道中央児相、岩見沢児相、小樽市 個の思い第一に寄り添い ヤングケアラー講演会開く(関係団体 2023-02-01付)
澤田氏らがヤングケアラーの実態について解説した
【小樽発】道中央児童相談所、岩見沢児童相談所、小樽市はこのほど、小樽市民センターマリンホールで児童虐待防止講演会を開催した。「私ってヤングケアラー?~私たちはこの言葉をどう受け止めるのか」と題し、札幌医科大学准教授の澤田いずみ氏と、ヤングケアラー当事者の仮名・かめ子さんが講演。約90人が来場し、ヤングケアラーについて理解を深めた。
冒頭あいさつに立った道中央児相の森本秀樹所長は、ヤングケアラーは年齢に見合わない重い責任を背負い、子どもとしての時間を引き換えにしているとし「講演会を通じてヤングケアラーについて理解を深めて」と呼びかけた。
小樽市こども未来部の安部俊克部長は「ヤングケアラーの言葉の意味や、大人がどう受け止め、何ができるのか、考える機会になれば」と期待を込めた。
続く講演の冒頭、かめ子さんは「虐待の経験はなかった。母はできることを精いっぱいやってきたと思うし暴力を受けた経験はない」と強調した上で、自身の経験などを語った。
澤田氏は、家族機能が弱体化している現状を示し「ヤングケアラーはどの家族でも、誰にでも起こり得る課題」と強調。またヤングケアラーのうち、誰かに状況を相談したことがない人が70%を超えている実態を提示したのに対しかめ子さんは「相談するほどのことではない、しても変わらない、という思いがあるのでは」と指摘した。
また周囲と本人の認識の相違について、自身が負担している行動に対し「そんなことまで子どもがやっているの?」と言われると「やっている自分や家族が悪いのか?」と考えてしまうと訴えた。
かめ子さんは「孤立が状況を悪くする」と強調し「人として接してくれることに救われた。詮索しなくていい、ただ声をかけて、対等な関係性で話を聞いてほしい」と思いを述べた。
今、閉ざされているのは家庭ではなく社会ではないかと指摘し「ヤングケアラーや障がいについて、教育の中で扱って共通認識をつくり、みんなで考えていけるようになれば」と期待を込めた。
連携支援十か条に「本人の意思を尊重して支援を進める」とあるように「個の思いを第一に考え、問題を自分のこととして捉え、寄り添ってほしい」と強調。ヤングケアラーは介護させられているのではなく、家族を助けたい、また家族を助けてほしいと思っている人であるとし「家族も子どもに頼るしかない。親が責められないようにしてほしい」と語った。
(関係団体 2023-02-01付)
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