全教連道大会兼道研連札幌大会開く 子を主語にする学校を 教職員支援機構理事長が講演
(関係団体 2022-11-07付)

 全国教育研究所連盟等主催の「全国教育研究所連盟研究協議会(北海道大会)兼第77回道教育研究所連盟研究発表大会(札幌大会)」(10月28日、オンライン、1日付1面既報)では、荒瀬克己教職員支援機構理事長が「子どもを主語にする学校をつくるために」と題し基調講演を行った。荒瀬氏は「子を主語にする学校とは、子どもが主体的な学習者になっていく学校」と主張。「“探究”を契機に“教えこまない”豊かな学校に」などと訴えた。概要はつぎのとおり。

 成年年齢が引き下げられ、20歳から18歳となった。これまでは「大人になる」のは高校を卒業してしばらく経ってからだったが、在学中に成年に達するようになった。

 成年ということは、責任や義務が伴う。その準備がどれだけできているだろうか。大人になって生きていくのに必要な教育はどうあるべきか常に考える必要がある。

 高校の新学習指導要領では、生涯にわたってアクティブに学び続けられるようにすることが求められている。学び方を身に付け、自ら学び続けることのできる人に、自ら考え判断し行動できる自立した学習者に。教師や大人にも大事なことである。

 誇りを持って主体的に研修に打ち込むことが、未来を担う子どもたちを育て、この国の発展につながる。

 教員免許更新制の廃止によって、校内研修をどうするか、自らの学びをどうするか、研修をデザインする力が必要になる。研修のための研修が必要になる。

 研修履歴については、あくまでも学びの自己管理と自己評価のためのもので、可能な限り簡素化することが大切。全てを記録するのではなく、索引のようなものがあればいい。研修履歴を記録するために時間を使うのはやめた方がいい。

 個々の教師の指導力に加え、学校組織の教育力に視点を置くことも重要。チームとしての学校をどうつくっていくかという校長のリーダーシップも大切である。

 一人ひとりの子が主語になる学校とは、児童生徒が学び、学び合う学校。主体的な学習者になっていく学校である。そのためには、教職員が学び、学び合う学校でなければならない。この学びの循環を大切にしたい。

 カリキュラム・マネジメントで大切なことは共有である。現状把握は1人の目では無理。いろいろな人が見て重ね合わせる必要がある。組織としてのメタ認知が重要になる。それにはコミュニケーション能力が必要だが、これが難しい。例えば定義の共有。学力とは何か?キャリアパスポートの意義は?などは結構違う見解を持っていたりする。

 コミュニケーションが成立する場かどうかも大切。そこが話したいと思う場所か。また、へとへとで気持ちが着いていかないということもある。対話のできる場をどうつくるかである。

 主体的・対話的で深い学びが良く分からない方は、与えられる教育をずっと受けてきて「考えない」状態になっていないだろうか。

 探究もまずは基礎をしっかり身に付けさせないと前に進めない。だが、あとは自分で考えさせること。また、得た知識を「活用」することが極めて大切である。

 評価について。評価は、生徒への応援でなければならない。学びを支え促す評価になっているか、気付きを生む評価か、評価の観点が共有された評価か、「評価の評価」が大切である。

 探究を契機に「教え込まない」豊かな学校にしていきたい。知識・技能などは元々持っているものではない。しかし、主体的に学習に取り組む態度はみんな、生まれながら持っている。

 赤ちゃんは周りに物があると口に含んでみる。それが一番の認知方法だからである。人間は幼い時からそうして学びを続けている。

 そうやってせっかく学ぶ意欲を持って生まれているのに、なくしてしまうのは家庭や学校などで教え込まれた結果。それを取り戻すのが探究である。

 子どもの満足は、教師の満足なしには生まれない。例えば、探究心のない先生に出会うことで子どもの興味・関心が引き出されるだろうか。教育という仕事を面白いと思わない先生と一緒にいて子どもは幸せだろうか。こうした方が本来の力を発揮するために、誰が何をしなければいけないか。それが大人の宿題である。

(関係団体 2022-11-07付)

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