西小 箱のぞき光を鑑賞(関係団体 2021-10-13付)
【研究概要】
▼研究テーマ=「もっと=」が生まれる、「いい=」を育む「差しこんだ光から」(立体に表す)
穴を開けた箱に差し込む光の様子から、光と材料、光と形や色の組み合わせから表したいことを見つけて、工夫して立体に表す題材(5年生)。
▼発表者=黒川友理教諭(札幌市立栄西小学校)
視点①「もっと=」を生み出す教材化
▼ミニチュアの自分
ミニチュアの自分を入れることで、箱の中をのぞきたいという思いを生み、箱の中の世界を構成し、広げる手助けをする。
【評価規準】
▼知識および技能
箱に穴を開けて差し込む光を見ながら思い付いたことを表すときの感じ方や行為を通して、光と材料、光の強弱や色彩、箱の中の奥行やバランスなどについて理解し、表したいことに合わせて材料を組み合わせて工夫して表している。
▼思考力・判断力・表現力等
光の差し込む自分のイメージをもちながら、光について感じたこと、想像したこと、見たことから表したいことを思い付いたり、光との組み合わせを考えながらどのように主題に表すか考えたりしている。
▼主体的に学習に取り組む態度
主体的に材料とかかわり、差し込む光を見ながら、思い付いたことを立体に表す活動に、主体的に取り組もうとしている。
【活動構成】
「この子」
▽光=「まぶしい」。光と場所、材料の組み合わせで「月と太陽みたい=」
▽箱の中をのぞくと「真っ暗」だったが、隙間から漏れる光から「朝と夜の世界にしたい」と考えた
▽箱の中の仕切りを活用して
・「光が当たったり当たらなかったりする」↓仕切りの向きや角度を調整
・「光の量を変えたい」↓光の穴の数を増やしたり、大きさを変えたりして、明暗のバランスを工夫
視点②「もっと=」が連続する活動構成
▼第1次「光と場所のハーモニー」光の「いいね=」を見つけよう=
▽人工の光と身辺材を使った造形遊び
▽暗い場所での光の感じ方、認識を広げる
▽光の強弱、濃淡、形や色、影に注目
▼第2次「差しこんだ光から」箱の中をのぞいて、差し込む光から想像した世界をつくろう=
▽真っ暗な箱をのぞく、光が一筋差し込んだ箱をのぞく「光が一筋差すだけで印象が変わる」「もっと光がほしい」「もっと中を工夫したい」
▼第3次「のぞいてみると」光を生かした世界にしよう
▽何度ものぞいているうちに、「もっとこうしたい=」
▽自分の作品を見てほしくなってきた、友だちの箱の中をのぞいてみたくなってきた
▽「ここ見てほしい」…カメラで撮影
▽「友だちのここがいいね=」…グッド付せん
▽光への認識の変化=「光だけでも楽しめる」「光は無限で面白い」「光にはいろいろな当て方があった」「光には種類があって、形や色が違う」
視点③「もっと=」をつなげるための自他の変容をとらえる振り返り
▼ワークシートでの振り返り
学習ごとに「のぞいてみて、一言=」を設定することで、積極的に箱の中をのぞくようにした。
▼すぐにのぞける環境設定
すぐにのぞける大きな窓の近くに作品置き場や、材料置き場をつくることで、「のぞきたい」「のぞいてほしい」と意欲を高めるようにした。
▼友だちからのグッド付せん
友だちのいい=を見つけたら、書いて箱に直接貼り付けた。発想した世界や色と光の組み合わせについて書くようにした。
視点④「もっと=」を高めるための学習評価の工夫
▼個別の言葉がけ「どうなるの?」「思いどおりになった?」
漠然としていた「もっとこうしたい」の気持ちを具体化するための声かけをした。また、太陽の光でのぞいたり、友達の作品を見たりするよう促した。
【実践を振り返って】
▼造形遊びでの体験が、多様で豊かな表現を生み「もっと=」を生むことができた
▼「のぞく」に焦点を当てた活動をすることで、光について考え、認識を広げることができた
▼子どもの造形的な言葉をもっと増やせる工夫や手立てがあるとよかった
(関係団体 2021-10-13付)
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