ICTで深い学び創造 道放送・視聴覚教育研究大会
(関係団体 2022-11-09付)

道放研・道視教研②6年総合学習
オンラインで助言を受ける神野藤教諭

 【函館発】道地方放送教育研究協議会(熊谷誠二会長)、道視聴覚教育連盟(山下暢哉会長)、NHK函館放送局は5日、第73回道放送教育研究大会・第67回道視聴覚教育研究大会合同函館・渡島大会をオンライン開催した。大会主題・研究主題「ICTを最大限に活用した主体的・対話的で深い学びの創造~個別最適な学び・協働的な学びの充実を図る授業改善」のもと、放送番組やICTを活用し、児童生徒の表現力を発揮させる研究内容を発表。豊かな学びの姿を提案し、放送教育・視聴覚教育が生み出す効果を探った。

 合同大会は道南情報教育研究ネットワーク(長瀬雅一会長)主管。研究授業は申込者限定で事前公開し、会場校の函館市立あさひ小学校から研究提言、実践発表の一部を配信し、道内外の教育関係者約140人が視聴した。

 開会式では、熊谷会長(札幌市立山鼻中校長)があいさつ。「学校放送番組や様々なコンテンツは個別最適な学びや協働的な学びの実現に向け、大いに活用できるもの。大会で得た成果を道放協の重点課題「研究成果の交流と放送教育の普及・発展、研究活動の推進」の実現に向け、歩みを進めていくとともに、道視聴覚教育連盟との合同大会によって、一層の成果に結び付けていく」と決意を表明。

 大会実行委員長を務めるあさひ小の長瀬校長は「道南情報教育研究ネットワークでは、児童生徒一人ひとりに高度な情報活用能力を育成するため、放送教育・視聴覚教育の実践を積み重ねてきた。実践発表等を通して、授業改善や全ての子どもの学びの保障につながる放送教育および視聴覚教育の在り方について研究を進化させたい」と述べた。

 来賓からは渡島教育局の内山史彦次長と函館市の辻俊行教育長が祝辞を述べ、大会の成功を祈念した。

 開会式後は放送大学の中川一史教授が「新しい学びを拓くICTの活用」と題して基調講演。

 函館市立港小学校の兒玉光晴主幹教諭が研究提言を行い、4つの授業分科会や幼稚園、小・中学校、高校の各校種における実践発表を行った。

 授業分科会および実践発表の発表者、活用端末等はつぎのとおり。=敬称略=

【授業分科会】

▼小学校体育

▽菅原拓(道教育大附属函館小)=3年「かけっこ・リレー」―アイパッド

▼小学校総合的な学習の時間

▽神野藤均(七飯町大中山小)=6年「しまった=~やまっこ放送局」―クロームブック

▼小学校図画工作

▽阿部里菜(函館市港小)=3年「切ってかき出しくっつけて」―クロームブック

▼小学校算数

▽巻静香(寿都町寿都小)=3年「表とぼうグラフ」―ウィンドウズ

【実践発表①】

▼後藤優介(旭川宝田学園わかば幼)=「年少組の番組継続使用“ピタゴラスイッチ”とタブレットの利用」

▼船橋昴己(七飯町大中山小)=「小学校社会科における放送番組を活用した授業実践 おすすめ武将PR合戦=~3人の武将について、様々な情報を収集してPRしよう」

▼金子智和(道教育大附属函館中)=「1人1台端末環境での指導と評価の一体化~CBTを活用した学習評価の在り方」

▼三浦和馬(知内高)=「カラダを通して考える、地域の魅力と課題と将来と~知内高校「地域創生学習」が目指す情報の収集・分析・活用」

【実践発表②】

▼杉浦めぐみ(認定こども園うみの星保育)=「自由な動画視聴から広がる遊びの世界」

▼中里敦(函館市あさひ小)、髙谷智史(函館市北昭和小)=「ICT(主にグーグルワークスペース)を活用した授業改善の取組」

▼浜頭良輔(中札内村中札内中)=「オンライン型研究大会とデジタルツールを活用した数学科の実践授業」

▼小林元貴、平石暁史(函館市深堀中)=「生徒主体による〈いじめ撲滅キャンペーン「深中IBC」〉の展開~ICTを活用した生徒会活動の一事例」

分かりやすい動画とは 七飯大中山小6年総合学習 スライド作成法を下級生に

 授業分科会では、事前に配信した5授業について、参加者がブレイクアウトルームで協議。公開授業のうち、七飯町立大中山小学校の神野藤均教諭が指導した6年生の総合的な学習の時間「しまった=やまっこ情報局」は、NHKフォースクールの番組「しまった=情報活用スキルアップ~プレゼンテーションの作り方」を活用し、児童の学習意欲向上に向けた指導を展開した。

 授業では、6年生が下級生にクロームブックを活用したスライドの作成方法を教える活動を企画。

 コロナ禍のため、異学年交流を控え、作成方法を示した動画を下級生に提供する方針で学習を進めた。神野藤教諭は単元の冒頭、相手に伝わりやすいプレゼンテーション方法を解説した情報番組を児童に共有。興味を引くプレゼンテーションを理解させたあと、下級生に伝えたい内容について学級内で投票。可視化するアプリ「メンチメーター」を活用して要点を絞った。

 児童は、アナウンサー役、撮影役、コンピュータ役などをチームで分担し、仲間と協働的にグーグルスライドを作成。動画や静止画を撮り直すなど、改善を進めながら下級生に分かりやすいものを完成させた。

 神野藤教諭は実践から①放送番組・ICTを活用することによって、単元の見通しを持ったり、協働的に学習を進めたりすることができる②プレゼンテーションを撮影し、仲間とモニタリングすることで自己の学びを対象化することができる―の2点を検証した。

 分科会で助言した道教委ICT教育推進課の山寺潤主査は「放送番組を導入するタイミングが良く、児童の興味を引き出している。創意工夫を生かしながら表現力を育成する指導は単元デザインの参考となる」と評価した。

学習時間短縮等で成果 ICT活用の授業改善実践発表

 実践発表では、幼・小・中・高の全校種から10人の教諭が発表。うち函館市立あさひ小学校の中里敦教諭と北昭和小学校の=谷智史教諭は「ICT(主にグーグルワークスペース)を活用した授業改善の取組」と題し「身に付けさせたい力を明確にした授業づくり」など2点を重点とした国語と算数の授業改善例を発表した=写真=。

 両教諭は、函館市教委が児童生徒の1人1台端末にクロームブックを採用していることを踏まえ、グーグルワークスペースを活用した指導改善に取り組んできた。

 授業改善の重点には①身に付けさせたい力を明確にした授業づくり②筋道立てて説明するなどの言語活動の充実―の2点を設定。

 うち①では、4年生の国語「漢字辞典の引き方」の指導例を紹介。グーグルスライドやグーグルワークスペースで索引の選び方を示すフローチャートを作成し、索引の選び方を児童に示すことで、効率良く調べ学習が行えるよう工夫した。

 ②のうち、3年生の算数「たし算とひき算の筆算」では「4桁同士で9000になる数字の筆算」など思考を焦点化した問題を設定。児童はジャムボード上の付箋機能を用いて数字操作を行ったり、ドライブ共有によって学級内で考えを比較したりするなど、協働的な深い学びに取り組んだ。

 両教諭は指導改善の成果として、学習時間の短縮や児童の意見を蓄積し、活用できるデータベース化の利点などを列挙。

 一方、児童および教員ののICT活用能力向上や急なトラブルへの対処を課題とし「試行錯誤や経験を積み重ねるトライアンドエラーが重要」と分析した。

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