千歳市5年度教育行政執行方針 AIドリルを導入 保健室へのエアコン設置も
(市町村 2023-06-26付)

千歳市教育長佐々木智
佐々木教育長

 千歳市教委の佐々木智教育長は5年度教育行政執行方針において、電子黒板、デジタル教科書の更新を進めるほか、AI搭載型のデジタルドリルを導入し、学習者用コンピュータを有効に活用できる環境整備など、学習指導の充実に努める方針を示した。教育環境の整備では、児童生徒が暑さによって体調を崩した際、適切な応急処置ができる環境を整備するため、5、6年度の2ヵ年で、保健室にエアコンを設置する。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

▼教育行政の基本姿勢

▽未来を拓く人づくり

 急速に変化する社会情勢に対応し、自立してたくましく生きることができ、千歳の未来を託すことができる人づくりを目指す。

▽つながりの教育による人づくり

 学校、家庭、地域が連携し、学びでつながり、学んだ成果を生かすことができる機会を整備することで、地域社会全体の教育力を高めるとともに、学びでつながる人づくりを目指す。

▽ふるさと千歳を育む人づくり

 自分たちが住む地域の歴史や文化の良さを知り、ふるさとに対する誇りと愛着を育み、様々な人と協働し、地域の課題解決や活性化に貢献し、ふるさとと共に生きる教育を目指す。

▼教育重点施策

▽確かな学力の向上

 確かな学力の育成のためには、基礎的な知識および技能を確実に習得させ、それらを活用して課題を解決するための思考力・判断力・表現力を育むとともに、主体的に学習に取り組む姿勢や人間性を養うことが求められており、こうした教育の基盤として、読解力、記述力などの言語能力の向上が重要。本市の児童生徒は、全国学力・学習状況調査において、記述式の問題の正答率が全国平均を大きく下回っており「読解力」と「記述力」に課題がある。

 解決には、一人ひとりが考え、自身の考えを説明し互いに意見を交換する「探求型・対話型」の授業づくりが重要。教職員研修や学習者用コンピュータ等のICT機器の利活用を一層充実させ、市学力向上検討委員会の提言などを踏まえ、授業改善を徹底する。

▽教育環境の整備

 学校における安全・安心な教育環境を確保するため、校舎・講堂の計画的な改修に取り組む。児童生徒が暑さによって体調を崩した際、適切な応急処置ができる環境を整備するため、5、6年度の2ヵ年で、保健室にエアコンを設置する。

▽特別支援教育の充実

 市の特別支援教育の推進に係る基本方針に基づき、みどり台小学校に「知的障がい」および「自閉症・情緒障がい」の特別支援学級を新たに開設する。通級指導教室の充実に努め、個々のニーズに合った学びの場を選択できる教育を推進する。

▼主な施策

▽社会で生きる力を育む教育の推進

 学年・学級経営については、教員との信頼関係や学級内のより良い人間関係が、児童生徒を育成するための基盤であることから、教職員による日常的な観察のほか、ハイパーQU検査による客観的な分析を活用するなど、引き続き、学年・学級経営の改善に努め、互いに認め合い、高め合う親和的な学級づくりを進める。

 確かな学力の育成については、授業改善の徹底と検証のほか、学習支援員等による算数・数学科の習熟度別少人数指導を一層推進する。電子黒板、デジタル教科書の更新を進めるほか、AI搭載型のデジタルドリルを導入し、授業や家庭学習において、学習者用コンピュータを有効に活用できる環境を整備するなど、学習指導の充実を図る。

 外国語教育については、引き続き、デジタル教科書や外国人英語指導助手(ALT)の活用など、授業の充実を図る。小学校6年生を対象に実施している英検ESGや、中学校で実施している英検IBAによって英語の習得状況を客観的に把握するなど、授業改善や英語力の向上に取り組む。

 情報教育については、プログラミング教育や情報モラル教育などを通じて、児童生徒がICT機器を適切・安全に使用できる情報活用能力の育成に取り組む。研修の実施など、引き続き、教員のICT活用能力の向上に努める。

▽豊かな心と健やかな体を育む教育の推進

 いじめ・不登校については、いじめの未然防止、早期発見・迅速な対応に努め、その根絶に向けて学校・家庭・地域等との連携によって取り組む。

 不登校の児童生徒への対応については、教員とスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが児童生徒・保護者の悩み、不安等の情報を共有するなど、組織的な支援を行う。

