道教委初開催　算数数学セミナー　子が主役の授業づくりへ　教師は“伴走者”に　佐藤准教授

（道・道教委 2023-02-02付）

　道教委は１月３０日、本道の継続的な課題となっている算数・数学に関する資質・能力の育成を図るため、ほっかいどう算数・数学セミナーをオンラインで初開催した。元国立教育政策研究所学力調査官で岩手大学教育学部数学教育科の佐藤寿仁准教授が講師となり、数学的な見方や考え方を働かせる授業デザインのポイントを解説。学びの主役となる子どもたちの「伴走者」となる教師の役割を説いた。

　全国学力・学習状況調査における本道の算数・数学の平均正答率は平成１９年の調査開始から全国平均を上回ることはなく、本年度は小学校で２・１ポイント、中学校で２・５ポイントの差が生じている。児童生徒質問紙調査では小学６年生の約２割、中学３年生の３割が「算数・数学の授業内容がよく分かる」との質問に否定的に回答している。

　セミナーには小・中学校、高校の教員約２４０人が参加。はじめに新ひだか町立静内中学校において公開授業を実施し、授業の様子をオンライン配信した。

　開会式で学力向上推進課の成田仁主幹は、児童生徒が「分かる、できる」ための授業改善を早急に進める必要があるとし「算数・数学の指導について一層理解を深め、あすからの学習指導の改善・充実に生かしてほしい」と期待した。

　続いて岩手大教育学部数学教育科の佐藤准教授が「数学的な資質・能力を育成するための授業改善と授業づくり～問題解決と探究のある算数・数学の授業」をテーマに講義。全国学力調査をはじめとする様々なデータから児童生徒の実態を捉え、困り感を把握することが重要とし、深い学びの鍵となる「数学的な見方や考え方」を働かせ、より豊かにする授業デザインのポイントを伝えた。

　また「児童生徒が自分事として捉えることができる問題設定」「学習効果のある振り返り」など、問題発見・解決の過程における各場面での数学的行為の重点を解説。「学びの主役は子どもたち。数学的表現を用いて論理的に考えて伝え合うため教師がどう伴走できるかが重要」と述べた。

　最後に単元の指導計画の構想について演習・協議を実施し「算数・数学授業づくりシート」を活用して数学的活動の過程と学習活動の関連を確認した。

(道・道教委 2023-02-02付)