文科省 次世代校務支援へ方向性 DXへデータ連携加速化 実証踏まえ財政支援検討(国 2023-03-10付)
文部科学省は次世代の校務支援システムの方向性を示す「GIGAスクール構想の下での校務のDXについて」をまとめた。主要システムのフルクラウド化や学習・行政系データとの連携など、学校の業務改善や教育活動の高度化に向けた方策を示している。自治体への財政支援の在り方については、来年度実施するモデルケースの実証研究を踏まえて検討するとしている。
計11回開催した専門家会議における審議を経て策定したもので、校務情報化の課題や今後の方向性、取り組むべき施策を示している。
多くの自治体では校務支援システムを自前サーバーによる閉鎖ネットワークで稼働しており、校務処理が職員室に限定されることで教員の働き方の選択肢を狭め、USBなど情報持ち出しによる漏えいリスクが生じている状況にある。
このため主要システムをフルクラウド化することで職員室以外での業務処理を可能とし、柔軟な働き方を実現するとともに、大規模災害や感染症の流行など非常時における業務継続性の確保を図る。
主な機能は教務(成績処理、出欠管理、時数管理)、保健(健康診断表、保健室来室管理)、学籍(指導要録)などに限定し、汎用クラウドツール(チャット、保護者連絡、アンケートなど)と役割を分担。必要に応じてデータを連携する。
セキュリティー確保のため多要素認証(ID、ICカード、指紋等、記憶・所持、生体に関する3要素のうち2つ以上の要素を求める技術)を採用する。また、校務系データと学習系データを接続・連携することで、支援を必要とする児童生徒の早期発見・支援など効果的なデータの利活用を図る。
さらに、日々の生活の記録や学習データなどの児童生徒の情報を1つの画面に統合・可視化する「ダッシュボード」を実装し、学校経営の改善や教育施策の高度化・効率化を図る。
準備期間を2年と想定した場合、7年度からの新システムへの移行を見込んでいるが、校務支援システムの契約期間は一般的に5年程度であるため、時間を要する自治体もあることが想定される。
このため過渡的な取組として「教職員間の情報交換、スケジュール管理、保護者連絡など汎用クラウドツールの活用」「民間企業向けクラウドツールの転用」「校務用・指導者用端末の整備」などの積極的な推進を求める。
校務情報化に向けた財政支援は、教育のICT化に向けた環境整備5ヵ年計画(平成30~令和4年)に基づき単年度で1805億円が地方財政措置されているが、国は1月に期間の2年間延長を決定しており、これら過渡的な取組を地財措置を活用し着実に進める必要性を示している。
(国 2023-03-10付)
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