4盲学校がオンラインで合同授業 ICT活用法を交流 魔法のプロジェクトで全国初(学校 2021-12-21付)
札幌、函館、旭川、帯広と距離を超えて生徒たちが会話を交わし情報交流
障がいや困難のある子の学びをICT機器で支援する「魔法のプロジェクト」の合同公開授業を16日、道内4盲学校がオンライン会議システムで実施した。中学部の生徒たちが、タブレットを活用し効果的な学習につながった事例などを交流。様々な活用法が挙がり「知らなかった使い方を知ることができ、大変有意義だった」「人と話す機会が少ないのでとても楽しかった」などの声が上がった。
魔法のプロジェクトは、ICT機器を活用し、障がいのある子どもの学習を支援する実践研究プロジェクトで、ソフトバンク㈱と東京大学先端科学技術研究センターが共同で実施。
道教委は、ことし4月からソフトバンクと連携し、プロジェクトによる道内4盲学校(札幌視覚支援学校、函館盲学校、旭川盲学校、帯広盲学校)の支援を開始。視覚に障がいのある幼児児童生徒一人ひとりに応じた機器の活用法や、オンライン接続による対話的協働的な学びの実践研究を進めている。
この日は、4校をオンライン会議システムでつなぎ、中学部の総合的な学習の時間にICT機器の活用法を交流する合同授業を実施。報道陣にも公開した。
プロジェクトにおいて、教育委員会主導による複数の特別支援学校をつないだ意思疎通可能な遠隔授業の実施は全国でも初。
参加した生徒は、札幌5人、函館2人、旭川1人、帯広1人の計9人。はじめに、札幌視覚支援の関本航輝さんが、タブレット端末等の効果的な使い方の事例について発表。また、タブレットのよい点として「今までは拡大教科書やノートなどでカバンが重く、肩が痛いくらいだったが、タブレットにはそれが全部入る」「自分が書いた字もきれいで見やすく、ノートを取るのも早くできて効率的」などを挙げた。
このあと、他3校の生徒も発表し、よりよい使い方について交流した。関本さんは普段どおりの気負わぬ姿勢で時折冗談も交えながら発表。他の生徒も自身の個性を発揮し、和気あいあいとした交流となった。
生徒から挙がった活用法は、文字をカメラアプリで拡大、音声検索、データ共有アプリを使った宿題の提出、分からない漢字をネットで調査、教科書のQRコードを読み込み英語の発音を確認、黒板をカメラアプリで撮って拡大、弁論を録音しストップウォッチで計測、体育で動画を撮影し動作を確認など様々。
中でも、アプリPagesで文字を拡大したり見えやすい色にしたり、UDブラウザで教科書を拡大したり書き込んだりという機能は、活用度が非常に高いことが分かった。
最後に生徒たちに感想を聞くと、「人の話を聞く機会があまりないので楽しかった」「Pagesはあまり使ったことがなかったので参考になった」「ほかの人がどう活用しているのか知ることができて面白かった」「まだやっていない活用法があって勉強になった」など好意的な声が次々上がり、全員で手を振りながら笑顔で授業を終えた。
授業の司会進行を務めた札幌視覚支援の出井博之教諭は「生徒は見え方に応じていろいろなことにチャレンジしている。これからも情報交換し、使い方を広げていきたい」と話した。
道内の盲学校の児童生徒数は5月現在で札幌が幼稚園から成人まで含め85人だが、函館は10人、旭川は12人、帯広は8人にとどまっており、道教委特別支援教育課の沓澤整治主任指導主事は「魔法のプロジェクトを活用し、特に子ども同士の対話的な学びを実現していきたい」「将来的には、盲学校が培ってきた専門性やICTの活用法を全道の特別支援学級に伝えていきたい」と話していた。
(学校 2021-12-21付)
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