白老町がスポーツクラブと連携協定 手を携え日本のモデルに 部活動地域移行など幅広く(市町村 2023-09-05付)
大塩町長(左)は「可能性は無限」、豊川理事長は「日本のモデルとなる取組に」と語った
【苫小牧発】白老町は8月30日、同役場で総合型地域スポーツクラブSafilva(サフィルヴァ)とのスポーツ振興に関する包括連携協定締結式を挙行した。部活動の地域移行を含め、スポーツを通じた魅力ある地域づくりや人材育成を目指す。大塩英男町長は「一番の課題は部活動の地域移行」と述べ、サフィルヴァの実績やネットワークに期待。サフィルヴァの豊川大地理事長は、複数のスポーツを体験できる「マルチスポーツスクールの環境づくりを進めたい」としたほか「皆さんの協力をいただきながら、日本のモデルとなるような取組にしていきたい」との強い意欲を語った。
同町は昭和57年に全道で7番目にスポーツ都市宣言をしているが、近年は指導者の不足や少子高齢化により、スポーツを取り巻く環境が大きく様変わりしており、より一層町民がスポーツに親しむことができる環境づくりが求められていた。
また、部活動の地域移行を控え、地域の受け皿の確保や体制の整備が急務と考え、サフィルヴァの豊富な実績と幅広いネットワークを活用し、町内のスポーツ環境の向上を進めていきたいと考えた。
サフィルヴァは、札幌市を拠点に活動を展開している総合型地域スポーツクラブ。自治体との連携協定は函館市、苫小牧市に続き3例目だが、両市とはバレーボールチームのホームゲームを行っていく上で締結したもので、部活動の地域移行や住民のスポーツ環境の向上などを視野に入れた本格的な協定は今回が初めて。
この日は、豊川理事長が役場を訪れ、安藤尚志教育長、伊藤信幸生涯学習課長らが見守る中、包括連携協定締結式を挙行。
大塩町長があいさつに立ち「子どもが家でテレビやゲームに興じ、外で遊べと言っても環境がない。高齢者もスポーツをする機会が少ない」ことから「子どもから高齢者までがスポーツする機会を創設したい」「最大限にタッグを組み、ほかにはない意義あるものにしたい」との考えを示した。
また豊川理事長は「子どものスポーツ環境をより良くしていきたい。高齢者や住民など多世代の健康づくりにも寄与したい」「白老は自然が豊かで施設が充実しているが、役場からはもっと住民に喜んでほしいという情熱が伝わってきた。町内の団体とも連携・協力しながら、一緒に良いまちづくりを進めていきたい」などと述べた。
具体的な協定項目は①スポーツの普及振興および競技力向上に関すること②指導者の育成や青少年健全育成など人材育成に関すること③町民の健康づくりおよび生きがいづくりに関すること④コミュニティーの形成やまちづくりの推進に関すること―など。詳細はこれから検討していく。
報道陣からの質問に対し大塩町長は「町として一番の課題は部活動の地域移行」と明かし「サフィルヴァに協力いただきながら一日でも早く活動を展開していきたい」「かつては野球の町と言われたが、少子化で部活動がやりたくてもできない状態がある。特にこうした団体スポーツをもう一度活性化させたい」などと答えた。
また「事業を進めるには町民にサフィルヴァを知ってもらわなければ協力は得られない。まずはそこからスタートし、将来的には子どもから老人まで町民が体を動かすこと、健康づくりに幅広く協力いただきたい。可能性は無限大にある」との考えを示した。
また豊川理事長は、協定締結を決意した経緯を「スポーツを通じて一人でも多くの方を笑顔にすることを理念に活動しているが、札幌市民だけではなく、全道、全国に活動を広げたいと思っていた。札幌では規模が大き過ぎてできないことも、白老ならできるという点も魅力だった」と説明。
部活動の地域移行については「日本では1つの競技を続けるのが普通となっているが、世界ではいろいろな競技を体験し、そこから選ぶのがスタンダード。そうした子どもたちがスポーツを選べる“マルチスポーツスクール”の環境づくりを進めたい」と意欲を示した。
「まずはできるところから進め、指導者についてはこちらから派遣もするが、町に潜在する指導者に協力いただくなど、地元の力を育てていきたい」などと述べ「町の団体の皆さんや町、町民の皆さんと協力させていただきながら、日本のモデルになっていけるような取組をしていきたい」との決意を語った。
(市町村 2023-09-05付)
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