社教委員の会議・生涯学習審議会 孤立者つなぐ役割を 図書館や公民館の在り方は
(道・道教委 2022-12-26付)

 道教委は20日、札幌市内のかでる2・7で4年度第2回道社会教育委員の会議兼第16期道生涯学習審議会を開いた。図書館や公民館などの社会教育施設の役割について審議。委員からは「コロナ禍で孤立している子や家庭をつなぐ役割を」「サービスを提供するよりも、市民がどう使っていくか。主体性を大切にし、いかに〝してくれる〟から脱却するかが大切」「公民館を産業振興の拠点とするため、先進事例に学ぶ必要がある」などの意見が出された。

 今期は「北海道の社会教育施設が果たすべき役割~ウェルビーイングを実現する生涯学習・社会教育」をテーマに審議を行っている。オンラインで委員14人が参加した。

 はじめに山上和弘生涯学習推進局長があいさつ。「道民の皆さまが豊かな生活を送り続けることができるよう、その拠点として、社会教育施設の望まれる姿について議論を深めたい」と述べ、忌憚のない意見を求めた。

 続いて事務局が社会教育施設の役割や現状等を説明。また、14、15日に現地視察を行った恵庭市島松公民館と帯広市図書館の取組について事例発表を行った。

 中では「読み聞かせは著作権法の問題があるため、市民文芸を利用すると良い」「中高生の利用が少ないのでティーンズお薦め本を選定したが利用が伸びず、LGBTQをテーマに取り上げたところ好評を得ている」などの声が出された。

 続いて、公民館や図書館等の役割について協議。委員からは「各地の社会教育施設はほとんど老朽化しており、経費の問題は避けられない。指定管理者制度で民間に委託することも検討すべき」「3、4歳の子はコロナ禍に生まれ、地域とつながることなく入園している。そうした子や家庭をどう社会につなげ孤立を防ぐか、公共施設の役割は大きい」「多くの社会教育施設は利用者が固定されている。一般市民への発信が最も大切。イベントやホームページ、まちの広報などを通じ積極的にPRを」「職員の方が優しいと子どもたちにも好評。職員がどう関わり、周りとつながっていくかが大切」「苫小牧市では、12月から図書機能と福祉拠点機能を兼ねる共生型地域福祉拠点をオープンした。指定管理者制で障がい者就労のカフェを入れて運営している。独り暮らしの高齢者が朝から晩までおり、孤立・孤独な人の居場所になっている。福祉的なニーズを持った人が多く来るので、図書・文化施設と福祉は親和性が高いと思う」「市民にサービスを提供するよりも、市民が拠点としてどう使っていくかを重視している。図書館も自分たちでテーマを設け本を並べるなど、能動的で多様な図書館を目指しており、主体性を発揮するきっかけが大切だと思う。いかに“してくれる”から脱却するかがこれからは大切」「発達障がいの利用者が事業に参加したいと言ってきたとき、障がいへの知識がなかったためうまく対応できなかった。どう情報やノウハウを得ていくか、ネットワークを形成するかが課題」「今後、図書館などの公共施設は自分たちで財源を確保していくことが大切。特に公民館は、産業振興の原動力となることが目的に掲げられているが、そういう事例を見ない。公共機関でありつつ収益を上げるため主体的に産業を興した事例などに学ぶ必要がある」「学校や地域は図書館がやっていることをあまり知らない。周知の仕組みを考えていかなければ」「連携と拠点化がキーワードと感じた。地域の課題解決と言っても幅広く、連携しなければできない。そうしたきっかけとなる発信を続けていくことが大切」などの意見が出された。

 本年度は5年3月にもう1度会議を開く予定。5年度も審議を続け年度末に「審議のまとめ」を公表する。

 最後に「北海道子どもの読書活動推進計画(第5次計画)」原案について、5年1月10日までに意見等を寄せることを申し合わせた。同計画は本年度末の策定を目指している。

(道・道教委 2022-12-26付)

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