十勝局等 十勝版デュアルシステム 必要な学びへ意欲向上 高校生が管内各所で実習(道・道教委 2023-02-03付)
【帯広発】十勝教育局と十勝総合振興局が進める新たな企業実習制度「十勝版デュアルシステム」実証事業が、昨年12月下旬から約1ヵ月間、管内各所で行われた。3校の高校生6人が保育・教育や経済・商学などのコースに分かれ、公的機関等で実習。生徒たちは実習で得た学びをもとに、自らに必要な学問や教科等を考え、今後の学習意欲を高めた。
十勝局と十勝総振局が連携し、前年度から3ヵ年計画で推進している「十勝人材育成プロジェクト」の一環。子どもたちの実践的で高度な知識・技能の習得と勤労観・職業観等を醸成することで、十勝の将来を担う人材を育成することを目的としている。インターンシップとは異なり、体験内容と学問につながりを持たせ、人生設計のきっかけづくりに寄与する。
本年度は①保育・教育②経済・商学③福祉・理学④情報・機械―の4コースを用意した。各コースのねらいに応じて、公的機関や地元企業等が講義および実習に協力。12月下旬には事前学習をオンライン開催し、実習の心得や獲得したい知識・技能などを確認した上で、高校生たちは実習に参加した。
◆実習
保育・教育コースには管内高校生4人が参加した。
1月12日は音更町の宝来こども園で実習。2~4歳児の4学級で子どもたちと触れ合った。
学級担任による問いかけのもと自己紹介が行われ、好きな食べ物や色などの話題を園児たちと楽しく話し合った。雪遊びの準備では、スキーウエアの着用を渋る園児に優しく声をかけ、手助けした。
保育士との座談会では実習の感想を共有し、保育の現場や魅力に関して理解を深めた。土井美佳園長は「未来につながるきっかけになれば」と話した。
27日には芽室町立芽室小学校(山川修校長)を訪問〓写真下〓。
テスト後に絵本の読み聞かせをしたり、図工や音楽の授業で児童と交流したりするなど、積極的に児童たちとの関わりを深めた。休み時間には多くの児童が高校生の腕を引っ張り歓迎する姿も。児童間で口論が起こり始めた時は、高校生自ら解決策を示して仲裁する場面も見られた。
同校主幹教諭との交流では、芽室町内における幼保小連携の在り方などを説明し、感想等を共有した。
新町洋行教頭は「高校生は自ら実習に申し込んで参加しているため、対応力も高く、積極的に児童と関わろうとしている」と話した。
◆事後学習
実習の全日程を終え、31日には事後学習がオンライン開催された。十勝版デュアルシステムの目的や内容等を振り返り、生徒自身が実習の効果を認識することで今後の学校生活に生かすことが目的。
保育・教育コースを選択した生徒たちは「子どもから自発性を引き出す関わり方を見て学んだ」「子どもの体調に気が付き、状況を判断するためにも、観察力やコミュニケーション能力が必要だと感じた」などの声が上がった。
経済・商学コースの生徒は「経済は人と企業をつなぐもの。自分の仕事に責任を持つ大切さを学んだ」と話した。
続いて、今後の学校生活で重点的に取り組みたい教科に関して協議。生徒たちは、人の感情表現を読み解く力やコミュニケーション能力を向上させるために国語を挙げたり、世界情勢等から今後の対応を考える力を養うために現代社会を選んだりした。
また、帯広三条高校の生徒は、道CLASSプロジェクトによって「課題を発見し、解決する能力を身に付けたい」と話した。また「幼保小連携における地域ごとの違いや工夫を知りたい」「経済を回すための工夫を知り、十勝に還元したい」など、実習によって得た学びから、探究活動への意欲を高めた。
この記事の他の写真
芽室町立芽室小学校での実習の様子
(道・道教委 2023-02-03付)
その他の記事( 道・道教委)
本道ケアラー支援の方向性 11月を「支援推進月間」に 5年度からサポーター制度創設
道は2日、第3回道ケアラー支援有識者会議をオンラインで開催し、パブリックコメントを踏まえ修正した北海道ケアラー推進計画(仮称)案について審議した=写真=。来年度から11月を「ケアラー支援推...(2023-02-06) 全て読む
道教委 探究チャレンジ空知 岩農高が管内代表に 20校参加し活動成果披露
【岩見沢発】道教委は1月中旬、S―TEAM教育推進事業「探究チャレンジ空知」をオンライン開催した。空知教育局が主管。管内の高校20校が参加し、総合的な探究の時間や課題研究など、各校が教育課...(2023-02-03) 全て読む
網走市教委 学校力向上事業地域協 全教職員で工程表共有 グランドデザインで実践発表等
【網走発】網走市教委は1月27日、市立南小学校(山田浩校長)で学校力向上に関する総合実践事業第5回地域協議会を開いた。市教委の岩永雅浩教育長をはじめ、オホーツク教育局の佐藤大義務教育指導監...(2023-02-03) 全て読む
高校生74人が寒空の下で奮闘 真心込めて雪像づくり 雪まつりで高校総体PR!
3年ぶりとなるさっぽろ雪まつり(4~11日)を前に、5年度全国高校総体をPRする雪像づくりが高校生たちの手で進められている。道内各地の高校10校から延べ74人の生徒が参加し寒空の下で交代で...(2023-02-03) 全て読む
道教委 4年度教育実践表彰 仁木小など9校に栄誉 教職員31人、若手奨励賞15人
道教委は4年度道教育実践表彰の表彰校・表彰者を決定した。学校表彰では学力向上や小中一貫教育、地学協働、防災教育など様々な分野で優れた成果を上げた9校が受賞。教職員表彰では31人、若手教職員...(2023-02-03) 全て読む
教員育成指標 改訂へ大詰め 本道の独自性広く発信を 情報活用能力にも期待の声
道教委は1月31日、北海道教員育成協議会の第5回会議をオンラインで開催し、北海道における教員育成指標の改訂案を示した。内容に関して委員からは概ね賛意が寄せられ、北海道ならではの指標として教...(2023-02-02) 全て読む
道教委初開催 算数数学セミナー 子が主役の授業づくりへ 教師は“伴走者”に 佐藤准教授
道教委は1月30日、本道の継続的な課題となっている算数・数学に関する資質・能力の育成を図るため、ほっかいどう算数・数学セミナーをオンラインで初開催した。元国立教育政策研究所学力調査官で岩手...(2023-02-02) 全て読む
上川局 地学協働実践研修会 子が本気になる環境を 探究活動充実へ講話や協議
【旭川発】上川教育局は1月19日、教育局政策プレゼンテーション事業「Kamikawa未来人(みらいびと)プロジェクト」地学協働実践研修会を開いた。上川教育研修センターを配信会場に、一般参加...(2023-02-02) 全て読む
檜山局 道南エリア指導主事研修会 厚沢部町の実践に学ぶ 算数・数学科の授業視察等
【函館発】檜山教育局主催の道南エリア指導主事研修会が1月30日から2日間、厚沢部町立厚沢部小学校、厚沢部中学校などで開かれた。胆振、日高、渡島教育局の指導主事等各1人が参加し、算数・数学科...(2023-02-02) 全て読む
勤務時間振替の対象業務 指導要録作成を追加 5年度から17業務に 道教委
道教委は5年度から、勤務時間の振り替えを行う1ヵ月単位の変形労働時間制の対象業務に「指導要録の作成、学期末の評価」を追加することを検討している。今後、教育委員会での決定を経て要領を改正する...(2023-02-01) 全て読む