稚内市 5年度教育行政執行方針 中学校部活動 拠点校方式へ 6年度から全市的に移行(市町村 2023-06-23付)
佐伯教育長
【稚内発】稚内市教委の佐伯達也教育長は、19日から開会した市議会第2回定例会で教育行政執行方針を説明した。中学校の部活動については「本年度を検討期間とし、6年度から全市的な拠点校方式の部活動への移行と、休日の地域移行について、部活動に関係する団体に協力を得ながら検討を進めたい」との考えを示した。また、子育て支援の充実を図るための「第3期子ども・子育て支援事業計画」の策定に向けては、アンケート調査の実施を予定。子育てに関するニーズ等を把握し分析に努めるとした。このほか、本年度からを計画期間とした「稚内教育推進計画」やコミュニティ・スクールなどについても説明している。
執行方針の概要はつぎのとおり。
▼地域の協働による家庭教育の推進
近年、核家族化や地域とのつながりの希薄化などにより、子育ての負担感や孤立感などで子育てに困難を感じている家庭が増えており、家庭における子育てを、地域や社会全体で支えることが重要となっている。
そのような中で、国は、本年4月に、子ども政策のための新たな推進体制として「こども家庭庁」を設置したほか、6月には、少子化対策実現に向けて取り組むべき政策強化の基本的方向を取りまとめた「こども未来戦略方針」を公表した。
子ども子育て政策の強化に向けた、こうした国の動きを注視しながら、本市としても、より効果的な子育て少子化対策を実現できるよう取組を進めていく。
本市では、これまでも様々な子育て支援を実施してきており、前年度は「子育て世代包括支援センター」を設置し、相談支援体制を充実させるとともに、妊産婦支援の強化や子育て支援と母子保健サービスの一体的な提供など、安心して子どもを産み育てられる体制を整えてきた。
本年度は「第3期子ども・子育て支援事業計画」の策定に向けたアンケート調査を実施予定であり、子育てに関するニーズ等を把握し分析していく。
学童保育所は、共働き世帯等の小学生が放課後を過ごす「生活の場」「遊びの場」であり、利用している児童や保護者にとって施設の存在は大きく、ニーズも高くなっている。
建物の老朽化が課題となっていた中央学童保育所と中央児童館については、6年4月をめどに稚内中央小学校に移設。本年は、準備期間として、受け入れ先である稚内中央小の改修工事を予定しており、運営方法や機能について利用状況や地域資源も含め検討し、より良い居場所づくりに努める。
▼次代を担う人材の育成と地域とともにある学校づくりの推進
本市における学校教育は「市学校教育推進計画」に基づき、児童生徒の「確かな学力」「豊かな心」「健康な体」のバランスの取れた「生きる力」を育むことを基本観点と捉え取り組んできたが、これまでの計画の見直しを図るため、4年8月に「市学校教育推進計画策定委員会」を立ち上げ、本年2月にその答申を受けたところ。
全国学力・学習状況調査において、ここ数年、小学校は全道平均を超え、中学校も全国・全道平均との差が縮まり、年々学力の向上が進んでいるが「市学校教育推進計画」は、さらなる学力向上に向けた取組のほか、本市における今日的課題や教育活動を進めていく上で具体的な方向性や取組が見えるよう整理したもので、本年度から9年度にかけての計画となっている。
他者との協働の中で、より良い社会としてのふるさと稚内を創造する「わっかない人(びと)」育成を目指し、学校を中心に家庭と地域が力を合わせながら本計画を進めていきたいと考えている。
3年5月に市内小学校で起きたいじめ問題について、市教委では重大事態として捉え、同年12月にいじめ問題防止対策委員会を立ち上げた。
結果として、いじめは重大事態には該当しないと報告を受けたが、学校や教育委員会の対応に問題があったとの指摘も受けたところ。
これを受け、市教委としてはあらためていじめ防止基本方針の見直しを行い、いじめ問題が発生した際の初期対応や、組織体制の強化を図り、市教委主催の教職員向けの研修なども定期的に行うほか「いじめは決してしてはいけないこと」という認識を、児童生徒に持たせる取組を進める。
中学校部活動は、生徒数の減少に伴い、団体競技を自分の学校で行うことが難しくなっている。部活動はあるものの、学校単独ではチームが組めず、各校と合同チームで出場するほか、在籍する学校に希望する部活動がなく、拠点校方式を取り入れ活動している部活動もある。
本年度を検討期間とし、6年度から全市的な拠点校方式の部活動への移行と、休日の地域移行について、部活動に関係する団体に協力を得ながら検討を進めたいと考えている。
稚内初となる義務教育学校への移行に向けては、稚内中学校の改築完了後、スムーズに移行できる取組が必要であり、新たな学校名や校歌のほか、年間の小中一貫した教育課程の編成など、教員や教育研究所等の協力を得ながら検討していく必要があると考えている。「義務教育学校とはどういう学校なのか」については、保護者や教員、児童生徒等に対し説明を行い、理解を図っていく。
学校給食費助成事業の拡充については、これまで所得制限を設けて下半期分を助成してきたが、この所得制限を撤廃し、全ての子育て世帯の学校給食費負担を半減し、さらにこれまで本事業の対象となっていた世帯については、残りの上半期分も助成することで、実質無償化に取り組む。
