理センと栗山町が中高授業交流会 高校教諭が中学校で授業 育成すべき資質・能力確認(道・道教委 2022-02-03付)
オンラインで公開授業を配信した
道立教育研究所附属理科教育センターなどは1月31日、栗山町立栗山中学校などで中高授業交流会を開いた。栗山高校の門脇敏彦教諭が栗山中で授業を実施。放射線測定器で教室内にも放射線が存在することに気づかせたほか、人体に有害な一方、レントゲンなどに有効利用されているケースにも気づかせるなど、目に見えない放射線への興味・関心を促した。
同センターと栗山高、栗山中、栗山町教委の共催。公開授業を栗山中で行い、参加はオンラインとした。
「理科の系統的な学習プログラムにおける形成的評価を促す学習評価ツールの開発」を主題とした同センターのテーマ研究の一環。
開催目的は「中学校および高校理科において系統性のある単元について、高校教諭が中学校で授業を行うことによって、当該単元におけるそれぞれの校種の育成すべき資質・能力を確認し、効果的な評価の在り方について共通理解を図ることでコンピテンシーベースの指導と評価の一体化を図る」。
この日は、栗山高の門脇教諭が栗山中を訪問。2年C組30人を対象に「放射線の性質と利用」の授業を行った。
門脇教諭は「放射線って何だろう」と発問。福島第1原発の事故などに触れ「放射線と言うとあまりいいイメージがないかもしれないが、良い性質もある。良い性質と人体への影響の両面を知って正しく怖がろう」と伝えた。
放射線へのイメージを2分ほどで書かせ、発表。生徒は「細胞を壊すもの」「目に見えない」などと発表した。門脇教諭が「この教室内にもある」と尋ねると、おおむね半数ずつに分かれた。
続いて、放射線とは何かを説明。アルファ線、ベータ線、ガンマ線など幾つかの種類があり、人体に害を及ぼしたり、がん患者に対する放射線治療に活用されていたりと、有害性の一方、有効に利用されているケースもあることを示した。
その上で、生徒たちに放射線の測定器を配り、「目の前の空間の放射線を測定してみよう」と投げかけた。
測定を終えると、微量ではあるが放射線が存在していることが明らかに。続いて、入浴剤のラジウムセラミックボールを測定。さらに強く放射線が出ていることを確認した。
また、日本の主要都市の放射線量を記した資料を配り、地域によって違いがあることを理解させた。
門脇教諭は人間をはじめ、様々な物質が放射線を放出していることを説明し、さらに「放射線」「放射能」「放射性物質」の違いについても解説。それぞれを取り違えることがないよう注意を促した。
門脇教諭は授業開始時にレジュメを配っており、重要部分を穴埋めにし書き込めるようにしたほか、授業前と授業後で、放射線に対するイメージや理解がどう変わったかなどを記入させ、授業によって何に気づけたか、どんなことを知ることができたかを明確にした。
授業後は合評会を実施。門脇教諭は「普段はなるべく授業者が説明しない方針だが、説明が長くなってしまった。内容を絞り、生徒の気づきを促すべきだった」などと振り返った。
参加者からは「各地方の放射線データを示した理由は」「どの都市がなぜ放射線量が多いのかを話し合わせると良かったのでは」などの声があり、門脇教諭は「本来は端末で市町村のホームページから調べてほしかったが、時間の関係上やむを得ず数値を示した」「生徒同士の交流もあれば良かったのだが、新型コロナウイルスの流行を考えるとできなかった」などと答えた。
見いだして〟理解が大切
このほか、「高校の先生から授業を受ける機会はほぼないので、生徒たちは新鮮な気持ちで授業に臨んでいたと思う」
「レジュメを見ると、レントゲンの放射線の値が知りたかったなど、医療での活用について知りたがっていた生徒が多く、強く興味を示していたと思う。今後はそこら辺についても調べることができれば」
「小学校の教員なので、中学校の授業を見る機会が少なく貴重だった。高校の先生が中学生を指導するのは難しい面もあったと思うが、新鮮な気持ちで受け取られたと思う」
「放射線測定器は本校にはないので、活用した授業は効果的だと思った」
などの意見が出されていた。
最後に、同センターの米根洋一郎主査が講評。
「4年度から高校を含め新学習指導要領が全面実施となり、これまでの知識に偏りがちな指導から、どんな力を身に付け社会に出ていけるかを見据えた指導への転換が求められる」
「理科は、教えて理解させるのではなく、生徒が見いだして理解することが大切。子どもが自分で興味を持って見いだすよう、どう興味を引くかが問われる」
「小学校と中学校は義務教育同士の交流があるが、高校とは少し壁があった。小・中学校から学ぶことはたくさんある。ぜひ交流を深め、互いに盗めるところは盗んでほしい」などと述べた。
同センターのテーマ研究は来年度が最終年度。「小学校、中学校、高校において育成すべき資質・能力および評価」をテーマに公開授業または実践発表を行う予定。
(道・道教委 2022-02-03付)
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