道徳的価値深める実践を 十勝局が帯広小などでシンポジウム 文科省委託事業で公開授業等
(道・道教委 2022-02-03付)

道徳シンポジウム・公開授業
帯広小の横山教諭が6年道徳を指導

 【帯広発】十勝教育局は、1月24日に帯広市立帯広小学校(早川一之校長)、25日に幕別町立忠類中学校(白井将之校長)で、文部科学省委託の「道徳教育の抜本的改善・充実にかかる支援事業」におけるシンポジウムを開いた。管内小・中学校の教職員が初日に34人、2日目に18人参加。授業公開や協議を通して、学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の推進を目指した。

 事業は、学習指導要領を踏まえ、「特別の教科 道徳」を道徳教育の要として機能させ、児童生徒が様々な困難に主体的に対応できる資質や能力の定着へ、道徳教育の抜本的改善・充実および地域の特色を生かした「北海道ならではの道徳教育」を推進することが目的。

『十勝野』活用し横山教諭が授業

 うち、24日の会場校となった帯広小は、研究主題「学び合いを通して自分のよさに気付き、よりよく生きようとする子供の育成~道徳的価値を自分との関わりで考える授業を通して」を掲げ、元年度から3ヵ年計画で研究を進めている。

 この日は、6年1組道徳「社会のために役立つ喜びを」(横山理恵教諭、児童数26人)を公開。学校や地域のために進んで役に立とうとする意欲を育てることを目指している。

 事前に、将来の目標や働く上で大切なことなどに関するアンケートを実施。横山教諭は授業の導入時、アンケート結果をもとに勤労の意義を発問し、本時の課題「働くことへの魅力って何だろう」を提起した。

 十勝における道徳地域教材『十勝野』を活用し、地域にゆかりのある先人の伝記から道徳的価値を得る授業を展開。今回は、目の不自由な人々のために障がい者教育に取り組んだ岩元悦郎さんを題材とした。

 横山教諭は朗読のあと、岩元さんの偉大な点はどこかを問いかけた。児童たちは「自分にできることを考えて行動している」「同じ境遇の人に役立つことを行った」などと答えた。

 また、横山教諭は「岩元さんの働き方における幸せの度合い」をパーセンテージで表し、ネームプレートを黒板に貼ることで全員の意見を可視化。数値を低くした児童は「苦難の多い人生だったから」、高くした児童は「人の幸せのために頑張ることが幸せに感じたのだと思う」などと考えており、全員で意見を交流し、様々な考えに触れた。

 さらに、横山教諭は「岩元氏が人に言われて行動していたら、幸せの度合は変わっていたか」と発問。「自分で考えて行動した方がより大きな幸せにつながる」と児童たちの意見は一致した。

 話し合いの中で、自分たちが地域や社会の人たちに支えられながら生活していることを確認。横山教諭は「今後、学校や家族以外の人のためにできること」について尋ねた。児童たちは「ボランティアに挑戦したい」「自分がされてうれしいことを人にしたい」などと話していた。

シンポジウムで成果などを共有

 シンポジウムでは、帯広市教育研究所の西田健一所長、市PTA連合会の谷保寿彦会長、帯広小の研修部長の永井悠介教諭、授業者の横山教諭がシンポジストを務めた。

 山田圭介義務教育指導班主査が進行し、「児童がねらいとする道徳的価値を深められたか」を議題に公開授業について協議した。

 参加者は「心情を視覚的に表すことは、子どもたちの気持ちを引き出すために有効」「『十勝野』を活用することで、身近な存在に憧れを持ち、今後の活動意欲につながると思う」「事前アンケートによって、児童の気持ちを把握した上で寄り添う授業だった」などの感想を寄せた。

 「ノートはどのような目的で使用しているか」との質問に、横山教諭は「自分の考えを書き、振り返りに役立たせている。授業後にノートを回収し、授業中の発言や記載内容をもとに教員がコメントを書いて返却している」と答えた。

 谷保会長は「心情メーターは様々な題材の授業で活用できると思う。ネームプレートの貼付時や話し合い活動など、子どもたちに動きのある授業で良かった」と話した。

 西田所長は「教員の効果的な発問によって子どもたちが積極的に思考できている様子だった。多様な考え方、感じ方につながったのでは」と伝えた。

 このあと、学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の推進について、シンポジストがそれぞれの視点から取組を紹介した。

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道徳シンポジウム・シンポジウム
シンポジウムでは教育活動全体で行う道徳教育について考えを深めた

(道・道教委 2022-02-03付)

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