道教委 近代美術館検討会議が初会合 芸術・文化の枠超えて ニーズ把握し夢ある美術館に
(道・道教委 2022-02-07付)

近代美術館検討会議
初会合では構成員がそれぞれの思いを交流した

 道教委は1日、オンラインで第1回これからの北海道立近代美術館検討会議を開いた。近代美術館のリニューアルに向け、これからの時代に求められる美術館の機能や在り方などについて抜本的な検討を行うもの。初会合では、経緯を説明するとともに、道民アンケートの項目や、今後のスケジュールを提案。参加者からは「芸術・文化にとどまらない大きなスケールでの検討が大切」など、幅広い視点からの検討や「快適で楽しい、何度も足を運びたくなる夢のある美術館に」といった声が多数上がった。

 同美術館は昭和52年に設置され、ことしで45年目。老朽化が著しく、施設整備方針の検討が必要なことから、これまでの美術館活動を検証するとともに、今後、近代美術館に求められる役割や今後の在り方について有識者から意見を聴取するため、検討会議を設置した。

 構成員は、有識者として㈱hakuの菊地辰徳代表取締役、北海道大学の北村清彦名誉教授、道教育大学釧路校の佐々木宰教授、北大大学院の佐々木亨教授、札幌芸術の森美術館の佐藤友哉館長を選任。事務局は、座長を務める相内修司生涯学習推進局長をはじめ、文化財・博物館課と近代美術館職員で構成している。

 冒頭、近代美術館の立川宏館長があいさつ。「ハード・ソフト両面から、道民が何を望んでいるかを検討する時期に来ている。美術館を取り巻く環境の変化や来館してくださる方々のニーズを把握しながら今後の方向性を検討していく」と述べ積極的な意見を求めた。

 相内座長は「近代美術館は、昭和47年に基本構想が策定され、ことしで50年。本会は、これからの近代美術館がどうあるべきかを考える貴重な場」とした上で、「夢のある美術館にしてほしいといろいろな方から言われている。多くの方が何度も足を運びたくなる美術館を目指したい」などと述べた。

 続いて、事務局がこれまでの経過を説明した。昨年3月の道の長寿命化診断では「新築時の耐力は有しているものの、劣化の遅延・回復のための改修は必要」と判断。

 しかし、長寿命化改を行うためには、館内の空調設備を150日間全面停止する必要があり、収蔵品の温湿度設定基準を確保できないことから、一時移転が必要であるものの、道内の美術館・倉庫や道外に適当な移転先がなく、収蔵品の一時移転ができないため「長寿命化に適さない」と診断され、移転新築の方針となったことを説明した。

 また、昨年8月の知事公邸等のあり方に関する研究会による検討結果では、近代美術館に隣接する知事公館の敷地全体について「実質的に文化芸術のゾーンで、隣の近代美術館を含めての都市のパブリックスペースとしての位置付けにある」「三岸好太郎美術館、近代美術館も含めて、50年先、100年先を見つめて、全体像をきっちりと考えていくことが大事」「居住区域の宿舎を全部取り払い、その場所に近代美術館を建てるといった、一体的な整備の仕方も考えてもいいのではないか」といった意見が出されたことを説明した。

 続いて、4月に予定している道民アンケートについて説明。来館者を中心に、300件以上のアンケートを実施することや、どのような美術館が求められているかニーズを把握するための質問項目案を示した。

 これに対し、構成員から「来館者の要望だけではなく、美術館を利用していない人を呼び込む観点も必要」「生涯学習や学校教育、社会教育の関係者からも意見を聞いてはどうか」「広く意見をすくい上げられるよう、設問を決めるための予備調査をしてから実施してはどうか」「道民の声を拾うのに300件は妥当なのか」などの意見が出された。

 続いて、今後の進め方について確認。今回の意見を取り入れた道民アンケートなどを実施しつつ、2ヵ月に1回程度オンラインで検討会議を開催し、令和5年2月に検討結果を示すことを目標とした。

 最後に、各委員が考えを表明。「芸術・文化にとどまらない大きなスケールでの検討が大切」「世界の美術館の中での役割やSDGsについても考えるべき」「単なる美術館改修ではなく、広い視野でコンセンサスを」「行ってみたい、使ってみたいと思える、快適で楽しい、観客のニーズに応えられる美術館に」「美術館は地域の貴重な教育資源であり、公共の財産。アクセスのしやすさやバリアフリー、料金設定も大切」「IT化や人口減少など、数十年後の社会を見通した計画が大切」などの意見が出された。

 相内座長は「夢のある美術館を考える中で、旭川の旭山動物園が浮かんだ。特別な動物は入れていないが、行動展示で動物の魅力を引き出し、大人気となっている」「美術館も、近代美術館だからこそ、こんなにも作品の素晴らしさが伝わってくる、というような特色ある美術館にしていければ」などと述べた。

 会議終了後は同美術館内を視察した。

(道・道教委 2022-02-07付)

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