PICK UP No.8 十勝(学校 2022-12-21付)
生徒が開発した製品に触れる利用者
◆帯広三条高 類型別探究活動導入へ
道教委・道CLASSプロジェクトの指定を受けている帯広三条高校(合浦英則校長)は、来年度から2年生を対象に進路希望に沿った“類型別探究活動”を始動する。在校生や卒業生の進路動向をもとに6類型を設け、将来にわたり自主性を持って探究し続ける人材の育成を目指す。
2年次に類型別探究活動を行うことで、今後学びたいことや就きたい職業など、将来を意識するきっかけをつくり、地域を軸とした1年次の探究活動と3年次の進路活動を結び付ける。
類型は①アート・表現②地域課題解決③教育・スポーツ④サイエンス&テクノロジー⑤看護・医療&地域支援⑥国際理解・人権―の6つ。教育・スポーツ、看護・医療&地域支援では、現場の今日的課題を見つけ、負担軽減に向けた解決策を高校生の視点で考える授業展開を想定している。
類型別探究活動導入に向けて、現1年生はゼミ形式の探究活動を進めている。前年度、堀口人士教諭が視察した他校の探究活動から着想を得て企画。年度当初から1学年を担当する教職員間で会議を重ね、企画の趣旨や指導計画などの共通理解を図った。
地域や社会の出来事を自分事として捉え、自身の考えを表現する能力の育成を目指し、学年の担当教員に加え、合浦校長自らゼミを受け持った。
観光業や産業、教育関係など、全15テーマの概要を各教員が生徒に説明し、生徒は興味・関心を持ったゼミを選択。コーディネーターが各ゼミの企画に沿った企業を選定し、連携・協力の交渉を担っている。堀口教諭は「情報収集の方法から自分たちで考え実行し、主体的な姿勢が見られる」と手応えを感じている。
合浦校長は「2年生の活動は自分の将来により近づく。地域課題について考える1年生での活動の生かし方は様々」とし「生徒が将来、自主性を持って生きていけるよう、探究活動を通して意識付けを図りたい」と力を込める。
◆帯広大空学園 STEAM教育
本年度開校した帯広市立大空学園義務教育学校(村松正仁校長)は、8年生の総合的な学習の時間に独自カリキュラム「総合福祉デザイン」を位置付けている。美術・技術・情報工学をかけ合わせ、体の不自由な人に向けて自助具を開発する授業を展開し、義務教育段階からSTEAM教育を意識している。
同校はパナソニック教育財団の実践研究助成等によって3Dプリンターを7台用意した。ユニバーサルデザインを美術科で学び、技術科では端末で設計した製品を、3Dプリンターを活用して製作。各教科の特色を生かし、総合的な学習の時間と組み合わせることで、実社会に生きる問題発見・解決能力の育成につなげている。
開発に当たり生徒たちは、福祉用具等を取り扱う地元企業から製品の解説や体験、福祉施設所長から施設利用者4人の症例や困り感の説明を受けた。開発途中、協力者から助言を受け、生徒たちは製品の改善に努めた。
11月下旬、訪問看護の利用者に生徒自ら製品を届けた。筋萎縮性側索硬化症患者に、ベッド上で固定できる置き型のスマホスタンドを2種類用意。看護職員と共に設置位置を調整したものの、高さや傾斜などが合わなかった。生徒たちは「実際に使うための改善点が見えた」と、利用者に寄り添い試行錯誤する製品設計の過程を肌で感じていた。
技術科を担当する上野嗣弥教諭は、製品を届けた生徒が利用者のフィードバックを失敗と捉えることがないよう、一般的な納品の工程を丹念に説明した。活動を通して「地域の困っている人に向けて、様々な感性や技術を用いて道具を創造する価値を、義務教育段階から感じてほしい」と期待を寄せる。次年度に向けて、保育所の乳幼児に向けた知育玩具の製作など、さらなる学習内容の充実を模索している。
(学校 2022-12-21付)
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