中士幌小で十勝へき複研究大会 学び合い共に高め合う 協働的学び醸成へ算数3授業
(関係団体 2023-10-13付)

管内へき複教育研究大会①
中士幌小の授業公開

 【帯広発】第45回十勝管内へき地・複式教育研究大会士幌大会兼士幌町複式教育研究大会が5日、士幌町立中士幌小学校(和嶋康彦校長)で開かれた。管内小・中学校の教職員70人が参加。2学年ずつ全て複式学級で構成する中士幌小において、児童が自主的に学ぶ姿勢や協働的な学びの醸成に重きを置いた算数科の3授業を公開した。

 大会テーマは「主体的・協働的に学び、ふるさとへの誇りと愛着をもった人間性豊かな子どもの育成」。十勝へき地・複式教育研究連盟、士幌町複式教育連盟が主催した。

 中士幌小は、低中高学年で2学年ごとに複式学級を構成。「自ら学び 共に高め合う 児童の育成~複式指導における学び方の工夫を通して」を研究主題とし、相手の意見を認めつつ、より良い意見を持とうとする児童の育成に向けて、子どもを主語にした授業づくりへと励んでいる。

 大会では、全学年の算数科3授業を公開した。

 うち5年「分数の足し算とひき算を広げよう」は11時間扱い、6年「順序よく整理して調べよう」は6時間扱いで、それぞれ3時間目の授業を展開(伊澤亮教諭、小沼一葉教諭、児童数・5年7人、6年4人)。伊澤教諭が授業の進行を担い、小沼教諭は児童の個人思考や交流場面をサポートした。

 伊澤教諭は5年生に前時までの復習問題を提示したあと、6年生と本時の問題を確認した。6年生は「ABCD」の4つが重ならないよう組み合わせる方法を探す中で「効率的に探す方法」を課題に設定。個人思考を経て、自然と児童間で話し合い、互いに説明し合った。

 その間、伊澤教諭は5年生の授業に移動。分数の文章題を図や式を立てて計算した児童たちの解答をもとに、数の大きさを変えずに分母をそろえることで計算しやすくなることを確認。導き出した方法が「通分」と呼ばれることを示し、児童と共に本時の課題「簡単な通分の仕方」を立て、個人思考や交流へと促した。

 6年生が個人の考えを黒板に示した中で、3人が組み合わせを1つずつ書き出し、1人は樹形図のように組み合わせをまとめた。伊澤教諭が、異なる考え方を持った児童から詳しく説明を受けるよう促すと、全員がより伝わりやすい図の表し方を目指して交流。最終的に、本時の課題における「効率的」という言葉に着目し、伊澤教諭と共に教科書から最適な方法を探し出すと、児童は自分たちで一から解き方を考えた分、驚いた表情や深く納得している様子を見せた。

 5年生の授業では、児童が考えた最適な通分の方法を発表。計算の順序を説明する中で、伊澤教諭のサポートを交え「分母の公倍数を見つけると計算しやすい」ことに自ら気が付いた。

 授業後、全体会および授業分科会を実施した。

 開会式では、十勝へき地・複式教育研究連盟の小野田年克委員長が「子どもたちの成長に負けず、私たちも日々成長する必要がある」「あすからの実践に生かし、十勝のへき地複式教育全体の発展につながれば」とあいさつ。十勝教育局の新山知邦局長は「自主性・自発性のもと、他者の考えに触れながら学ぶことが大切」とし、研究の成果や普及に期待。士幌町教委の土屋仁志教育長は「創意工夫を持って特色ある地域の学校づくりを進める中で、子どもや保護者、地域の期待に応える学校づくりを」と呼びかけた。

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管内へき複教育研究大会②
全体会の様子

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