小樽市教委 ヤングケアラー研修 大人が手を差し伸べて 実態や支援など専門家講演(市町村 2022-08-29付)
ヤングケアラーの実態について理解を深めた
【小樽発】小樽市教委は7月下旬、庁舎でヤングケアラー研修講座を実施した。日本ケアラー連盟の中村健治理事、えべつケアラーズの加藤高一郎代表が講義。ヤングケアラーの実態やその影響、学校の役割などについて理解を深めた。
当日は市内の小・中学校教員ら30人が参加した。
はじめに中村理事が「ヤングケアラーに関わる理解促進に向けて」と題し講義。少子高齢化や世帯人員の変化などによって、個人にかかる介護負担が大きくなっていることを説明したほか、ヤングケアラーについて「家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うような責任を引き受け、家事や家族の世話・介護・感情面のサポートを行っている18歳未満の子ども」とその定義を説明した。
また道内で行った各調査を示し「緊急時に代わりにケアをしてくれる人」という問いに対して自分の子ども(ヤングケアラー)と回答している割合は、高齢者介護で25・7%、障がい者介護で17・6%であったことや、中高生を対象に行ったアンケートでは概ね4%、25人に1人がヤングケアラーであったことなど、その実態を説明した。
さらに世話の頻度では、中学生の約6割、高校生の約5割が毎日、1日当たりの平均時間は全体として3時間以上が約2割に上ったことを報告。自由になる時間がない、友達と遊べない、勉強する時間が取れないなど、学校生活への影響が出ている状況を示した。
中村氏は、ヤングケアラーになることで学校生活や人間関係、勉学・就職への影響等が起こることから「ヤングケアラーに対する社会の理解と支援が必要」と強調。現状、ケアが必要な人のための法制度はあっても、ケアラーを支援する法制度はないとし「ケアラーが学校生活に集中できず、教育の機会を逃したり、健やかな成長を保証できず、次世代を育てられなかったりと、ケアラーに支援がなければ、社会的に深刻な問題が生じる」と訴えた。
またケアラーは、介護は家族がすべきという考え方にとらわれ、SOSを出せずに孤立するケースや、支援の必要性に気付かないケース、誰に何を相談していいのか分からないケースがあるとし、日本の介護者支援制度や都道府県・市町村のケアラー支援条例、海外でのケアラー支援の例を提示。「ヤングケアラーは見えにくい存在。周りの大人が気付き、手を差し伸べて」と呼びかけた。
次いで加藤氏がヤングケアラー支援について講演。自身の所属するえべつケアラーズに寄せられたヤングケアラーたちの現状や、支援活動として電話やSNSを通じた個別支援(相談)活動、出張相談活動、オンラインサロンの開設などを行っていると紹介した。
加藤氏は、ヤングケアラーの本質と課題について「因子は家庭・世帯にあり、家庭内の介護・経済など諸課題の見直し、支援介入が必要不可欠」とし「支援のベースとなる流れを早急に整備する必要がある」と強調。「ヤングケアラーの多くは、強い責任感で動いている。大人が気付き、見守ってあげよう」と話し「どんなささいなことでも“あの子ヤングケアラーかも”と思ったら相談して」と呼びかけた。
(市町村 2022-08-29付)
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