本年度から学校運営協議会制度、いわゆるコミュニティ・スクールの運用を開始する。学校運営協議会は、保護者や地域住民からなる委員によって、学校運営の基本方針の承認および学校運営への必要な支援に関して協議を行い「地域と共にある学校づくり」を目指すもの。
本市では、これまで取り組んできた子育て運動を基盤とし、市子育て推進協議会、各地区の子育て連絡協議会を活用し、保護者や地域住民が学校運営に参画することで、当事者としての意識を持ち、子どもの将来像を共有し、地域全体で子どもの成長を支えていきたいと考えている。
▼市民の学びを支える地域づくり
誰もが気軽に学べる生涯学習の拠点施設である「風~るわっかない」は、今後も多種多様な利用者の生涯学習の活性化につなげるため、施設の機能を充実させるとともに、より効果的な学びや可能性を広げるきっかけとして、生涯学習推進アドバイザーを中心に、施設内に集約されている学校教育関係機関等の人材も活用しながら、学びを支援していく。
市内の高校に通う生徒たちは、それぞれの将来に期待を膨らませ、進路実現に向けて努力を続けているが、生徒たちの居住している地域において、放課後や休日に自学自習することが可能な場所が少ないため、公共施設内での実習場所の確保のニーズが高まっている。
本市としては、そうした声に応えるため、市立図書館の集会室や文化センター休憩室、風~るわっかないのフリースペースを「地域の自習場所」として中学生や高校生に使用していただけるよう努める。
(市町村 2023-06-23付)
その他の記事( 市町村)
第1回推進協で上田教育長 少年団の9年制提案 地域移行の利点を協議
中札内村教委は20日、村内の文化創造センターで、部活動の地域移行に係る第1回推進協議会を開いた。上田禎子教育長は「スポーツ少年団の9年制」によって、平日を含めた地域移行を進めることを提案。...(2023-06-26) 全て読む
中札内村教委 部活動地域移行計画 7年度まで休・平日で 本年度はアンケートや研修会等
【帯広発】中札内村教委は、中学校部活動の地域移行における推進計画をまとめた。7年度までの3ヵ年で、休日および平日の部活動指導を地域に移行し、持続可能な活動の環境整備を図る。本年度は、児童生...(2023-06-26) 全て読む
千歳市5年度教育行政執行方針 AIドリルを導入 保健室へのエアコン設置も
千歳市教委の佐々木智教育長は5年度教育行政執行方針において、電子黒板、デジタル教科書の更新を進めるほか、AI搭載型のデジタルドリルを導入し、学習者用コンピュータを有効に活用できる環境整備な...(2023-06-26) 全て読む
訓子府町5年度教育行政執行方針 CSでふるさと教育 幼小中連携教育を充実
【網走発】訓子府町教委の林秀貴教育長は、20日の第2回定例町議会で5年度教育行政執行方針を説明した。学校教育においては、コミュニティ・スクールを活用し、学校・家庭・地域が連携を図りながら、多...(2023-06-26) 全て読む
苫前町5年度教育行政執行方針 地域みらい留学に参画 苫商高生徒募集活動を強化
【留萌発】苫前町教委の開発法起教育長は、19日の町議会定例会で5年度教育行政執行方針を説明した。苫前商業高校の生徒募集活動については、これまでの各種の支援策に加え、今年度から地域みらい留学...(2023-06-26) 全て読む
江別市教委 部活動地域移行へ 在り方検討委を設置 8月初会合 受け入れ体制等協議
江別市教委は本年度、部活動の在り方検討委員会を設置する。委員は、学校関係者やスポーツ・文化団体、保護者らで構成。8月にも初会合を開き、大学および地域クラブでの受け入れ体制整備など5点につい...(2023-06-23) 全て読む
浦幌町5年度教育行政執行方針 部活動地域移行 説明会や協議会 英検検定料を町費で負担
【帯広発】浦幌町教委の水野豊昭教育長は5年度教育行政執行方針において、休日の部活動の地域移行に向けて地域説明会を開催し、保護者や関係する団体への理解を図るとともに、協議会の設置に向けて取り...(2023-06-22) 全て読む
中川町 5年度教育行政執行方針 学習支援ソフトを導入 児童クラブ保育料等無償化
【旭川発】中川町教委の髙橋信行教育長は、5年度教育行政執行方針で、新たにミルク給食および放課後児童クラブ保育料を無償化する考えを示した。また、5年度中にはGIGAスクール構想に対応した学習...(2023-06-22) 全て読む
更別村 5年度教育行政執行方針 義務教育の在り方検討 小中一体型校舎改築視野に
【帯広発】更別村教委の細川徹教育長は5年度教育行政執行方針において、新たな視点を取り入れた義務教育の将来的な在り方を検討する意向を示した。また、中学校校舎整備に伴い、各学校の全体的な状況等...(2023-06-21) 全て読む
網走市学力向上推進委 第1回全体会 12月にフォーラム開催 全国学力等調査把握等重点に
【網走発】網走市学力向上推進委員会は15日、オホーツク・文化交流センターで5年度第1回全体会を開いた。重点として「網走市の学力・学習状況の実態把握と分析」などを掲げた本年度の推進計画につい...(2023-06-21) 全て読む