保小接続カリキュラム開発会議 学びの連続意識して 文科省・藤岡課長講話など 佐呂間町教委
(市町村 2023-07-18付)

佐呂間町保小接続カリキュラム開発会議
佐呂間町保小接続カリキュラム開発会議

 【網走発】佐呂間町教委は10日、町民センターで第1回保小接続カリキュラム開発会議を開いた。文部科学省初等中等教育局の藤岡謙一幼児教育課長が架け橋プログラム事業について講話したほか、町教委保小連携コーディネーターの菅原正弘氏が、今後の架け橋プログラムの取組について説明。協議では、千葉大学の天笠茂名誉教授ら各委員がそれぞれの立場から発言し、保小接続の今後の方向性について情報共有した。

 会議には、町教委の谷川敦教育長、千葉大の天笠名誉教授ら委員13人のほか、文科省初等中等教育局の藤岡幼児教育課長らが参加した。

 はじめに、谷川教育長は、町での保小接続事業を契機に「幼児期から小学校にかけての学びが、18歳までの学びを構築する上で非常に重要であることを認識した」と述べ、取組を効果的に進めていくためにも「保育所、小学校だけではなく、地域の皆さんと一体になって取り組んでいく必要がある」と強調。「事業を通じて、佐呂間の子どもたちをしっかりと育んでいきたい」とした。

 続いて、藤岡幼児教育課長が「架け橋プログラム事業」について講話。

 待機児童数の推移や小・中学校の不登校児童生徒などの具体的な数字を示し、幼児教育の現状を示した上で「全ての子どもにとって学校を学べる場、成長できる場にしなければならない」との認識を共有。「教育は幼児教育からの積み重ねであり、小学校教育は幼児教育で育まれた資質・能力の上に行われる」と幼児教育の大切さを指摘した。

 幼児教育で育む資質・能力としては①知能および技能の基礎②思考力・判断力・表現力等の基礎③学びに向かう力、人間性等―の3つを挙げ、「これまでは小学校への順応が重視されていたものの、これからは小学校での各教科等における学習に円滑に接続されるよう“学びの連続”を意識した教育が必要となる」と伝えた。

 接続のポイントについて、目的は「小学校への順応」から「学びの連続」、内容は「交流活動」から「カリキュラム編成」、期間は「数ヵ月」から「2年間」、実施単位は「施設単位」から「地域単位」と4つの視点から接続の方向性を確認した。

 今後の取組に向けては「教育活動の内容自体を変えるのではなく、これまで実践している教育活動の価値付け、意味付けをあらためて行い、活動の目的を明確にすることが大切」とした。

 このあと、町教委保小連携コーディネーターの菅原氏が「佐呂間町わが町版架け橋プログラム」の取組について説明。

 同事業には「“0~18歳までを見通した教育”を前提として、立場や施設類型を越えて町の大人が協働して取り組んでいく」と述べた。

 今後1年間は、この日を含む年2回の開発会議、ワーキンググループなどを通して、子どもたちの目指す姿を関係者全体で共有しながら、具体的な架け橋プログラムと保小接続のカリキュラムをつくり上げていくことを伝えた。

 協議では、委員がそれぞれの立場から発言。千葉大の天笠名誉教授は「幼保小接続の取組は、これまでもその時代を背景にしながら試みが行われてきた。このたびの取組は、新たな時代的な状況あるいは佐呂間の地域の実情に応じた挑戦としてある」「これまで分かったようで分からなかった“連携”や“接続”ということの意味を具体的に考えながら取り組み、町の子どもたちがどのように変わっていったかを互いに確かめ合うことが大切。それは子どもの成長にとどまらず、子どもたちの成長に寄り添った先生方の指導力の向上にもつながる」などと述べ、事業の成果に期待を寄せた。

(市町村 2023-07-18付)

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