国研委託 全国学力等調査CBT化へ 附属函館中で模擬試験 口述問題 周囲の音声課題
(関係団体 2023-01-27付)

附属函館中で全国学テのCBT化に向けた調査
高性能のヘッドセットを着用して口述式の問題等に回答

 【函館発】国立教育政策研究所の委託事業で全国学力・学習状況調査のCBT化に向けた研究調査が23日、道教育大学附属函館中学校(中村吉秀校長)で行われた。同校の3年生105人が国語と理科におけるCBTの模擬試験に回答。生徒からは「AIによる口述式の設問では、周囲の音声が気になる」といった意見が寄せられるなど、これまでとは異なる出題形式の課題や改善点の検証に協力した。

 「全国学力・学習状況調査のCBT化に向けた多様な能力を幅広くかつ的確に測ることができるCBTの特性を生かした調査問題の研究開発事業」は、生徒がCBT問題をどの程度回答できるのかを検証し、問題を解く際の課題やCBTの運用方法を明らかにすることが目的。

 全国の複数校を協力校として指定しており、同校では3年生の国語と理科における調査に参加している。

 同校で行われた調査では、担任教員が試験監督を務めた。生徒が1人1台端末上のプレ問題でタブレット機器の正常性を判断したあと、国語と理科各50分程度でCBTならでは問題に回答した。

 国語の「話すこと・聞くこと」領域における口述式の設問や、理科の動画・音声を活用した設問ではヘッドセットを着用。後ろの席の生徒に回答状況が見えないよう、タブレット上の画面を机と平行にして調査試験に臨んだり、白紙や画面上のメモスペースを活用したりして解答を整理して対応した。

 調査後、生徒からは「口述式の設問は周囲の声が気になった」「紙形式と違ってCBT形式は画面の動作に若干の時間を費やしてしまう」「AIによる音声は聞き取りやすかった」など、なじみにくさや手応えを実感する声が上がった。

 今後、協力校では、監督に当たった教職員が調査の課題や成果をレポートにまとめ、国研に結果を報告する。

 全国から集められたデータをもとに、全国学力・学習状況調査のCBT化の参考とされる見通し。

 調査を見守った黒田諭副校長は「全国学力・学習状況調査のCBT化は、これまでとは異なる形式の出題構成が可能となる一方、質問の進行が紙形式の方が早かったり、通信環境が大きく影響したりするなど、個々のトラブルなども想定される」と指摘。「今回の調査で得た知見については慎重な分析が必要」と話している。

(関係団体 2023-01-27付)

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