札幌市教育ビジョン振り返りシートの概要⑲ 電子書籍貸出2.5倍に 読書する子の割合 減少傾向に
(札幌市 2022-09-08付)

【市立図書館における読書・学習環境の充実】

▼現行計画策定時の課題

 貸出登録者数が市民の約3割にとどまっており、また、レファレンスサービスをはじめとする各種サービスを知らない市民が多いなど、図書館の機能や魅力が十分に認知されていない状況がある。

 このため、これまで図書館を利用していない層の利用の掘り起こしも含め、図書館がより多くの市民から有効利用されるよう、市民の学習意欲を高め、新たな活動のきっかけづくりとして、普及事業を充実させるなど、図書館の魅力や機能を高めるとともに、積極的に広報することが課題となっている。

 また、あらゆる世代が、本を借りたり、調べものが簡単にできたりするよう、多様な資料を収集するとともに、情報化の進展にも対応するため紙媒体と併せて、電子媒体による情報提供を進めることが必要。

 さらに、身近な学びの施設として、誰もが気軽に、快適に利用できるよう、施設や設備のユニバーサル化やサービスの充実を図ることが必要となっている。

 加えて、子どもが生涯にわたり読書をする習慣が身に付くよう「子どもの読書活動推進計画」に基づき、読書をするきっかけづくり、読書をする環境づくりを推進することが必要。

 資料や情報の提供を充実させていく上で、より大きな効果を得ることができるよう、他の図書館や関係機関、ボランティアとの連携をさらに進めること、また、時代の変化にも対応しながら、サービスを維持・発展させることができるよう、業務の効率化や人材の育成にさらに努めることが必要。

▼平成29年度から令和3年度末までの取組およびその成果

▽市民の生活や創造的な活動を支える「知の拠点」となる図書館を目指して、市民の読書活動の支援だけではなく「生涯にわたる学習を支える場」「生活や活動に役立ち、新たな活動を醸成する場」と位置付け、サービスの質の向上に取り組んだ

▽30年度には図書・情報館を開設し、都心に集う人々に対し、仕事や暮らしに関する情報提供や調査相談を行うことで、利用者が抱える悩みや課題を解決できるよう支援を行った。元年度には本市の図書館政策と図書・情報館が「Library of the Year2019」で「大賞」および「オーディエンス賞」を受賞した

▽札幌市電子図書館でも新型コロナウイルス感染症をきっかけに、電子書籍の利便性が認知され、3年度の貸出数は平成28年度と比べて2・5倍程度と急速に伸びている

▼課題への対応状況

▽図書館の魅力やサービス内容等をSNSを用いて発信し、情報拡大を図った

▽「予約本郵送サービス(有料)」「ウェブ仮登録」を開始し、非来館サービスの充実を図った

▽文化人や専門家の講演会やテーマ別図書展示を行い、情報発信を拡大した

▽電子図書館のコンテンツ数の拡大を図ったほか、コンテンツの入れ替え、特集の変更などによって、魅力の維持・向上に努めた

▽市民のニーズに合わせた課題解決を支援する特設コーナーとして「くらし応援棚」およびトピックスを集めた「くらし応援棚情報コーナー」を開設し、広報に努めた

▽各年代の子どもに応じた様々なプログラムを実施し、読書に親しむきっかけづくりを行った

▽外部の専門機関と連携しセミナーを開催し、来館につなげるきっかけづくりや知の拠点としての情報発信を行った

▼新たな課題(積み残しも含む)

▽「くらし応援棚」設置のほか、レファレンス事例をホームページに掲載するなど、広報に努めているが、レファレンスサービスが広く市民に知られていない

▽新型コロナウイルス感染防止と利用促進のバランスを取ったルール作りを進めることが課題

▽データベースの稼働率は増加傾向であるが、広く市民に知られておらず、大きな伸びがないことが課題となっており、周知の強化やデータベースと連動したセミナーを開催することで利用促進を図ることが必要

▽子どもの読書活動の推進に関して様々な取組をしてきたが、普段読書する子どもの割合に減少傾向が見られ、本を読むことが好きな子どもの割合も中学生では減少している

▼現行計画策定時との比較

▽26年図書館電算システム更新

▽26年電子書籍閲覧、貸出開始

▽27年「さっぽろっこ読書プラン」(第3次札幌市子どもの読書活動推進計画)策定

▽28年えほん図書館開設

▽30年図書・情報館開設

▼4年度以降の主な取組内容

▽さっぽろ読書・図書館プラン2022の推進

(連載終わり)

(札幌市 2022-09-08付)

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