愛着障がいテーマに藤井教育長講話 チーム学校で環境修復 函館市教委 市立校長会議(市町村 2023-07-12付)
函館市教委 市立校長会議
函館市教委は6日、函館市民会館で市立学校校長会議を開いた。藤井壽夫教育長が市内の国公立学校・園の管理職約60人を対象に「愛着障がいの理解と留意点」について講話。愛着障がいへの理解を促すとともに、学校現場での具体的な支援策を周知した。
愛着障がいとは、幼少期の様々な環境要因によって愛着がうまく形成されず、子どもの情緒や対人関係に課題が生じる状態を指す。発達心理学を専門とし、道南地区の校長やスクールカウンセラーを経験した藤井教育長が、虐待やネグレクトによる影響や特徴が混同されやすい発達障がいとの違いなどを解説した。
布製と針金製の人形を代理母に見立てアカゲザルの子どもを育てる「ハーローの実験」をはじめ、子どもに愛情を与えないことで発生する発達トラブルを検証した複数の実験結果を提示。こうした環境で成長した場合、自傷行為や他者への攻撃的傾向などが見られることを説明した。
愛着障がいを抱えた子どもの特徴として「集団行動ができない」「感情のコントロールが苦手」「相手に依存する」など学校や園で見せる例を列挙。近年、増加傾向にある発達障がいと似通った傾向が見られるものの、愛着障がいは幼少期の様々な生活環境による影響が大きく、虐待に伴う不安感や過去に受けた心の傷に伴う脳の萎縮が関係することを解説した。
また、基本的な生活習慣の乱れや認知のゆがみなど、行動や生活面で様々な課題が発生する。学校現場における適切な対応として専門的な関係機関との協力のもと取り組む必要性を周知。チーム学校として取り組む必要性を訴え「子どもが育った環境を修復する義務を私たちが担っている」と呼びかけた。
(市町村 2023-07-12付)
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