札幌市教委 4年度教育方針 各所管事項 学校教育の基盤に人間尊重 包括的重点に学びのススメ活用
(札幌市 2022-03-07付)

 札幌市教委は、4年度教育方針説明会で示した各所管事項の説明資料を教育委員会庁内ホームページに掲載した。資料では、4年度の学校教育の重点や知・徳・体の調和の取れた育ち、札幌らしい特色ある学校教育に向けた各種取組などを解説。新たに「札幌市学校教育の基盤」として「人間尊重の教育」を位置づけたことや包括的重点に「さっぽろっ子“学び”のススメの活用」を掲げたことなどを示している。説明資料の概要を連載で紹介する。

【学校教育の重点】

 4年度の市における学校教育でも、子ども一人ひとりが一歩一歩確実に「自立した札幌人」へと学び育つことを目指し、皆さんと一緒に取組を展開していく。

 昨年、12月の教育課程研究協議会の全体会で、大切にしてほしい三つの姿勢として①手段の目的化を防ぐ②試すことに失敗はない③子どもの多様性に向き合う―の3点を示した。

 ことし1月、コロナによる学級閉鎖が相次いだとき、ほぼ全ての学校が1人1台端末を活用した支援を実施していた。

 これは、コロナ禍にあっても「自立した札幌人」に向けて、子どもの学びを止めないという明確な目的を持ち、端末の持ち帰りや在宅勤務でのオンライン支援などを実践し、子ども一人ひとりに寄り添うという、この三つの姿勢を意識した好事例であった。

▼学校教育の基盤「人間尊重の教育」

 4年度の学校教育の最大のポイントとして、新たに学校教育の基盤として人間尊重の教育を位置づける。

 感染症の流行が長期化する中においても、知・徳・体をバランス良く育むためには、子どもが互いを認め、共に支え励まし合うなど、日常的に温かくて安心できる場が必要。

 そのために、学校では、日々の子どもの変化や成長をきめ細かに見取り、子ども自身が自分の良さや可能性に気づいたり、他者を尊重したりできるよう関わっていくことが重要と考える。

 これらを踏まえ、学校、家庭、地域が一体となり、全ての教育活動を通して、子ども一人ひとりが「自分が大切にされている」と実感できる学校づくりに取り組む。

 人間尊重の教育の推進に当たっては、つぎの3つの視点が大切となる。

 視点1「教職員自らの人間尊重の意識の向上」、視点2「校種間の連携による連続性のある人間尊重の教育に向けた取組の推進」、視点3「子ども自身が自分を振り返り、人間尊重の意識の高まりに気づく手立ての構築」。

 特に4年度は、視点1に重点を置き、まずは教職員同士が同僚性を発揮しながら、様々な人権課題と向き合うことで、相互承認の感度を高める。

 その上で、視点2や視点3へと取組の場を広げていく。

▼4年度包括的重点―学校教育部

 各重点にかかる取組の横串となる包括的重点について、4年度は新たにさっぽろっ子「学び」のススメの活用を第一に掲げ、市の学校教育における子ども観・教育観を、家庭・地域と共有するとともに、小中一貫した教育の推進と、ICTを活用した教育の推進を意識しつつ、様々な教育活動を進めていく。

 また、前年度の包括的重点「感染症対策を講じた学校教育の推進」については、包括的重点からは外れるが、教育活動の前提という考えのもと、これまで積み重ねた感染症対策を講じた教育活動についての知見を踏まえ、「学びの質を高める」教育活動を推進すると整理している。

▽さっぽろっ子「学び」のススメの活用

 子ども一人ひとりが「自分が大切にされている」と実感するためには、家庭や地域との連携・協働が不可欠。そこで、さっぽろっ子「学び」のススメを根幹として、ICTの活用および小中一貫した教育の推進を促すススメを新たに作成した。

 4年度はこれらをツールとして効果的に活用しながら、各園・学校、家庭、地域が連携・協働して、子どもに寄り添い、子ども自身が自己肯定感を高めていくような取組を一層進めていく。

▽小中一貫した教育の推進

 4年度はいよいよ小中一貫した教育の全面実施の年となる。

 全ての小・中学校において、推進の四つの視点に沿って、パートナー校単位での取組を協働的に進めていく。

 市では、義務教育段階における小中一貫した教育を中核として、その前段階の幼稚園段階および義務教育終了後の高校段階にまでつながりを広げ、家庭や地域の協力を得ながら、自立した札幌人の実現に向けた知・徳・体の調和のとれた育ちの一層の充実を図る。

 また、家庭や地域と連携・協働して取り組むに当たっては、作成したリーフレット「さっぽろっ子小中一貫したつながりのススメ」が有効なツールとなる。各園・学校において積極的に活用してほしい。

▽ICTを活用した教育の推進

 1人1台端末の導入によって、教育は大きく変化しようとしている。ICTの特性や強みを生かしながら、効果的に学習の過程の充実を図るなど、課題探究的な学習をさらに充実・深化させるとともに、学校での学びと家庭での学びをつなげるツールとして、積極的に活用していく。

 また、新たに作成したリーフレット「さっぽろっ子ICT活用のススメ」も活用するなどして、平常時における家庭への持ち帰りや登校できない子どもに対する授業配信等についても、学校と家庭、地域が一丸となった取組を進める。

(札幌市 2022-03-07付)

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