江差町教委 校長裁量で予算執行 モデル事業が本格化 江差北中で伝統菓子作り(市町村 2023-07-13付)
【函館発】校長裁量で予算執行ができる江差町教委の「学びのカタチづくり推進モデル事業」が本年度から開始され、町内の小・中学校で特色ある学校づくりに向けた活動が本格化している。江差北中学校(米谷優校長)では10日、外部講師による郷土体験活動を企画し、1年生が家庭科で町の伝統菓子「こうれん」作りに挑戦。生徒が地域の良さを実感できる学習機会を多様な場面で増やしている。
学校の独自性を発揮し、各校の児童生徒の実態に応じた教育課題への対応を進めるため、町教委は本年度の当初予算に50万円を計上。執行対象は児童生徒の教育活動の充実や教職員の研修・研究、保護者・地域との連携の推進など、裁量の自由度が高い。
事業費は1校当たり10万円で、執行枠の中であれば取り組みたい活動を複数設定することも可能。
江差北中では、教職員の研修・研究に資する事業と校長の経営ビジョンの実現に資する事業の2点を設定。江差中学校と連携し、協働的な学びに焦点を当てた校内研修や特別的な支援を要する生徒や保護者への対応を身に付ける高等養護学校に関する研修会に取り組む。
教育活動では、生徒に地域の良さを知ってもらおうと感染対策が緩和された本年度、コミュニティ・スクールの一環で郷土の歴史・文化・産業等に関わる体験活動や講話によるキャリア学習を活発化させている。
1年生家庭科の授業では、農業従事者の女性で構成する「水土里の会」の会員3人が町の伝統食こうれん作りを指導。もち米に砂糖と塩、黒ゴマを混ぜて作る菓子で盆の時期の供え物として振る舞われていたもの。生徒6人は、のし棒を使って丸めた餅を薄く丸い形状に成形。すだれの上で2日間乾燥させる必要があるため、講師が事前に油で揚げたものを試食した。菊川蓮さんは「こうれんの調理は初めて。難しかったけど、だんだんこつをつかめるようになった」と笑顔を見せた。
調理後の質疑応答で生徒は、こうれん作りには天気が重要となること、油で揚げたり、余った餅を大福にしたり多様な食べ方ができることを学習。自身が事前に調べた内容をパワーポイントで外部講師に発表する場面もあった。
同校では今後、檜山地方の郷土料理つぼっこ汁の調理体験にも取り組む。9月には、地域の高齢者を災害から守るため町内会と連携した1日防災学校を企画するなど、地域と密着した学習機会を広げている。
米谷校長は「地域住民による外部講師の積極的活用を通して、地域の文化や歴史を学び、ふるさとへの愛着を持つ教育活動を進めたい」と話した。
(市町村 2023-07-13付)
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