端末持ち帰り学習 好事例③ 羅臼知床未来中 一方通行から双方向型へ 全授業の常時配信体制確立(学校 2022-03-11付)
職員室のホスト機で授業配信を管理
【釧路発】羅臼町立知床未来中学校(滝泰英校長)は、全ての授業を遠隔で配信する「未来中常時オンラインシステム」を確立し、新型コロナウイルス感染症の影響で登校できない生徒や不登校、入院中の生徒など全生徒の学びの保障に取り組んでいる。オンライン授業に携わる教員の指導力向上に向けて定期的なミニ研修を開催しているほか、学校独自の実践事例集を作成して知見を共有。一方通行型から双方向型へと授業改善の成果も現れている。
町内では昨年8月、新型コロナウイルス感染症の罹患者が急増し、町独自のまん延防止特別措置を実施した。
これを受けて同校は、感染症の不安などで登校できない生徒や不登校の生徒の学びを保障するため、同システムの体制を整備。各家庭に学年ごとに割り当てられたオンライン会議システムの固定IDとパスワードを周知して授業の黒板の画面を常時配信することで、生徒が自宅で教師の発問や学習内容を確認できるようにした。
当初、音声が届かないなど技術的な問題も多く発生したものの、校内のICT学習支援委員会が中心となって試行錯誤しながら取組を進めた。生徒の参加状況をすぐに把握できるよう、職員室では各学年のホスト機を並べるなど工夫を凝らした。
授業動画は常時配信。オンライン授業は授業日に該当せず出席停止の扱いだが、入院中の生徒も参加できるなど学びの保障の大きな手段となっている。不登校の子どもが参加し、登校日数の増加につながる効果も現れている。
授業に携わる教員の指導力の向上に向けては、定期的なミニ校内研修を開催して個に応じた研修を徹底。オンライン授業実践事例集を作成し、授業の具体的手順、成功例や失敗例を共有して取組の改善を図っている。オンラインを活用することで一方通行型の授業から双方向型の授業への転換が進み、授業改善の成果も現れているという。
ワイファイ環境のない家庭や光回線が通っていない地域の生徒には、SIM入りのワイファイルーターやアイパッドを貸与。通信費も町が支援している。現時点で端末が破損したとの報告はないが、故意による破損でなければ町教委が費用を負担する。
家庭での端末の利用が進む中、大きな課題となるのが情報モラル教育を含めた生徒の情報活用能力の育成だ。同校は端末の使用マニュアルを生徒や家庭に周知しているほか、特別活動の一環として情報モラルに関する講座を定期的に実施している。
田中陽一教頭は「オンライン環境を最大限生かし、従来は伸ばし切れなかった資質・能力の育成や、これまでできなかった学習活動、学校外での学びの充実などを一層図っていきたい」と語る。
(連載終わり)
(学校 2022-03-11付)
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