PickUp2021 石狩 生徒に専門性高い学びを 中学技術科免許外担任等支援へ(学校 2021-12-21付)
新学習指導要領によって、小学校から高校にかけてプログラミング教育の専門性が高まった。長きにわたって中学校技術科を受けもつ教員は、「情報基礎が新設されたときと同じく、現場任せのように感じてしまう」と振り返る。勤務時間外に研修場所を自ら探し、受講しなければならない現状に、「免許外教科担任の先生はもっと大変だと思う」と思慮をめぐらす。
◆円滑接続が不可欠も 免許取得者が不足
中学校技術科では単元「情報の技術」の内容が拡充され、双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題解決や、計測・制御システムの構想などが盛り込まれた。
小学校においてはプログラミング的思考の育成が加わり、高校では「情報Ⅰ」の科目新設によってプログラミング教育が必修化される。小学校から高校への専門的な学びの橋渡しとなる中学校で、「円滑な接続を意識した学習が求められる」と感じる教員は少なくない。
しかし、中学校技術科の教員不足が叫ばれて久しい。道内における免許外教科担任の許可件数のうち、技術科の件数は3割以上。主要5教科の平均件数と比べると、例年20倍を超える人数の教員たちが免許外で技術科を受けもっている。
国による教職員の標準配置定数で、学校の規模によって全教科に免許取得者を配置できないことが大きな要因とされている。教員の持ち時間数および勤務時間の平準化を図ることも要因の一つ。保健体育の専科教員が免許外教科担任として技術科を受けもつ場合が多く、教科の系統性は関係していない。
6学級以下に加配
専科教員にも利点
免許外教科担任の解消に向けて、道教委は平成26年度から、普通学級6学級以下の中学校を対象に教員を加配している。
石狩管内では、北広島市内の中学校3校に1人の技術科教員を配置している。1校を本務校、ほか2校を兼務校として曜日ごとに巡回し、週の持ち時間数は15時間。本務校では指導部を分掌し、部活動の副顧問を担っている。
教員は「学校や免許外で技術を指導する先生方の役に立てている実感がある。負担に思うことはない」と話す。ただ、「兼務校は近隣に限られ、学級担任をもちたい教員には向かない」と課題も口にする。
技術科の専科教員としての赴任先は大規模校が多く、小規模校に勤務する場合は自身も免許外教科担任となる可能性があるという。「周りの家庭科教員も取組に関心をもっている」と話しており、免許外教科担任だけでなく、実技科目の専科教員にとっても利点があるという一面も指摘する。複数校での巡回指導を行う中で、「免許外教科担任の解消に向けた取組として現実に即している」と話す。
◆情報共有を通して 授業への不安解消
免許外教科担任を受けもつ教員に向けて、石狩管内においては教材研究や指導案作成などの手助けとなる取組も行われている。
石狩管内教育研究会(=石教研)の技術・家庭部会には、免許外で教科を受けもつ教員も部会に所属している。教育課程研究に「免許外教諭との連携」を盛り込み、管内全中学校に向けて技術科に関する実態調査を行い、免許外教科担任を対象に研修を実施するなど、積極的に取組を進めてきた。
ことし10月に開催した石教研専門部会第二次研究協議会では、新学習指導要領によって加わった「双方向性のあるコンテンツのプログラミング」を題材に、管内中学校の授業動画の視聴や情報を共有。参加者からは、「教材選びの参考になった」「双方向性のあるコンテンツに対して理解が深まった」などの声が上がり、関係者は「授業づくりに苦慮する教員たちの不安解消につながった」と手応えを口にする。
◆研修機会確保など 手厚い支援が必需
中学校における新学習指導要領が全面実施となった今、授業づくりに不安を抱え、模索しながら技術科の指導に当たる教員は少なくない。プログラミング言語の入力など、国が求める専門性の高い実践に焦りを募らせる教員もいる。
プログラミング的思考等を発揮して解決策を構想する力、思考を通じて解決策を具体化する力などを育成する単元のねらいは、プログラミングの実践ができてこそ培われる。
「子どもたちに、より専門性の高い教育を受けてほしい」。教育関係者の切なる願いをかなえるためには、研修の機会確保やさらなる制度設計など、現場で汗を流す教員への手厚い支援が求められる。
(学校 2021-12-21付)
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