全小社研北海道大会公開授業⑬八軒西小 歴史から学び新たな社会へ 日本の近代化支えた基盤に着目(札幌市 2022-12-20付)
第6学年授業研究会A(1)
札幌市立八軒西小学校6年3組(鵜沼吉史教諭)
明治の国づくりを進めた人々~近代化を支えた基盤とは何
◆第6学年で目指す子どもの姿
▼歴史から学び、新たな社会を創り出そうとする子
第6学年で目指す「社会を知り、世界を切り拓く北国の子」とは「歴史から学び、新たな社会を創り出そうとする子」である。
激動の江戸末期に行われた明治維新では、廃藩置県などの制度の改革とともに、文明開化に代表される生き方・考え方の変革が進んだ。その結果、日本は短期間で近代化を推し進めることができた。
本単元では、日本の急成長を支えた「基盤」(ある物事を成立させるための土台)とは何かに着目して追究する。
本時で扱う石炭の採掘とそれを運ぶ鉄道などの社会的基盤の整備と殖産興業とのつながり。人々の生き方・考え方の変化と自由民権運動とのつながり。社会を変革した取組を支えた「基盤」の存在に目を向けることで、持続的な発展のためにはその土台となる基盤が必要であることを学ぶことができる。
学んだことをもとに、これからの日本社会の発展を支える基盤とは何かについて考える姿こそ6学年部会で目指す「歴史から学び、新たな社会を創り出そうとする子ども」の姿である。
◆本単元の目標
明治維新の近代化に向けた取組について、短期間で急速に近代化が進んだことに着目し、地図や年表などの資料で調べてまとめ、なぜ日本が近代化を果たせたかについて、殖産興業や富国強兵の取組と鉄道の敷設を関連付けて考えるなど近代化を支えた基盤について考え、表現することを通して、明治維新に関わった人々の思いや努力、エネルギー源やインフラ整備の重要性を捉え、急速な近代化を支えたものは何かを理解する。
また、変革を支える基盤が持続的な発展に必要だと認識し、今後の日本の発展の在り方を考えようとする態度を養う。
◆本時のねらい
黒田清隆が北海道に幌内鉄道を造った理由を考える活動を通して、黒田が北海道の開拓と日本の近代化を進めることを意図したことに気付き、鉄道の敷設や石炭の確保が近代化の原動力になったことを捉え、適切に表現する。
◆本時の展開
【子どもの主な活動】
〈問いを生む場〉
▽東京・大阪など
・ガス灯やレンガ造りでどの都市も発展している
・大都市同士を鉄道で結んでいる
▽鉄道
・明治5年=新橋―横浜間開通
・明治7年=大阪―神戸間開通
・明治15年=小樽―札幌―幌内間開通
▽北海道
・山を切り拓く「開拓」が進められていた
・「山や谷もあって鉄道を敷くのは大変なことだね」
▼課題「(それまでは近代化の進んだ都市に鉄道を造っていたのに)黒田清隆は、どうしてまだ開拓の進んでいない北海道に鉄道を造ったのか?」
〈考えをつなぐ場〉
▽小樽
・港を生かして、ものを運ぶことができる→幌内で取れた石炭を日本各地に輸送したり外国に輸出したりすることができる
▽札幌
・開拓に必要な道具や物資を運ぶことができる→北海道の開拓が進みやすくなって、新しい国づくりにつながる
▽幌内
・石炭を取ることができる→工場を動かす燃料になる、鉄道や船を動かす燃料になる
▼まとめ「幌内の石炭を北海道の発展と新しい国づくりに生かすために、北海道に鉄道を造ったんだね」
〈吟味・検証・再考する場〉
▼課題「その後の日本の鉄道は、どのように整備されていったのだろう」
▽日本全国の炭鉱と鉄道を結ぶことで石炭を確保した
・日本中に鉄道が広がっている
・他の炭鉱も鉄道と港とつながっている
▽炭鉱だけではなく様々な工場と港が鉄道で結ばれている
・養蚕業が盛んな「横浜港―高崎」
▼まとめ「全国各地の港や工場、炭鉱を鉄道で結ぶことが、殖産興業を支える力となり、日本が発展したんだね」
【教師の具体的な手だて】
〈問いを生む場〉
▽文明開化の中心地としての「東京・横浜・大阪・神戸」と「北海道」を比較することで、開拓途中の北海道で多くの労力が費やされ鉄道を敷設したことに着目して、問いを生む
〈考えをつなぐ場〉
▽場所の特性に着目するように関わり、どのような良さがあるかを考えられるようにする
▽石炭の行き先を問うことで、日本全国へと視点を広げて追究できるようにする
〈吟味・検証・再考する場〉
▽当時の鉄道網の図から、港と炭鉱と鉄道とのつながり、鉄道と工場とのつながり、その意義を問うことで、鉄道の広がりが日本の発展につながったことを考えられるようにする
▼評価
▽鉄道の敷設と石炭の確保が北海道、日本の長期の発展のために必要だったことを捉え、ノート等で表現しているかを評価する
(札幌市 2022-12-20付)
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