 青少年非行防止については、青少年の問題行動の未然防止などに取り組むほか、SNSの不適切な利用によっていじめや犯罪に発展しないよう安全なインターネットの使い方の指導や、家庭でのルールづくりの啓発などインターネットに関するトラブルの未然防止の取組を継続する。

 ふるさと教育については、市や北海道の文化、人々の生活に直接触れるなどの教育活動を推進する。小学校社会科副読本「私たちの千歳」を活用するなど、ふるさと教育の充実を図る。

 読書活動については、第3次市子どもの読書活動推進計画に基づき、子どもたちの読書活動の充実を図る。学校図書館司書の配置日数を増やすなど、読書相談や調べ学習でのアドバイスをはじめとする学校図書館機能のさらなる充実を図る。

 体力・運動能力については、新体力テストの結果などを踏まえ、効果的な体育活動を普及啓発するなど、児童生徒の健やかな体の育成に努める。

 食育については、栄養教諭を中心とした食に関する指導を推進し、食育の充実を図る。

 学校給食については、急激な物価高騰に対応するため、前年度に引き続き、物価高騰分の補助を実施する。児童生徒に必要なエネルギー量と栄養価を満たす給食を継続的に提供していくため、給食費の改定について検討を進める。

▽学びを支え、つなぐ教育環境の充実

 学校運営については、学校指導訪問を通じて、カリキュラム・マネジメントの充実・強化、授業改善などへの指導助言を行う。市立学校における働き方改革推進計画第2期を踏まえ、時間外勤務時間の客観的な記録、ICTを活用した業務の効率化などに取り組む。

 部活動の地域移行については、将来にわたり生徒がスポーツ・文化芸術活動に親しむことができる環境の整備や、部活動指導の負担軽減による教員の働き方改革に向け、市部活動地域移行推進協議会を設置し、具体的な検討を進める。

 給付型奨学金については、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮して拡大した交付人数枠を維持し、修学・進学への意欲・能力がある学生生徒への支援を継続する。

 家庭教育支援については、千歳市PTA連合会との連携による「家庭生活宣言」の普及啓発等を通じ、児童生徒の規則正しい生活習慣や学習習慣、社会生活ルールやマナーの習得を目指す。

 学校と地域の連携・協働については、学校運営協議会(コミュニティ・スクール)の取組を推進し、学校運営の改善を図るとともに、「地域学校協働活動」として、水泳、スケート、スキー等の授業を地域人材が支援するなど地域と共にある学校づくりに取り組む。

 また児童生徒を犯罪や事故から守り、登下校等の安全を確保するため、千歳っ子見守り隊の取組を推進する。児童生徒の緊急避難場所となる「子ども110番の家」の取組を継続するなど、子どもたちの安全確保に努める。

 学校段階等間の連携・交流については、各学校段階の円滑な接続を図るため、子ども園等と小学校では、子どもの成長に関する情報交換や交流の機会を設ける。

 小中連携・一貫教育実施要領のもと、目指す子ども像を共有し、引き続き、義務教育9年間を見通した教育活動を進める。

 乳幼児期からの家庭教育を支える学びについては、引き続き「バンビはぐくみプログラム」として子育て中の親に育児知識の習得と情報交換の場を提供するほか「家庭教育セミナー」を開催するなど、家庭の教育力を高めるための支援を行う。

 青少年の自立と成長を育む学びについては、公益財団法人千歳青少年教育財団と連携し、自然体験教室や宿泊学習など各種教育事業を実施する。

 鹿児島県指宿市との青少年相互交流事業については、これまでの3年間はオンライン方式で実施したが、4年ぶりに訪問交流を再開する。

 図書館まつりについては、市立図書館開館35周年記念事業として、講演会やオープンカフェなどを実施する。

▽まちの魅力を高め、心を豊かにする文化芸術の振興と文化財の保護・継承

 文化芸術に親しむ環境の整備については、北ガス文化ホールにおける音楽・演劇などの公演や、市民ギャラリーにおける絵画・写真等の作品展など、市民ニーズを反映した魅力ある事業を実施する。

 文化財の保存と調査・研究および継承については、遺跡の保護に努めるとともに、市指定無形文化財である「アイヌの伝統的芸能と工芸技術」や「泉郷獅子舞」の保存・伝承活動を支援する。

 文化財の活用については、「体験学習会」「史跡見学会」「市内の遺跡等に関する企画展」などを開催し、身近に文化財に触れる機会の充実に努める。

 世界文化遺産登録と資産保護の取組については、キウス周堤墓群のガイダンス施設や展示設備、園路、駐車場などの整備に向け、実施設計を進める。

(市町村 2023-06-26付)

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