PICK UP No.7 渡島・檜山(学校 2022-12-20付)
福島町が建設を進める青少年交流センター「新潮学舎」の完成予想図
◆福島商業高 全国募集への挑戦
11月に開かれた高校づくりに関する指針改定版意見を聞く会。福島町教委の小野寺則之教育長は「地域から高校がなくなれば、町の過疎化に拍車がかかる」と発言し、危機感をあらわにした。
福島町は、少子高齢化などで人口減少が進み、現在はピーク時の3割程度の3600人まで減少。地域連携特例校の福島商業高校(太田和浩校長)は例年定員割れが続き、新入生は例年10人前後で推移。町内からの進学者数は3割程度にとどまり、厳しい状況が続いている。
高校存続に向けた一手として、同校は次年度の入学者選抜から全国募集開始に踏み切った。道内で全国に門戸を開いている高校は、三笠高校や静内農業高校など。調理師育成や馬産地としての地域の特徴を生かした取組が、生徒の呼び込みに功を奏している。
太田校長は高校魅力化に向け、商業高校として「実践的な学び」の充実を掲げる。同校の卒業生は漁業や建設業、金融機関、公務員として町に残る事例があり、現代社会に応じた能力を身に付けさせる必要性を強く感じている。
多業種でIT技術の進展による省力化が進んでいることを踏まえ、ドローンの操作を学ぶ授業を導入したり、1人1台端末でホームページ制作に取り組んだりするなど、デジタル技術のスキルを養う授業を計画している。
全国募集で集まった生徒が下宿できるよう、町教委は青少年交流センター「新潮学舎」の建設を進めている。コロナ禍で需要が増えているワーケーションやテレワークの宿泊客を一部の部屋で受け入れ、施設内に生徒と交流できるスペースを設けることで、移住・定住の促進や外部人材の確保など交流の輪を広げたい考えだ。
町では近年、若者が立ち上げた岩部クルーズ事業などが好評で、多くの観光客が訪れる。小野寺教育長は「若い人材を呼び込み、地域で活躍できる人材を育成することが持続可能なまちづくりに欠かせない」と訴える。「施設で高校生がアルバイトできる環境も検討していきたい」とし、地域活性化と実践的な商業教育の結び付きに期待が高まっている。
◆檜山 学び合いPで高い成果
本年度の全国学力・学習状況調査で小学校全教科が14管内別でトップとなった檜山管内。3教科の平均正答率は全国で上位レベルに位置する数値とみられており、管内の教育水準は全国的にも高い傾向にある。
質問紙調査の国語、算数・数学では「授業がよく分かる」と答えた児童生徒の割合も全国平均を大きく上回った。学力向上に真摯に向き合う教員の姿勢が児童生徒にも伝わっていると言える。
檜山教育局の井田昌之義務教育指導班主査は「管内の教員は研修の参加率が高い」と指摘。前年度から開始した独自研修事業「オール檜山“学び合い”プロジェクト」には、任意参加にもかかわらず、全教職員で参加する学校もあるという。ある教員は「他町の実践を聞く機会は以外と少なく、オンラインで気軽に参加できる点が取り組みやすい」と評価する。
各校では校内研修も活発化している。江差町立江差小学校(谷口光伸校長)では毎週金曜日、学校スタンダートに基づいた指導を全教職員と児童が授業内容を振り返る場を徹底。同校で長年行ってきた自主学習ノートなどの学校掲示物や校内放送で児童の頑張っている姿勢を「見える化」する取組は学習意欲の向上や自己肯定感の高揚にも大きくつながっているという。
谷口校長は「教員の指導改善に向けた意欲は高いと感じる」とした上で「学び合いプロジェクトで他校の実践を学んだり、校内研修で教員同士を高め合ったりするなど、当たり前のことを着実に行う姿勢が染みついている」と分析する。
一方、檜山局は「数学の授業改善や小中連携が課題」と捉え、より充実した講座を開設。若手教員を対象とした「オール檜山学び合いプロジェクトPlus~授業力UPセミナー・中学校数学編」では、一部集合形式とし、指導案の作成など実践的な内容を取り入れている。
来年1月には、道南4管内の指導主事を対象とした研修を開始。全国調査の分析に基づいた授業改善を探る支援策を講じるなど、学力向上に向けた取組が一層強化される。
(学校 2022-12-20付)
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