【解説】新時代の高校へ論点素案
(解説 2023-01-31付)

 高校の4年度進学率は約98・8%となり、多様な入学動機や背景を持つ生徒が在籍するなど高校の実態も多様化している。また、選挙権年齢や成年年齢の引き下げ、義務教育段階における不登校の生徒の増大などの変化が生じ、少子化の一層の進行に伴って高校の維持が困難な地域が全国的に発生することが予想されている。

 こうした背景を踏まえ、文部科学省が設置するワーキンググループは昨年11月から高校教育の在り方について審議を開始。27日の会議で示した論点整理の素案の内容をみると、全ての生徒が社会で生きていくために必要となる資質・能力を身に付けるための「共通性の確保」や生徒一人ひとりの特性に応じた「多様性への対応」を論点として示している。

 少子化が加速化する中、進学可能な範囲を踏まえて適正な高校配置を検討するべきとし、遠隔教育の活用や学校間連携の推進、地域コーディネーター等の外部人材配置などの環境整備を国が進める必要性を示した。

 不登校生徒や特別な支援が必要な生徒など多様な生徒に対するための高校の在り方にも言及。ICTの活用を一層推進するとともに「義務教育段階の支援の継続」「過度に授業への出席日数の要件のみに縛られず履修・修得を認めるなど単位認定要件の柔軟化」「不登校特例制度のより活用しやすい仕組みづくり」の重要性を示している。

 また、多様な生徒の状況に可能な限り柔軟に対応できるよう、学校間連携や課程間併修、単位制への移行の推進を提案。ある高校に在籍しながら他校・他課程・他学科の単位を対面・オンラインを交えて履修する学び方や、全日制・定時制・通信制という課程の区分の在り方自体を見直す必要性にも言及している。

(解説 2023-01-31付)

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