道生総連等が研究札幌大会 最適・納得解導く教育 分科会や文科省調査官講演など(関係団体 2023-10-24付)
全体会
第32回道生活科・総合的な学習教育研究大会札幌大会兼第29回札幌市生活科・総合的な学習教育研究大会が、10月上旬の2日間にわたって開かれた。札幌市立円山小学校の授業公開や分科会、文部科学省教科調査官を招いてのシンポジウム、講演会などを通して、最適解・納得解を導き出す教育のさらなる深化を図った。
道生活科・総合的な学習教育連盟(道生総連、熊谷雅史委員長)主催、札幌市生活科・総合的な学習教育連盟(札生総連、森田智也委員長)主管。道内から約100人が参加した。
円山小で開かれた授業公開のあと、開会行事を挙行した。
あいさつに立った熊谷委員長は、平成30年以来の札幌開催を喜びつつ「本大会をアフターコロナにおける研究活動の先駆けとなるものにしたい」と述べた。
少子化や多様性、GIGAスクール構想の導入など、教育を取り巻く環境が大きな転換期を迎える中、「最適解・納得解を導き出す教育や、学びを創造する力を育成することが必要。学校教育における核となるのは、生活科や総合的な学習の時間だと信じている」と訴えた。
道生総連の小山恒研究部長と札生総連の中嶋孝幸研究部長がそれぞれ研究提言。全道研究主題「自ら学びの世界を拡げ よりよい自分を創る子ども」、札幌大会主題「自分の学びを実感し、未来を拓く子どもの育成」の実現に向けた研究の視点などを示した。
このあと、授業分科会を開催。生活科、総合的な学習の時間各部会に分かれて研究討議した。
2日目は、ホテルライフォート札幌に会場を移し、シンポジウムおよび講演会を開催した。
シンポジウムでは「手応えのある学びを実現する授業デザインの在り方」をテーマに、文科省初等中等教育局教育課程課の加藤智教科調査官、中嶋研究部長、道教育大学附属旭川小学校の小原広士教諭、和寒町立和寒小学校の杉立耕平教諭、円山小の竹次奈央教諭が登壇。杉立教諭の廃棄カボチャを題材にした実践を中心に、総合的な学習の時間で育てたい資質・能力について意見を交わした。
続いて、文科省初等中等教育局教育課程課の齋藤博伸教科調査官が「教育課程の中核となる生活科と総合的な学習の時間」と題して講演。全国の先進事例を交え、指導計画の立て方や評価との関連などを説いた。
◆道生総連研究大会 円山小で公開授業
第32回道生活科・総合的な学習教育研究大会札幌大会兼第29回札幌市生活科・総合的な学習教育研究大会では、札幌市立円山小学校(平澤淳志校長)で10月上旬、公開授業が行われた。ここでは、2年4組生活科(大嶋悠基教諭、児童数29人)と6年1組総合的な学習の時間(竹次奈央教諭、児童数31人)の授業を紹介する。
2年4組生活科では、単元「目指せ!生き物はかせ」を展開している。多様な生き物を飼育する活動を通して得た見方や考え方を生かして、生き物の特性に応じた世話の仕方を工夫し、生命の尊さや身近な生き物への愛着を深めたり、飼育への自信を深めたりすることを目指している。
本時は、15時間扱いの13時間目。前時までにエゾサンショウウオやアメリカザリガニ、カタツムリなど、多様な生き物を飼育するために、観察や円山動物園飼育員への質問などを通して、それぞれの習性や特徴を見つける学習を展開してきた。
本時では、カナヘビを題材に3グループに分かれてまとめた研究成果をもとに、他のグループの研究を聞き合う活動を展開した。
児童たちは、授業開始と同時に、他のグループのブースに移動。カナヘビを観察しながら「昼に活動し、草むらなどが好き」「食べ物はミールワームや昆虫など」など、自分たちが調べた特徴を伝え合った。
このあと、全体で交流。大嶋教諭がカナヘビの特性を問いかけると、児童たちは「高い場所が好きみたい」「土粘土で作った岩場に入っていたよ」「穴を掘って、寝ていたよ」などと発表。
大嶋教諭が「寝るってどういう気持ち?」と問いかけると、児童たちは「落ち着く」「リラックスしている」などと答え、カナヘビに適した環境づくりの大切さへの理解を深めた。
6年1組総合的な学習の時間では、単元「なんだろう、なんだろう」と題して、実社会で働く人たちへのインタビューを通して自己の将来を考える学習を展開している。
年間45単位時間を3分割。小単元1では12時間を充て、働くイメージを広げる活動を展開。小単元2は14時間扱いで、ゲストティーチャー(GT)の話をもとに、何を大切に働くかを考える活動に取り組む。小単元3は19時間扱いで、自分が目指す「自分」になれるよう努力する意欲を養うことを目指している。
本時は、小単元2のうち、13時間目に当たる。児童たちは前時までに「人と関わることが好き」「表現することが好き」「規則に沿って物事をこなすことが好き」など自身の傾向を表したレーダーチャートを作成。GT8人のチャートやインタビューをもとに、GTの職業と児童自身が興味を持った職業を比べる学習に取り組んだ。
児童たちは、自身とGTが同じ考えの傾向を持っているのに選択した職業が全く違うことや、同じGTから話を聞いたのに友達の考えと異なっていることに気付いた。
竹次教諭は「自分が働くときに大切にしたいことは何だろう」と投げかけた。児童たちは、GTと共感した考え方として「苦手に対する考え方を変えている」「楽しく生きている」などと発表。GTが現在の職業を選択した根底には、自分自身のことを理解した上で、働き方や自身の生き方を重視していることを理解した。
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2年4組生活科
6年1組総合
(関係団体 2023-10-24付)
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