北私幼・札私幼が研究大会 好きになる方法考えて 講演で子への言葉かけ示唆(札幌市 2022-09-29付)
23日の全体会には1100人が参加した
第64回道私立幼稚園教育研究大会札幌ブロックおよび第53回札幌市私立幼稚園教育研究大会が22日から2日間にわたって開かれた。新型コロナウイルス感染症の影響で、参集形式での開催は3年ぶり。テーマ「新しい時代をのびやかに生きる~社会に開かれた質の高い幼児教育を」のもと、市内21園での公開保育や、カナモトホールでの全体会を通して、より良い幼児教育の提供を目指して研鑚を積んだ。
主催は、道私立幼稚園協会(北私幼、近藤宏会長)と札幌市私立幼稚園連合会(札私幼、藪淳一会長)。
22日には、札幌市内の幼稚園・認定こども園21園で公開保育を実施。各園では、運動遊びや造形遊び、表現遊びなどを展開。遊びを通して、園児たちの好奇心や探究心を引き出す工夫の一端を紹介するとともに、グループ討議などで幼児教育のさらなる深化を図った。
23日の全体会には、約1100人が参加した。
藪会長はあいさつで、3年ぶりに実施した公開保育に言及し「札私幼が長年続けてきた学びの文化を途絶えさせるわけにはいかない。公開保育を機に、自園の取組を見つめ直す貴重な機会になったのでは」と述べた。福沢諭吉の『学問のすゝめ』の言葉を引用し「保育者は誰もが同じスタートラインに立つが、経験を積むことで保育者としての質の差が生じる」とし、保育者として学び続けることの大切さを訴えた。
近藤会長は、コロナ禍における3年間で、オンライン研修など新たな方式が定着してきた一方で、「基本は直接のコミュニケーションによる学びであることをあらためて認識した」と、会同による大会開催の意義を強調。「より質の高い保育の提供に向けて、一層の研鑚に努めてほしい」と期待した。
来賓あいさつでは、高木宏壽衆議院議員、鈴木直道知事、秋元克広札幌市長、伊藤龍平札幌市私立幼稚園PTA連合会会長が登壇。鈴木知事は、コロナ禍への対応に尽力した幼稚園教諭らに感謝の言葉を述べつつ「皆さんが働きやすい環境をつくっていきたい」と述べた。秋元市長は「幼児教育や保育は、子の将来への投資。皆さんと一緒により良い教育を考えていきたい」と呼びかけた。
このあと、親と子のメンタルヘルス研究所の岸本元気所長が「こどもと保護者のこころをグッとつかむ!~ことばがけ・セラピー」と題して基調講演した。
岸本所長は①こどもたちへのことばがけ②保護者へのことばがけ―の2部構成で講話。こどもたちへのことばがけでは、子の脳の働きからのアプローチ方法を説明した。子どもの脳は、聞いた瞬間に「快」か「不快」かを分けているとし、「実際は話を聞いているのではなく、先生の表情などを目で読み取って一瞬で判断している」と強調。「“快”と思えば先生の言葉を理解し、習得しようとする。一方で“不快”であれば言うことを聞かないケースが多い」と述べた。
ADHD傾向の子に対しては「まずは衝動を抑えることを考えがちだが、ちょっとした“快”では反応しないことが多い。衝動を抑えるのではなく“快”をより強く与え、興味・関心を引き付けることが大切だ」と述べた。
ある保護者からの問い合わせを例に、子の「分からない」から「分かる」までの過程を解説。「子どもたちは、分からないイコール“楽しくない”である。楽しくないから“楽しい”に変換することで、分かるにつながっていく」と述べ、「子どもたちを楽しくさせる、好きになるための方法を考えて、伝えていくことが大切」と呼びかけた。
(札幌市 2022-09-29付)
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