道教委 小・中指導主事研究協議会 端末の効果的活用研鑚 個別最適・協働的な学び充実へ
(道・道教委 2022-04-27付)

道教委小中指導主事研修
全道の指導主事約200人が参加した

 道教委は25日、札幌市内の道第2水産ビルを主会場に、4年度公立小・中学校各教科等担当指導主事研究協議会をオンラインで開催した。講話や教科等部会などを行い、個別最適な学びおよび協働的な学びの充実、各教科における1人1台端末の効果的な活用に向けて研鑚を積んだ。

 研究協議会は、道教委および各市町村教委の義務教育担当指導主事を対象に開催。会同、オンライン合わせて約200人が参加した。

 はじめに、新居雅人義務教育課長があいさつ。OECD(経済協力開発機構)が実施した生徒の学習到達度調査2018の結果を取り上げ「ICTの活用を児童生徒一人ひとりにどのように定着させるかが課題」と指摘。「ICTを活用すると簡単に調べることができるが、友達や保護者と関わることでより深まりが生まれる」「指導主事の立場として、いろいろな例を示したり、教師のやる気を引き出したりすることで、本道の子どもたちのために意識して取り組んでほしい」と呼びかけた。

 続いて、平嶋大義務教育指導係長が全体説明に立ち、協議会におけるキーワードとして①一人ひとりの子どもを主題にする②学びの質を高める―の2点を強調。新学習指導要領の着実な実施に向けて、各地域や各学校、各学級、児童生徒の実態を鑑み「学校全体だけではなく、一人ひとりに寄り添ったカリキュラム・マネジメントの充実が必要」とし、ICTを活用した学校における実践事例を紹介しながら「つぎの段階に進むためにどのような助言が必要かを見極めることが大切」と訴えた。

 愛知県春日井市立高森台中学校の水谷年孝校長による「GIGA環境整備後の教育の情報化の状況」についての講話のあと、各教科等における1人1台端末を活用した個別最適な学びと協働的な学びの実現に向けて、全体会および教科等部会を開いた。

◆春日井市高森台中・水谷校長が講話 端末活用まず教師から 模擬授業繰り返し手軽さ実感

 水谷校長は、市内の小・中学校で教諭、管理職を務める一方、市情報教育部会長、学校情報機器検討委員長を歴任。また、文部科学省委員や学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議委員など、市内だけでなく、わが国の教育現場の情報化推進に尽力している。

 冒頭、春日井市におけるICT環境整備に関わって、平成11年以降、校務の情報化、普通教室への実物投影機・電子黒板整備などの順で取り組んできたことを紹介。ICT教育の円滑な導入について「まずは先生にICTの便利さを理解してもらう必要があった」と強調した。

 教職員の研修について、端末の操作方法に関する座学に代わり、短時間の模擬授業を中心に行うことで、「教員に“これくらいの活用でいいのか”“これならできそうだ”と実感してもらうことが、日常の活用の定着につながる」と訴えた。

 授業実践例として、教諭が導入の段階で本時における課題やゴール、当日の授業の流れなどを端末上に示す方法を挙げた。児童生徒たちが、示されたゴールに向けて、個別による情報の収集や、児童生徒同士の協働による情報の整理・分析などを引き出し、自らの力でまとめていく姿を紹介した。

 その上で、端末やクラウドを活用する成果として①活用する手段の選択肢の多様化②児童生徒の活動時間や扱うデータ量、コミュニケーションの増加③アウトプットする量や質の向上④「教える」授業から「学ぶ」授業への顕著な変化―などを挙げ、「情報活用能力の育成を目指して授業を繰り返した結果、自ずと児童生徒が変容した」と述べた。

 また、高森台中3年生の学級委員が作成した、新1年生向けの端末活用授業の説明資料を紹介。3年生は、端末を活用することで「自分に合った勉強法が可能」「スライド作成・発表が容易」「今までできなかった実験も可能に」などの成果を挙げ、「これまでのノートを取るだけの授業から、自分たちで考え学び合う授業ができるようになり、効果的な学習につながっている」と記したことを説明した。

 このあと、NPO法人ほっかいどう学推進フォーラムの新保元康理事長がファシリテーターを務め、端末を使った学習を進める上での疑問点などについて質疑応答を行った。

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道教委小中指導主事研修の講話
疑問点などを整理する水谷校長(左)と新保理事長

(道・道教委 2022-04-27付)

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