札幌視覚支援と旭川盲が合同授業 他者の意見取り入れて ハンズオン・魔法のPJ
(道・道教委 2023-01-06付)

札幌視覚支援と旭川盲が合同授業
オンラインの合同授業によって、多くの生徒と話し合い関わる機会とした

 障がいのある子の学びをICT機器で支援・充実させる道教委の「ハンズ・オン・プロジェクト」およびソフトバンク㈱と連携した「魔法のプロジェクト」の合同公開授業が昨年12月中旬、札幌視覚支援学校、旭川盲学校などをオンラインでつなぎ開かれた。中学部の音楽で「魔王」の曲とセせりふについて話し合い、みんなの意見を取り入れることで、表現力が劇的に向上する姿が見られた。

 道教委では、盲学校4校がICTを活用した実践を通して個別最適な学びと協働的な学びの充実を図る「ハンズ・オン・プロジェクト」を進めている。

 また、特別支援学校等にICT機器を貸し出し、活用事例を公開し、障がいのある児童生徒等の学習・生活支援を促進するソフトバンクの「魔法のプロジェクト」に参加。道内4盲学校で、幼児児童生徒一人ひとりに応じた機器の活用法や、オンライン接続による対話的・協働的な学びの実践研究を進めている。

 この日は、札幌視覚支援と旭川盲が合同授業を行い、その他の学校が視聴。生徒は札幌視覚支援から2人、旭川盲から6人が参加した。

 公開授業は音楽科の単元「詩の内容と曲想との関わりを感じ取ろう」で、教材はゲーテ作詞・シューベルト作曲の「魔王」。札幌視覚支援の越智美月教諭がメインティーチャーを務めた。

 本時の目標は「魔王」に登場する4人の登場人物の音楽的な特徴と心情を感じ取り、意見を交流し合うことができること。

 全員が自己紹介してから「魔王」を鑑賞。どのような曲だったかを振り返り、続いて4人の登場人物になりきり、感情を込めて日本語のせりふを演じた。

 その上で、4人の音楽的特徴を話し合い発表。語り手については「最後はピアノが途切れ途切れで悲しい様子を表してる」「最後は伴奏がなくなってテンポがゆっくりになった」など。

 父親については「低い声で歌っていて格好良い」「子どもがおびえているので優しく話しかけるようにすると良い」「お父さんの最初と最後が大きいのは子どもを落ち着かせようとして。子どもが心配だったと思う」など。

 子どもについては「かわいく演じると良い」「段々音が上がって大きくなっていった」「震えるような声で歌うと良いと思う」など。

 魔王については「ゆっくりはっきり言った方が良い」「魔王が出てくると3連符ではなくなるので、魔王は異世界にいるんじゃないかな」「最初は長調で最後は短調。最初は優しく、最後は怖い声だった」などの声が出された。

 教師たちは言葉に詰まっている子のサポートなどを適宜行った。

 越智教諭は「人の意見を聞くと、なるほどと気付けることが多いね」「それでは、今度はみんなの意見を踏まえて演じてみよう!」と投げかけた。

 生徒たちは、若干平坦だった前回の読み方と大きく異なり、子どもは震えるような声で恐れを訴えている感じで、魔王は威厳があり最後は勢いよく子どもをさらう、語り手の最後はゆっくりしっとりなど、それぞれの特徴として上がっていた部分を、役になりきって演じており「変わったね!」「意見を取り入れて感情が入ったね!」と喜び合った。

 最後に一人ひとりが感想を。「オンラインでみんなの意見を聞くことができて良かった。来年もまたつながりたい」「いつもより緊張したけど、とても良い意見があった」「いつもより人数が多くなったのでうれしかった」「さらっていくぞ!って演技するのが楽しかった」などと話した。

 越智教諭が「またオンラインやっていこうね。楽しい授業をありがとう。今度は4校で集まりたいです」と締めると、生徒たちは「また会おうね!」「また来年!」などと笑顔で声をかけ合った。

(道・道教委 2023-01-06付)

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