道公務共闘 人事委勧告に対し声明 本質的な問題 直視せよ 超勤解消、定数増など対策を
(関係団体 2023-10-16付)

 道高教組(尾張聡中央執行委員長)、道教組(中村哲也執行委員長)、自治労連北海道(遠藤関光執行委員長)で構成する道公務・公共業務労働組合(道公務共闘)地公連絡会は10日、道職員および教職員の給与等に関する道人事委員会勧告に対する声明を発表した。月例給、一時金を共に引き上げた勧告に対し「物価上昇分とは程遠い」と断じた。一方で、公務人材確保および育成、勤務環境改善に関する提言についても「教職員不足の現状を全く調査していない内容」と非難。「本質的な超勤解消、業務量に応じた人員確保の必要性に言及し、定数増などの抜本的な対策を」と訴えた。声明の概要はつぎのとおり。 

 道人事委員会は6日、知事と道議会に対し、道職員・教職員の本年度の給与等についての勧告と報告を行った。この間、道公務共闘は道人事委員会と2回の交渉を行い、労働実態と生活に見合った賃金・労働条件の改善・充実、超勤解消や人員確保、再任用、両立支援などについて、現場の実態と切実な要求を届けてきたが、今回の勧告は、俸給表の改定、一時金の引き上げがあったもののわれわれの労働基本権制約の代償機関としての役割を果たしたとは到底言えない内容である。

【異常な物価高に到底及ばない給与改定】

 月例給は民間給与が3655円(0・99%)上回っており、人材確保の観点等を踏まえ若年層に重点を置き(高卒初任給1万2000円、大卒初任給1万1000円の引き上げ)ながら、再任用職員を含む全ての号俸にわたる俸給表の改定を行うこととし、一時金については、民間の支給割合が4・48月であるとして、現在の4・40月分を0・10月分引き上げ、引き上げ分は、期末手当および勤勉手当に均等に配分することとしている。

 1%に近い改定率は26年ぶりではあるが、しかしながら前年同月比3・5%の上昇となった4月の消費者物価指数(総務省発表)と比べても、物価上昇分には程遠く、生活改善に及ばない不十分なものであると言わざるを得ない。

【「人材確保」の解決策には程遠い】

 人事院勧告では冒頭に「公務人材の確保は今、危機的な状況に直面している」とし申込数の減少、若年層の離職者数の増加に触れ、「早急な対応」が必要とした。道人事委員会も報告で、受験者の減少で技術系採用予定数を確保できない状況などを示している。

 しかし、その対策としては仕事の魅力発信や試験内容・実施方法の見直し、入庁後の業務のミスマッチ改善と、本質から外れたことしか述べておらず、そして「人材確保」も知事部局における職員のみを対象とし、今まさに問題となっている教職員不足で「教育に穴があく」現状を全く調査していない。

 コロナ禍で奮闘する公務員の役割の大切さが広く社会に知られてきている中で、道人事委員会は道職員・教職員が長時間過密労働で仕事のやりがいを失っていることが、若年層の離職を生み出していることなど、その本質をもっと深刻な問題と捉え提言すべきである。

【教員の長時間労働の是正は道教委の「アクションプラン」丸写し】

 「勤務環境に関する課題」では、学校における働き方改革として、「徹底した業務の見直し」「授業時数や学校行事の見直し」「教員業務支援員をはじめとする多様な外部人材の活用」で教員の負担軽減を加速化していく必要を述べている。

 これは、道教委の「アクションプラン」(第2期)でこれまでの取組の成果として示してきたことをさらに進めようとしているだけで、道人事委員会としての独自の進言はまるでない。現場の教職員は、道教委の「アクションプラン」によって長時間労働が改善されているとは感じておらず、人員が足りない現状で懸命に働いている教職員に対して的外れな報告であると言わざるを得ない。

 道人事委員会は、本来の労働基本権の代償機関、労働基準監督機関としての立場に立ち返り、本質的な超過勤務解消の提言をすべきである。何より「業務量に応じた人員確保の必要性」に言及し、教職員の状況に対しては、定数増などの抜本的な対策の提言をすべきである。

【要求実現のためたたかう】

 両立支援制度の積極的な活用については「各任命権者において、子育てに関する意識啓発や育児休業の取得促進」と、男性育児休業取得に重点を置いた報告となっている。また、メンタルヘルス対策やパワーハラスメントの防止に関しても知事部局の調査から意識啓発の取組に触れるのみである。そして人事院勧告で言及していた非常勤職員の均等待遇に関しては全く触れていない。

 道人事委員会がわれわれの労働基本権の代償機関、労働基準監督機関となり、その勧告がこれからの任命権者との交渉の力強い武器となるために、これからも粘り強く交渉等を続けていかなければならない。

 今後は、民間労働組合や民主団体と共同し、任命権者との賃金確定交渉において、賃金や手当の改善、両立支援制度の拡充、再任用者の課題解決と長時間過密労働の解消など、労働環境整備の諸要求の実現と合わせて、憲法を守り活かす政治の実現を目指し、総力を挙げてたたかう。

(関係団体 2023-10-16付)

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