札幌市立高・特校長会 4年度事業報告 研究紀要から 第7回(札幌市 2023-05-16付)
教務部長連絡協①
【はじめに】
4年度の教務部長連絡協議会は、前年度まで特別委員会として協議が進められてきた総合的な探究の時間の内容を含む協議の場となり①入学者選抜に関わる事項②観点別評価について③新教育課程の編成と授業改善④総合的な探究の時間の充実について―の4項目で事前アンケートを取り、各校が抱える学校課題等について、互いに情報共有しながら実効性のある取組を目指し、7月、10月、12月の計3回の開催を予定。
【第1回連絡協議会(6月14日市立札幌新川高校)】
5年度の入学者選抜から、これまで実施されてきた推薦選抜が自己推薦選抜へと改善されるなど、各校でも導入に向けた準備が求められている中、各校での状況が共有できた。
また、新学習指導要領の本格実施とそれに伴う観点別学習状況の適切な評価と授業改善、ICT活用の充実など、話題の尽きない重要な協議の場として対面で行うことができた。
総合的な探究の時間については、各校の取組内容の紹介のみとなったが、それぞれに充実が図られている様子をうかがうことができ、次回の本協議会でさらに具体的な協議が行われることが期待された。
▼あいさつ=市立札幌新川高校・矢田春義校長
新学習指導要領もいよいよ本格的にスタートするとともに、観点別学習状況の評価について、これまでの準備や校内での運用に係る教務部長の皆さんの苦労は計り知れないと感じている。BYODによる1人1台端末を用いたICT活用など、様々な新しい取組についての対応に追われていることと思う。私は、教科別研究協議会も同時に担当しているので、各校においては、国の伝達事項なども参考にしながら、各教科の授業や評価の改善が図られるよう、教務部長の皆さんが校内で担う役割に期待している。
▼あいさつ=札幌市教委・牧野弘幸高校担当係長
本日の連絡協議会の協議内容にも挙げられている観点別学習状況の評価について、各校でも既に導入を進められているところだが、指導と評価の一体化の視点で、授業改善を重視した取組としていただきたい。
GIGAスクール構想に関わるBYODによる1人1台端末の活用についても効果的な学習活動の実現に向け、全校的な取組が進んでいくことを期待している。
観点別評価やICT活用に限らず、全ての教育活動の場面において、PDCAのサイクルを回しながら、検証、改善を図ることが重要であり、その中心的な役割として教務部長の皆さんには、負担をかけるが、教育課程の充実に向けて力添えいただきたい。
▼全体協議司会=市立札幌藻岩高校・野田貴洋教諭
〈4年度入学者選抜の総括・5年度入学者選抜に向けて〉
▽4年度入学者選抜の総括
事前アンケートの回答に関わり、実施した結果から様々な意見が寄せられた。いくつかの項目について、複数の学校から同様の意見が見受けられた。
・出願受付後の作業を考えた場合に、出願手続きをデジタル化したウェブ出願などの実施を検討してほしい
・コロナ禍によって、検査場公開を行えなかったが、今後も必要ないものと考える
・受検生の携帯電話の持ち込みが増えている。実施要項では、受検会場に持ち込まないものとされており、中学校での指導を徹底してほしい
・追検査を実施する際に、ごくわずかな受検生のために全校生徒を家庭学習にすることを避けたい。市立高校は、スケールメリットを生かして合同の受検会場での追検査を実施してほしい
▽5年度入学者選抜に向けての意見
・道教委の決定によるものでどうすることもできないが、学力検査の日程が、卒業式翌日の3月2日に設定された。学校現場としては、非常に苦しい状況にある
・推薦選抜の自己推薦への変更は、予告なく急過ぎる印象が強い。自己推薦の点数化や定員内不合格の可否についてなど、不明確な部分も多いと感じる
・啓北商業としては、普通科と未来商学科間でも出願変更ができるようになることによる不安が大きい
▽新学習指導要領実施に伴う教育課程上の課題
新学習指導要領の対象となる学年が、1年生のみであるため、現状での対応に大きな影響はない状況が窺えた。
しかしながら、3年間を見据えたシラバスの作成などには難しさがあり、各校から上げられた意見からもシラバスに関する内容が多かった。
シラバスは、多くの学校で電子化を進めているが、PDF以外の方法はないか。また、現在作成しているものは、4年度に開講する授業を学年別に掲載したものとなっている。
大学入学共通テストでの情報が試験科目になることについて、対応が必要となるが、現状では、具体的な見通しが立っていない。
▽観点別評価の実施に向けた各校の取組状況
各校で様々な模索をしながら本年度のスタート時点で運用開始ができるよう準備を進めてきたが、各校の現状と今後懸念される課題等について共有した。
具体的な取組に向けて準備の遅れていた学校についても、前年度の教務部長連絡協議会で共有された内容を参考にするなど、一定の手順を整えることができている様子がうかがえた。
その中で、今後の継続課題として、つぎのようなことが浮かび上がった。
本年度は、1年生のみの実施とし、2・3年生は従前の評価としている学校がほとんどだが、その評価の規準等について、教科全体ではなく、1年生の担当教員に任されている場合があること。
数値化することがふさわしくないと思われる学校設定教科・科目について、文章による評価としているが、本当にそれで良いのか。
校務支援システムが、観点別評価作業の過程に対応していないため、エクセルなどを用いた集計が必要となっていることなどについても意見交換がなされた。
▽各校の総合的な探究の時間の概要と年間計画
各学校から総合的な探究の時間の年間計画と概要に関する資料を持ち寄り、内容について、短時間でそれぞれが紹介した。
様々な検討を進め、地域と連携した探究的な学びを実現するプログラムを進めている状況がうかがえた。
次回の教務部長連絡協議会でさらに詳しく各校の取組を共有し、市立高校全体で総合的な探究の時間をさらに充実させられるよう進めていきたい。
併せて、他校の実践状況について視察の希望がある場合には、受け入れられる体制を整えることをお願いした。
▼助言=牧野高校担当係長
本日の協議から各校における様々な取組状況をうかがうことができた。中でも、総合的な探究の時間については、検討を重ねながら、大きく変化しており、生徒たちの生き方・在り方と関連付けた計画を進めていただいているものと感じた。
観点別学習状況の評価についても新たな取組として、試行錯誤を繰り返しながら、一歩一歩より良いものへと進化させてほしいと考えている。
最終的に評価・評定へ総括することになるため、本日の話からは起こり得ないと感じているが、従前の評価方法・内容によって評価・評定を5と算出し「5→AAA」といった、いわゆる逆流評価などの不適切な評価がなされないよう留意願いたい。
指導と評価の一体化の視点から、まず指導改善の実現を図っていただきたい。
(札幌市 2023-05-16付)
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