道教委 世界遺産で縄文学習 新年度から遺跡活用授業 VRツアーなど教材開発も
(道・道教委 2023-01-05付)

伊達市北黄金貝塚竪穴住居VRツアー(内)
実際に現地にいるような臨場感で、好奇心を刺激するVRツアー

 道教委は、世界文化遺産に登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」を活用した授業を新年度からスタートする。全道で試行したゲストティーチャー授業を参考として指導プログラム・指導案の作成を進めており、3月までに公表、4月から全道各地で授業が行えるようにする。ゲストティーチャー授業では、特に縄文遺跡を実際に歩いたように探索できる「VRツアー」が好評。現地を探検している臨場感で竪穴住居の中も探索でき「家の中で火をたいていいの!?」などと、子どもたちの知的好奇心を大きく刺激している。

 児童生徒の歴史・文化への理解促進や世界遺産保護の意識の醸成を図るもの。

 道教委では、世界遺産を活用した教育が全道で進められるよう、教材の開発と「ゲストティーチャー授業」を全道で実施した。

 教材は、出土品の土器、石器などを3D化したもので、貴重な文化財をあらゆる角度から観察できる。また、360度のVR(仮想現実)を使い、教室にいながら縄文遺跡を探索するバーチャル・ツアーができるようにした。

 ゲストティーチャー授業は、縄文遺跡・文化の学習に熱心に取り組んでいる小学校6校、中学校6校、高校2校の計14校を対象に実施。1校が日程調整中となっているが、その他13校は全て授業を終えた。

 各校では、1~5学級、全校など希望する規模により教室や体育館などで授業を行った。遠軽町で学芸員などを務めた専門家が授業の原案をつくり学校と内容を調整した上で実施した。

 具体例をみると、導入で本物の土器などを子どもたちが触れるようにし、興味を高めた上で道内には数多くの遺跡があることなどを説明。世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」の概略を紹介した。

 また、縄文人の顔と弥生人の顔をスクリーンに映し、自分がどちらに近いかを調べる方法を説明。貝塚から出土したハマグリから、現在よりも気候が温暖な時期があったことを紹介するなど、興味を引き付けながら解説した。

 VRツアーでは、子どもたちが端末で現実味あふれる遺跡の映像の中を探索。竪穴住居の中を探索したり貝塚を調べたりした。

 講師は竪穴住居の中がどうなっているか、どんな食生活だったかなど気付きを促した。地域に縄文遺跡がある学校では、身近な遺跡の内容も説明した。

 子どもたちは竪穴住居に入ると「家の中で火をたいていいの!?」「隙間だらけだけど大丈夫なの?」など大いに知的好奇心を揺さぶられていた。

 遺跡にある板を画面上でクリックすると説明を見ることができることから、疑問に思ったことを次々と解き明かしていく楽しさがあり、授業終了後も夢中になってVRツアーを続ける姿が見られた。

 授業後の協議では「実物に触れることで興味・関心が高まっていた」「3D教材は大きさがイメージしにくいので大きさが分かる工夫が必要」「VRツアーは限られた授業時数の中で、実際に行かなくても遺跡の様子が見学できる。他の遺跡と比較して理解を深めることもできる」など多くの声が寄せられた。

 道教委では、こうした声を踏まえながら、教材を用いた指導プログラム・指導案を作成。3月までに指導案および教材を公開し、5年度から全道で授業を行える体制を整えることにより、全道の子どもたちが縄文について学び、ふるさとである北海道に一層の愛着や誇りを持つことができるようにしたい考え。

(道・道教委 2023-01-05付)

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