雄武高 町支援で全生徒・教員に端末 日常授業等での活用進む 教職員の働き方改革にも寄与
(学校 2022-03-14付)

リポート・雄武高
端末を活用した授業

 【網走発】4年度から道立高校で1人1台端末の活用が始まる。その動きに先立ち、雄武高校(佐々木光明校長)は3年1月から、町の支援を受けて全校生徒・教員分のアイパッドを整備。1人1台端末を活用した教育活動が進んでいる。日常授業での活用、緊急時における学びの保障に向けた体制整備、教職員の働き方改革など、導入から1年間の取組を追った。佐々木校長は今後、学習内容を発展させていくため「先生方には、生徒たちに意欲や学ぶ楽しさを知ってもらうために何をすべきかということを意識してもらえたら」と期待する。

 同校は、全校生徒68人(4年1月現在)、教職員13人(管理職、養護教諭含む)の小規模校。平成30年度からは地域連携特例校となり、地域全体で地元高校の存続と魅力ある学校づくりに力を入れている。

 タブレット端末導入の話が初めて持ち上がったのは令和元年度。石井友藏町長の就任を機に町教委関係者と高校魅力化に関する協議の場が設けられ、端末を活用した学習支援の重要性などが示された。その後の高校との協議でも、端末整備に関する要望が挙がった。

 新型コロナウイルス感染症の拡大によって、GIGAスクール構想が前倒しになったことも導入を後押し。小・中学校で1人1台端末の整備が加速したことを受け、臨時休業時などにおける学びの保障、小・中学校との学びの連続性などを考慮し、小・中と同じタイミングで整備することを決めた。

 町教委は3年1月、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用して全校生徒・教員分のアイパッド80台を購入。町から貸与を受ける形で、同校での1人1台端末活用が始まった。

 主に活用している授業支援アプリは、(株)MetaMoJiが提供する「メタモジクラスルーム」。導入を提案した教諭は「生徒一人ひとりの学習や作業の進ちょく状況をリアルタイムで確認・共有することができる点などが良い」と特色を話す。

 具体的には、現代文や数学の授業で従来紙で配布していたワークシートなどをPDF化している。このほか、ノートに記した解答などを撮影して全員で共有し、新たな気づきにつなげている。総合的な探究の時間では、進路に関する調べ学習とプレゼンテーション資料作成に活用した。

 ことし1月下旬には、臨時休業などが生じた際の対応をまとめたほか、実際に生徒に端末を持ち帰らせて接続状況を確認。端末の持ち帰り、オンライン授業の実施についても体制整備を進め、緊急時でも生徒の学びを保障できるよう備えている。

 また、端末の活用は教育活動のみならず校務にも波及。基本的な連絡事項伝達をデータ配布に移行し、職員朝会や職員会議の時間短縮につなげるなど、教職員の働き方改革にも寄与している。

 より効果的な活用につなげていくため、授業の様子を保護者や小・中学校の教職員、町内関係者などに積極的に公開したり、取組を様々な機会で発信したりしている。町教委の中村文隆教育振興課長は「生徒との意見交換会の中で“端末があることで学習の幅が広がった”との声があり、魅力づくりにつながっている」と手応えを口にする。

 同校が昨年10月に実施したアンケートによると、端末の活用を通して「以前より前向きに授業に参加できるようになった」と回答した生徒の割合が92%、「以前より理解力が増した」が93%を記録。生徒の意欲や理解力向上に効果が現れていることが分かった。

 教員対象のアンケートでも、端末を「毎時間の授業で使用している」「週に数回使用している」割合が半数に達した。教務進路部長の長野翔太教諭は「端末を活用した授業がある程度定着している」と分析する。

 一方、活用上の課題について「効果的な活用方法が分からない」と声を上げる教員もおり、長野教諭は「授業の目的を達成するための効果的な活用方法について、研修などが必要」とした。

 佐々木校長は、本年度は様々な活用方法を模索する段階とした上で「今後は学習の中身をどう進化させていくかが重要」と強調。「先生方には、生徒たちに意欲や学ぶ楽しさを知ってもらうために何をすべきかということを意識してもらえたら」と期待する。

(学校 2022-03-14付)

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