問い重ね気づき明確化 附属函館小1年生活科
(関係団体 2021-10-12付)

 第30回道生活科・総合的な学習教育研究大会函館大会では、大会参加申込者に限定し、道教育大学附属函館小学校の嶋田陽介教諭と石崎寿和教諭による1年生活科と函館市立弥生小学校の鈴木奈緒美教諭による4年総合的な学習の時間の2授業を公開。

 うち、嶋田教諭と石崎教諭の1年「ぼくのわたしのあさがおさん」(児童数70人)は、16時間扱いの12時間目。研究の視点に①思いや願いが課題となる文脈の工夫②選択し自己決定する場の設定③教科等横断的視点による単元構成―の3点を設定し、児童が自分とアサガオとのかかわり方について思考を重ねる授業を展開した。

 前時までの授業では、アサガオの成長過程の観察や、アサガオ集会を開き、色水や押し花を作成するなど、これまで育ててきたアサガオに愛着をもたせるよう、促す学習を実施。

 本時では、「ずっと一緒にいられるためにはどうしたらよいか」と問いかけ、アサガオの思い出を形に残すための方策を考えさせた。

 児童は、「写真を飾る」「リースをつくる」などと回答。両教諭は、より具体的に自分の表現を決定できるよう、児童の考えた案について「どうしてずっと一緒にいられるのか」と質問を重ねた。児童は小交流を通して、「部屋にあるといつでも見れるから一緒にいられる」「リースだと、家に帰宅したときに目に入るからいつでも会える気分になる」などと選んだ理由を考えた。

 意見を踏まえ、アサガオと一緒にいられるために選んだ方法と理由をワークシートに記入させ全体交流。児童は「図鑑にして、車やバスでも見れるようにする」などと話し、アサガオとの様々なかかわり方について、理解を深めていた。

◆児童の自己決定支援 弥生小4年総合の時間

 鈴木教諭の4年「西部探検隊~ルートマップをつくろう」(児童数30人)は38時間扱いの32時間目。研究の視点には①前学年・ユニットのつながりを踏まえた必要感を高める課題設定②多様な他者との比較を促す観光客や市民、ゲストティーチャーとのかかわり③自分の考えを伝え合う場を充実するICT活用―の3点を設定した。

 単元では、児童が「自分のまちの宝物」について、インターネットを使った調べ学習を実施。寺・教会や自然、飲食店など8グループに分かれて取り組み、国語科の授業も活用し、リーフレットを作成。教科等横断的な学習を通して、相手に分かりやすいマップの作成に取り組んできた。

 本時では、「回りやすさ」「弥生小らしさ」の視点をもとに、作成したルートマップを他グループの意見を取り入れ、観光客に伝わるようなルートマップに改善することを目指した。

 児童は1人1台端末を活用し、他グループの良い点や改善点を入力。他グループからの意見を踏まえ、印刷したルートマップに修正事項を朱書きしながら、改善計画を考えた。

 鈴木教諭は各グループを机間指導し、「この場所に行ったことはあるか」「他の場所と比較して違う点はどこか」などと児童と対話を重ね、児童の感じたことを反映させられるよう、支援した。

 改善したルートマップを確認し、飲食店を担当したグループの児童は「食べたたからこそ分かるおすすめメニューを追加した」「特に何が人気なのかを付け足した」などと発表し、改善した点について、端末を使って全体共有。鈴木教諭は「つぎはどうしたらいいのか」などと問いかけ、児童が自己決定できるよう、支援した。

約160人がオンラインで参加し、意見を共有した

良質なゴムマットを幅跳び走路に敷設した

 授業分科会では、①本時で目指す子どもの姿が見られた場面について②本時で目指す子どもの姿が見られるようにするための教師の支援について―の2点を柱に参加者がオンラインで意見を交換。

 嶋田教諭と石崎教諭の授業では「児童のアサガオに対する愛着の深まりがみられる授業だった。教師が問いを重ね、振り返りの場を設定することで、子どもの気づきを明確化できる授業だった」などの意見が寄せられた。

 鈴木教諭の授業については「ルートマップの対象者を観光客に設定するなど、相手意識への視点を徐々に絞っている」「“どうしたらいいか”と尋ねることで児童の思いを重ねていた」などの肯定的な意見が挙がった。

(関係団体 2021-10-12付)

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